表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/45

ステータス17:齟齬

 帰りの電車に乗った俺と明梨は依然、少し気まずい空気のままでいた。しかし、紗良と明梨の会話に出てきたスキルポイントを消費してスキルを覚られるという件を聞かないわけにはいかない。昨日の明梨の説明と整合性が取れていないからだ。明梨が嘘を言っていたとも思えないし、明梨があの時に見せた何かに気付いたような素振りも気になる。俺は意を決して明梨に話しかけた。


「明梨、いいか?」

「いいよ、私も考えがまとまって来たところだから」

「じゃあ、紗良と会話してた時に話題に出てたスキルのことについてなんだけど、昨日の説明と食い違ってるのはなんでなんだ?」

「まず私が昨日どんな説明をしたのか、話してくれる?」

「……? お前が話したことだろ?」

「いいから、お願い」


 一体なんなんだ? 昨日の今日でもう忘れてしまったのか?


「……能力値とかスキルは今の状態が見れるだけで、ポイントを使って強化したり、新しいスキルを覚えたりはできない、って」

「そう、私そんなことを言っていたのね。それは崇行にとっては真実なんでしょうけど、私の記憶の中ではポイントを使った強化や習得についてもちゃんと説明したことになってる」

「……? それってどういう……?」

「つまり、昨日と今日の間で世界の法則が変わったってこと。それに伴って私や紗良ちゃんのように、世界中の人々の記憶がそれと矛盾しないように書き換えられた」


 明梨は何を言ってるんだ? 世界の法則が変わった? 全世界の人の記憶が書き換えられた? そんなことあるわけないじゃないか!


「……いい加減にしろよ! そんなこと信じられるわけないだろ! 昨日、嘘言ったことをごまかそうとしてるんじゃないのか?」

「……崇行、あなたやっぱりスクールアノマリーに入るべきよ。そうすれば、もっとちゃんと話せるようになる」

「……! これも俺のアノマリーの能力だと?」

「恐らく、ね」


 俺は自分の能力をステータスオープンできない能力なんだと思ってたけど本当は逆で、俺以外の人々がステータスオープンできるように俺の能力が変えていた? 今回のこともその能力による改変の影響? そして、変えた張本人の俺だけがその事を知らなかった?


「ハハッ……まさか、そんなこと……」

「私も驚いてる。その可能性はあったし、辛坊君はかなり早い段階からそうじゃないかと疑ってたみたいだけど、これでその可能性は限りなく高くなった」

「……ごめん、ちょっと頭の整理が追い付かない。しばらく1人で考えさせてくれ」

「……わかった。でも、スクールアノマリーはきっとあなたの助けになれるし、助けるための努力を惜しまない。これだけは覚えておいて」


 その後はほとんど会話を交わさないまま、俺達は高校の寮へと戻った。そして、俺は部屋に入るなり数日前のように、また枕に顔を埋めて唸りながら思案していた。


 世界の法則を変える能力なんて想像もつかないけど、それを受け入れれば今までの全ての事象に納得がいくことも事実。俺がおかしくなったんじゃなくて、世界がおかしくなったんだ。いや、世界を俺がおかしくしてしまったのか? 何れにせよステータスオープンできない俺はおかしくなんかなかった。少なくとも改変される前の世界では。


 そして、ステータスオープンに続いてスキルポイント。世界の改変はいつ起こるか、何回起こるかも分からないと考えておいた方がいいだろうな。これからも俺だけが知らないところで突然、今日みたいに世界の常識が変わってしまうことがあるってことだ。そんな不安を抱きながらこの先ずっと生きることになるっていうのか? 何か法則性が分かれば対処もできそうだけど、思い当たるようなことなんて何もないし……。


 それからしばらくの間、思案に思案を重ねても、この日は枕が俺の唸りから解放される兆しは見えなかった。


 これは1人で考えてても埒があかないな。やっぱりスクールアノマリーに入るしかないか。明梨もスクールアノマリーは力になれるって言ってたし、それにもともと入ることを拒絶していたわけでもないしな。明梨のアノマリーとしての能力とスクールアノマリーがそれに対して行った処理については気になるけど、そのことはいったん胸にしまっておこう。今は自分のことが先決だ。


 こうしてスクールアノマリーに入ることを決断した俺は何とか枕の呪縛から逃れることができたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ