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ステータス1:告白

 俺は開谷崇行(かいたにたかゆき)、15歳、この春から須帝(すてい)高校に通っている高校1年生だ。今日、俺の運命は変わる。なぜなら、俺はこれから幼馴染の高井戸明梨(たかいどあかり)に告白するからだ。


 俺と明梨は学年こそ明梨の方が1つ上だったが、家が隣同士だったこともあり小さい頃からよく一緒に遊んでいた。小学校高学年になって、みんなが男女を意識するようになってからも俺と明梨は構わずに一緒に遊んた。同級生の男子に『崇行、いっつも女と遊んでやんのー』なんて揶揄(からか)われることもあったが、男勝りだった明梨は『なーに? 羨ましいの?』なんて揶揄(からか)い返して、結局一緒になって遊ぶようなこともしばしばだった。


 その明梨が遠い存在になってしまったのが中学時代だ。1年遅れて中学生になった俺を待っていたのは、中学校でブレイクして学園のマドンナになっていた明梨だった。たった1年で別人のように女らしくなった明梨に、小学校の頃のように気軽に話しかけることができなかった俺は、ただ悶々と2年間を過ごした。通学時には時間を合わせて家を出たり、向こうから話しかけてくれないかと少し前をわざとらしく歩いたりもした。しかし、結局は何もできないまま明梨は1年早く卒業してしまった。


 明梨がいなくなった中学3年からは俺は抜け殻のような中学生活を送っていた。そんな俺に転機が訪れたのは夏休みに入る少し前のことだった。親同士の会話で、明梨がこの辺りでは有名な全寮制の進学校、須帝高校に入学していたことを知ったのだ。俺は『もう一度、明梨に会いたい』という一心で夏休みから猛勉強を開始した。そして、須帝高校を受験して合格を勝ち取った。決して成績が良いわけじゃなかった俺が名門の須帝高校に入学できたことを両親や担任の先生はとても喜んでくれた。


 『絶対に明梨とまた仲良くなるんだ』という決意を持って高校に入学した俺だったが、明梨を学校でたまに見かけるだけで少し満足してしまっていた。そうして1ヶ月が過ぎようとしていた昨日、学食で昼食を食べていた俺に明梨の方から声を掛けてきたんだ。


「よっ、崇行。久しぶりー!」

「あ……明梨? ひ……久しぶりだね。明梨も須帝高校だったんだ」

「えー? いつも私のこと見てたくせにー。知ってるんだぞー」

「え……あ……ば……バレてたのかー! ハハハッ! 実は明梨に話があって、それで探してたんだ。けど、友達と一緒だったりしてタイミングを逃しちゃってさ」

「ふーん。話ってなーに?」

「いや、ここじゃアレだから……そうだ、明日の放課後。放課後、屋上に来てよ。そこで話すからさ」

「明日の放課後ね。了解! それじゃまたねー」


 そう言って一緒に昼食を食べに来ていた友達のところへ戻った明梨。間近で見ると遠くで見るよりも一層可愛かった明梨に最初は戸惑っていたけど、小学校の頃と変わらない話し方や仕草に、徐々に緊張がほぐれて昔と同じように話せている自分に気付いた。同時に『明梨が俺のことを覚えていてくれた、話しかけてくれた』という喜びの感情が溢れていった。


 だけど、明梨が離れていくと、また中学時代に戻ってしまうような不安に襲われた。もっと明梨と話したいという思いだけで『話がある』なんてでっち上げたけど、あの頃にまた戻るくらいならいっそ、この感情に決着を付けようと、この時に俺は決心したんだ。


 そして今、俺は屋上で明梨と対峙している。


「明梨、来てくれてありがとう」

「うん。それで話って?」

「明梨……好きだ! 俺と……俺と付き合ってください!」


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