第41話 二番弟子、成績を荒稼ぎする
更新遅くなってすみません。
ちょっと忙しかったのですが、これから更新ペースを戻していけると思います。
魔法金属と呼ばれる金属の中で、代表的なのはミスリル、アダマンタイト、オリハルコンの3種類だ。
アダマンタイトはこの3種類の中で一番魔力伝導性が高い。
オリハルコンはこの3種類の中で一番頑丈だが、魔力伝導性は最も低い。
ミスリルはこれといった特徴は無いが、だからといって使えないわけではない。
産出量は他2種類と比べると群を抜いて多いので、他2種類ほどの性能が不要な場面では大活躍するし、何より合金にする事で他2種類単体以上の性能を引き出すことができるのだ。
ミスリルーアダマンタイト合金は配合次第ではアダマンタイト単体の3倍の魔力伝導性を誇るし、ミスリルーオリハルコン合金はオリハルコンの強度をほぼ損なわずにアダマンタイト単体並みの魔力伝導性を持たせることができる。
あと、オリハルコン単体と比べて加工の労力は約10分の1になる。
だから俺はオーラレールガンを製作する際、ゴドウィンの魔力を金属に流す機構にはミスリルーアダマンタイト合金を、レール部分にはミスリルーオリハルコン合金を用いるつもりだった。
だが、ヒュージミミックの素材を質調整をして入手できたことで、事情が一変した。
ゴドウィンの魔力を使う分には、魔力を金属に流す機構はヒュージミミックの素材だけで作った方が質の良いものができる。
このことから、まずアダマンタイトが完全に不要になった。
そして、ヒュージミミックの素材とオリハルコンでできた合金は、一定以上の魔力を流すと、魔力の流れの抵抗が0の超魔導状態になる。
つまりこの合金は、ミスリルーオリハルコン合金の上位互換ということだ。
このことから……もはや、ミスリルさえも不要ということになる。
それでも、通常ならオーラレールガン全体を賄うほどのオリハルコンの入手は困難を極めるので、結局ミスリルを集めた方がいいということになるのだが……有難いことに、今回、ヒュージミミック討伐によって大量の不安定結晶Xを入手できた。
まあ何が言いたいかというと、材料がこれで全て揃ってしまったのだ。
全く、ヒュージミミックさまさまである。
不安定結晶X(やそれとヒュージミミックの素材を合わせた合金)は非常に加工しやすいので、オーラレールガンの形を完成させてからオリハルコン化させれば労力も大幅に削減できるしな。
本当に、いいことづくめだ。
迷宮から出ると、俺たちは早速オーラレールガンの製作にとりかかり始めた。
☆ ☆ ☆
「それでは皆さんお疲れ様でした。今日の実習は、ここまでとします」
ゴドウィンと一緒に迷宮を探索してから、約2か月半が経った。
オーラレールガンはとっくに完成していて、あとは実際にクトゥグアを迎撃するだけって状態だ。
実習が終わり、これからお昼休憩ということで、クラスのみんなは訓練場から教室へと帰ろうとしている。
だが──
「……何だ今の気配! 上からものっすごく嫌な感じしなかったか?」
上空から強烈な気配が飛んできて、クラスメイトたちがざわつき始めたのだ。
……とうとう来たか。
間違いない。これは、エイリアンが大気圏まで近づいてきた合図だ。
エイリアンとて、大気圏を猛スピードで突っ切ったりしようもんなら地上にたどり着く前に死に、灰と化してしまう。
比較的火への耐性が強い方であるクトゥグアとて、例外ではない。
だから、エイリアンは大気圏に突入する際、強力な防御魔法を展開するのだ。
これの余波は相当なもので、地上のかなりの範囲に、こうして嫌な気配が伝わってくる。
まあ、その余波自体はさして危険なものではないのだが……
「おうぇっ」
「大丈夫か、ゼルト!」
そうなんだよな。
初めて受けた時には、吐き気を催す人もちらほらいるのだ。
……っておい、先生もかよ。
割とパニックになりかけてるから、しっかりして欲しいんだが。
ゼルトを介抱してやりたいところではあるが……俺は俺で、やることがある。
とりあえず視線誘導でみんなの目をかいくぐり、俺は校舎の裏へと向かった。
校舎の裏に来て、俺はゴドウィンと合流する。
「これ、付けてくれ」
そう言って、俺はゴドウィンに覆面を手渡した。
同時に、俺も自分用の黒の覆面更生員の覆面をかぶる。
そう。
今回俺は、黒の覆面更生員としてクトゥグアを迎え撃つつもりだ。
覆面更生員の本来の役割は、生徒指導の最終手段なのだが……例の「2人称がユーの爺さん」に相談したところ、エイリアン討伐を黒の覆面更生員としての実績に含めてくれることになったのだ。
リューナの件以降、学園内は平和だったので黒の覆面更生員としての活動は全く無かった。
というか、覆面更生員が出動する事態そのものが無かったのだ。
そこで懸念すべきは、脅威の消失に伴い黒の覆面更生員の契約を打ち切られること。
せっかくの学費0が来年以降パーになってしまう事態だけは、避けたいものだ。
クトゥグアから生徒を守ったとなれば、爺さんの権力で黒の覆面更生員の契約期間を卒業まで保証してくれるとのことなので、それを利用していこうと思う。
ゴドウィンを連れ、訓練場に戻る。
てんやわんやの大騒ぎになっているかと思いきや……あれから、先生がうまく取りまとめてくれたみたいだな。
泣いてしまっているクラスメイトもいる……というか、先生すらちょっと涙目になっている気がするが、それでもみんなで1箇所に集まり、静かにしているようだ。
俺の姿を見かけると、先生が一気に駆け寄ってきた。
「あなたは……黒の覆面更生員! あ、あの……生徒たちにどんな指示を出せばいいかとか、聞いてますか?」
胸を撫で下ろしながら、そう先生は早口に聞いてくる。
なるほど、上からの指示待ちだったか。
生憎だが、そんなものは何も聞いてないな。
だが、この状況での正しい対応なんてあってないようなものなので、とりあえず何か言っておけば大丈夫だろう。
「そのまま、生徒たちと待機しておいてください。あと、できれば怖がっているク……生徒たちの心のケアを。相手はエイリアンですので、ある意味避難は不要……というか無意味です。静かに討伐を待っていてください」
「分かりました。……って、エ……?」
言うことを言ってすぐに訓練場の真ん中へと走り出したので、最後何を言おうとしたかよく聞こえなかったが、まあいいだろう。
後ろには、ゴドウィンも黙ってついてきている。
──さあ、エイリアン討伐、開始だ。
【次回のあらすじ】
いよいよ決戦です!
戦いをみまもるクラスメイトたちがどんな反応を示すか、お楽しみに!




