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ステータス23:尾行

 翌日から、俺の『柊木さんと仲良くなろう大作戦』は始まった。俺がステータスオープンできないところを柊木さんに『偶然』見られて、彼女の方から声を掛けてきてもらう、というのが作戦の第1段階だ。


 俺はB組、柊木さんはC組で教室は隣同士。距離的には近いけどクラスを跨った交友というのは同じ中学出身か、同じ部活動に所属でもしていない限り、入学して1ヶ月そこらのこの時期にはほとんど存在していなかった。残念ながらC組に同じ中学だった生徒はいない。俺がC組の教室に入っていくのは少し無理がある。ステータスオープンできないところを実演するにしても、周りに人がいる状況だと彼女からの接触は期待しにくくなるだろう。となると必然的に教室の外で1人になっている時が狙い目となる。


 俺は彼女が教室の外で1人になるタイミングを待つことにした。登校、午前の休み時間、昼休み、午後の休み時間、放課後と時間は過ぎていったが、教室から出てくることはあっても1人になるタイミングは一向に訪れなかった。


 そう都合よくはいかないよなあ……まあ、期限は今週いっぱいってことだったし、焦る必要はないか。しかし、何の成果もなしに1日終わりって言うわけにもいかないだろう。もう少しだけ彼女を付けてみるか。


 俺はクラスメイトと教室を出てどこかへ向かう彼女を尾行することにした。本校舎を出て何やら話をしながら旧校舎の方へと歩いていく彼女達。そして、旧校舎に入り2階に上がって左に曲がったところで俺は2人を見失ってしまった。


 どこかの部屋に入ったのか? 昨日の郎樹の報告では部活には入ってないって話だったけど、ここら辺は文科系の部活や研究会の部室しかないはず。部室に入ったのだとすれば、距離からして階段側の3つか4つ目くらいまでのどこかだろう。手前から順に情報処理部、オカルト研究会、将棋研究会、新聞部か。オカルト研究会ことスクールアノマリーは除外するとして、候補は3つ。流石に出てくるまで待つわけにもいかないし、今日はここまでかな。せっかくだからスクールアノマリーの部室にも顔を出しておくか。


「失礼します」

「おやタイタン、どうしたんだい?」


 部室にいたのは梢子先輩だった。先輩は昨日に引き続き、部室の書類を整理しながら何やら調べものをしている様子だった。


「梢子先輩、お疲れ様です。特に用事があったわけじゃないんですけど、柊木さんを追っていたらこの近くまで来たので、ついでに顔を出しておこうかと思って」

「他の女を追って来たついでなんてひどいわ! 私に会いに来たって言ってくれても良いじゃない!」


 梢子先輩は顔の前で両手をがっちりと握り、懇願するような表情でその芝居じみた台詞を言った。


 この人は……よく恥ずかしげもなくそんなことできるな……。


揶揄(からか)わないでくださいよ。梢子先輩はいつも部室にいるんですか?」

「部長だからね」

「他の2人は?」

「メンバーは用事がある時には集まってもらうけど、基本はそれぞれで動いてもらっているよ。部室に籠っていたって、アノマリーの発見も他の活動もできないからね」

「そりゃそうですね」

「ところで彼女を追ってきたって言っていたけれど、それはどういうことだい?」

「いや、彼女と接触するタイミングを見計らって付けていたら、この旧校舎2階のどこかの部室に入って行ったところで見失ってしまって……」

「まるでストーカーだね」


 自分でもちょっと思ってたけど、面と向かって他人にそう言われると恥ずかしくなるな……。


「ハ……ハハッ……やめてくださいよー……」

「もうちょっとスマートにやれると思っていたけれど、君は本当にこういう事には疎いんだね」

「……今日の行動を思い返すと自分でもなんだか情けなくなってきました」

「まあ最初からそんなにうまくできるものでもないさ。しかし、妙だね。ボーロの報告では柊木さんは部活には入っていなかったはず。何の用事で旧校舎を訪れたのか……」

「連れがいたようなので、その人のことを調べればどの部室に入ったのか、分かるかもしれません」

「それが分かれば彼女と接触する足掛かりを得られるかもしれないね」

「はい。何とか今週中に柊木さんと知り合いになれるよう頑張ってみます」

「期待しているよ。ただ、急いては事を仕損じるとも言うし、少し目標を下げて今週は彼女と1回接点を持つくらいでもいいかもしれないね」

「……分かりました。それじゃあ今日は失礼します」


 ちょっと張り切り過ぎてるのかな俺? 俺の監視の時はもっと緩い感じだったし、深刻に捉えすぎてるのかもしれない。俺の時で言えば、郎樹が俺に話しかけてきたのは明梨の教室の前で俺が騒いでた時だったよな? 同じクラスだったとはいえ、郎樹と話したのはあの時がほとんど初めてだったのに全然違和感を覚えなかった。親切な人だと感じてたくらいだ。同じように柊木さんと自然に接点を持つことが俺にもできるだろうか?


 そんなことを考えながらこの日は寮へと戻った。こうして『柊木さんと仲良くなろう大作戦』の1日目はほとんど成果もなく終了した。今週は残り3日。梢子先輩は接点を持つだけでもいいと言ってくれたけど、ステータスオープンについて話せるような関係をしっかり築いて期待に応えないと。


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