第50話 二番弟子、装置を直す
すんません、もう1話だけ、もう1話だけトリビアな1話を入れさせてください。
どうしても入れたいエピソードが思い浮かんでしまったのですm(_ _)m
「では最後に、Sランク冒険者の福利厚生について説明致します」
俺が新しいギルド会員証に夢中になっていると、受付嬢がそう言ってきた。
「……福利厚生、ですか?」
「はい。我が国の冒険者ギルドでは、Aランク以上の冒険者に福利厚生が用意されております。当然、Aランク冒険者に用意されている福利厚生より、Sランク冒険者に用意されている福利厚生の方が内容も豪華なものになるのですが……今からその内容について、説明致しますね」
……そんな制度があったのか。
俺は期待に胸を膨らませつつ、受付嬢の話の続きを聞いた。
「Sランク冒険者に用意された福利厚生は、大きく分けて3つあります。まず1つ目は、どんな大怪我・病気・呪詛でも、年間1回までは無料にて治療を受けられるという制度です」
「なるほど」
それは確かに重要だな。
Sランク冒険者は、ギルドにとっても貴重な戦力。
それを保護する内容の制度は、まさしくウィンーウィンと言えるだろう。
そう考えていると、受付嬢はこう続けた。
「2つ目は、国からの依頼に応じる際は、軍が所有するいかなる武器でも無条件に借りることができるという制度になります。ただ……軍事機密に関わるような武器を借りた場合、その内容について濫りに言いふらすと、最悪死刑となりますので注意してください」
「分かりました」
それも……まあ他のSランク冒険者にとっては、魅力的なのかもしれないな。
ただ、俺に関しては、この制度とは縁がない気がする。
クトゥグア討伐でSランクになれてしまうような世の中だ。どうせオーラレールガンより強力な武器なんて、軍も所持してはいないだろう。
そして最後に説明された福利厚生は、こんな内容だった。
「そして3つ目ですが、この街の最高級宿であるシェルポ亭の、Sランク冒険者専用部屋への宿泊が可能となります」
「……はあ」
……これに関しては、あっても無くてもいい気がする。
まああって困る権利ではないし、ありがたく思っておくか。
「以上3つが、Sランク冒険者に用意された福利厚生となります。是非、有効活用してください」
そう言われたところで……俺は1つに疑問が浮かんだので、聞いてみることにした。
「あの、俺がクトゥグアを討伐したことって、どこまで話が行ってるんですか? 冒険者ギルドまでで止まっているのか、それとも国や軍まで話が行ってるのか気になりまして……」
オーラレールガンを、戦争なんかの為に使う羽目にはなりたくないからな。
この点が、急に不安になったのだ。
しかし、それは杞憂だった。
「誰がどのようにSランクになったかは、国や軍であっても、原則詮索禁止となっておりますので。自分から軍に志願して実績を語ったりしない限り、情報が漏れることはありませんよ」
……そうなのか。それはありがたいな。
「ありがとうございます」
そう言って俺はゴドウィンに再び幻影魔法をかけ、冒険者ギルドを後にすることにした。
「……さてと」
現状俺は大病も大怪我もしてないし、国から何か依頼を受けているわけでもない。
となると、今俺が受けられる福利厚生はシェルポ亭の特別な部屋のみとなるわけだが……うん、そこに泊まってみるか。
俺はそう決めた。
どうせ兵!兵!兵!のリハーサルは明日だしな。どこかで1泊はしなければならないのだ。
魔族の討伐報酬もあることだし、一度くらい贅沢してみよう。
という訳で、俺はギルドでもらった地図を元に、シェルポ亭へと向かっていった。
「いらっしゃいませ!」
シェルポの建物に入ると、亭主が元気よくそう言った。
「Sランク冒険者の専用部屋に泊まりたいのですが」
俺は、もらったばかりのギルド会員証を亭主に見せた。
「Sランクのテーラス樹様だね、了解。部屋は000号室だ、この鍵を持って行っておくれ」
亭主は淡々とそう言って、鍵を渡してくれた。
……流石は最高級宿の亭主というだけはあるな。Sランク冒険者が来てもノーリアクションか。
俺はその事をむしろありがたいと思いつつ、案内された部屋に入った。
部屋に入ると、真っ先に1つの魔道具が目に入った。
俺は早速、その魔道具にかけられた術式を確認してみた。
「なるほど……気の回復を促進する魔道具、か」
俺はこの魔道具を見て、なぜこの部屋がSランク冒険者専用部屋たり得ているのか納得できた。
ちゃんと、冒険者にとって実利のある仕掛けが用意されてたんだな。
「けどなあ……」
俺はその魔道具の効果を確認して、こう思ったのだ。
……なんか複雑な術式を組んでいる割には、効果の乏しい魔道具だな、と。
ただ、なぜその術式が使われているのかは、簡単に察することができた。
この魔道具に使われている術式は、「魔法と気の相互作用を利用しない気の回復術式の中では、最も効果的なもの」なのだ。
一応、この時代における最高クラスの物が置かれてるのは、確かと言えるだろう。
それでも、だ。
俺が知る限りでも、この部屋に置いてある魔道具より単純で、より効果的に気を回復させられる装置は何種類か作れる。
どうせなら、それを作成して、この宿に寄贈してやるか。
俺は早速、気の回復装置の製作に取りかかることにした。
【次回のあらすじ(再掲)】
1泊したのち、ついに兵!兵!兵!のリハーサルに行きます。
そして……そこで、ある事実が判明します。




