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ステータス33:診断

 日曜日、目覚めるとすでに13時を過ぎていた。


 いつの間にか寝ちゃってたのか。しかし、寝過ぎたな……こんなに寝たのは寮に引っ越してきた日以来か? そんなに疲れてたのか俺? それともなんか調子悪いのか?


 体を少し動かしてみるが特に怠さはなく、熱や喉の痛みもないようだった。


 体の調子はおかしくないな。だけど、せっかくの休日なのにこんな時間に起きたんじゃな。またゲームしてもいいけど……そういや、実家に帰った時にお母さんにステータスオープンの件で医者に診てもらうようにって言われてたっけ? 病気じゃなくてアノマリーの能力だって分かってるけど、そんなこと説明できないし、突発性ステータスオープン障害って診断もらっておくのは役に立つかもって明梨も言ってたよな。心療内科でいいのかな? せっかくだし、行ってみるか。


 俺は最寄り駅近くの街の病院で心療内科があるところを調べてみることにした。しかし、日曜は外来の診察時間が早く終わる所が多く、今から街までバスで行っていたら、受付時間ギリギリになってしまうようだった。


 昼飯も食べたいし、今から街の病院に行くのは無謀か。学校の近くで心療内科なんてあったかな? ……ん? 学校の裏手、というか敷地内にクリニックがあるな。上部(うわべ)クリニック? ここの先生がうちの学校のスクールカウンセラーも兼ねてるのか。へー、知らなかった。ちょうどいいし行ってみるか。


 そう考えた俺は軽めに昼食を済ませてから、そのクリニックに向かった。


 小さなクリニックだな。中には誰もいないみたいだけど、本当に開いてるのか? まあとりあえず入ってみるか。


 ピンポンピンポーン……ピンポンピンポーン……。


 ドアを開くと来客を知らせるためであろう音がクリニックに響く。しかし、待てども待てども誰も出ては来なかった。


「ごめんくださーい」


 ……誰もいないのか? いや、開いてたしそんなことないと思うけど……。


「……う……ん? お客さん?」


 俺の呼び掛けからしばらくして、奥の診察室のドアがゆっくりと開き、白衣を着た男が眠そうな目を擦りながら現れた。


「あ、はい。もしかして休みでした?」

「いや、開いてるよ。滅多に客なんて来ないからね。ちょっと昼寝してただけさ」


 大丈夫か、ここ?


「……えっと、診てもらいたいんですけど、いいですか?」

「ふぁーあ……じゃあ、こちらへどうぞ」


 男は大きくあくびをしながら診察室へと俺を招き入れた。


「僕はこの上部クリニックの院長、上部猛大(うわべたけひろ)だよ。君の名前は?」

「開谷崇行です」

「開谷君だね、よろしく。君は須帝高校の生徒かな?」

「はい、そうです」

「それならステータス見せてもらえれば診察料は無料になるから、所属の項目見せてもらえる?」

「そのステータスを出せないっていうのが今回診てもらいたい内容なんです」


 首を傾げる上部先生。心療内科の先生でもそういう反応になるのか。やっぱりステータスオープンできないって相当おかしなことなのかな?


「あの……先生?」

「おっと、すまない。ステータスオープンができない、ってことだね。実際にやってみせてもらえる?」

「はい。ステータスオープン」


 右手を前にかざして例の台詞を言ったが、やはり何も起こらなかった。


「……なるほど。どれくらい前からできなくなってたかって分かる?」

「正確には分からないですけど、10日くらい前にはできなくなってました。友達にステータスを見せようとして、ステータスオープンできなくって、それで気づいたんです」

「最後にステータスオープンできたのは?」

「えっと……よく覚えてません」


 うわ、先生すっごいじろじろ見てきてる。流石に怪しまれたかな……でも下手な嘘ついても専門の先生にはバレそうだし、覚えてないで通した方がいいよな……。


「その……あんまりステータスオープンする機会がなかったって言うか、なんて言うか……」

「……そうか。うん、症状で言えば突発性ステータスオープン障害だろうね」

「突発性ステータスオープン障害って具体的にはどういう病気なんですか?」

「病気というか、ステータスオープンできない症状を総じてそう言ってるだけなんだ。原因も解消方法も分かってなくてね。でもまあ、たいていは少し時間が経てばできるようになるから、あんまり深刻にならない方がいいよ」

「えっと……その今日の診察料とか、他のこともですけど、ステータス画面が開けないと何かと不便でして、その……」

「……? ああ、分かった分かった。ちょっと待ってて」


 そう言うと、先生は机の引き出しからカードのようなものを取り出して、それにペンで何やら書き足し始めた。


「はいこれ、診断証。見せればステータスオープンできなくても、公共施設や店なんかで不自由しないように対応してくれるはずだよ。しかし、僕からしたらステータスオープンせずに生活するなんて考えられないよ……なーんて医者が言っちゃいけないんだけど。まあ、何かと大変だろうけどいつでも相談に乗るから。ああ、それから今日の診察料はもちろん要らないよ」

「はあ……ありがとうございます」


 ステータスオープンできないで困る場面なんてそんなにあったっけ? お医者さんだと必要な場面が多いんだろうか? 何はともあれ、これでステータスを見せられない場面にも少しは対応できるようになるはず。後でお母さんにも病院に行ったことを電話しておこう。


 こうして俺は意外なほどあっさりと突発性ステータスオープン障害の診断証を手に入れたのだった。


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