【第二章】第三十五部分
グラウンドのほぼ全員がキツネにつままれた表情になった。
エロザだけが違った顔をしていた。具体的にはメス顔である。
走ってきたランナートモヨンがパンチラして、キャッチャーのカバーに入っていたエロザがパンツを見ようと前に出て、球をとってしまったのである。これで同点となった。トモヨンはランナーに出た時、巧みにスカートにはき替えていたのである。
トモヨンはそのままバッターボックスに立ったが、走ってスタミナを使い果たし、三球三振した。
三回表。一番バッターからである。バッターはからだを丸めて気合いを入れている。
美散はしてやったりの表情でバッターを見つめている。
「いきなり気合い入れとか、試合の劣勢を認めてるサインだよ。弱気を振り払おうとしても無駄だよ。あれれ?気合いが空回りしてるのかな。からだが小さくなっていくような?」
ピッチャーランボウは打者に起こりつつある異常を無視して、初球を投げた。ほぼど真ん中のストライクゾーンに球は走っていく。
『ボク、ドラエロ悶。今のは明らかにボール。』
半巨人のバッターはみるみるうちに小さくなっていたのである。人間大になった一番バッターに対してストライクが入らず、結果、フォアボール。
「あんなの、完璧にルール違反じゃない。どうしてみんな抗議しないんだよ!」
すぐさま、美散がクレームを申し立てた。ベンチからなので、違反ではないが、審判は受け付けない。
一塁ランナーがファーストのナッキーに比べて著しく小さく、人形のように見える。
続くバッターのエロザはバントの構えから打球をピッチャーに転がした。二塁には野手がいないので、軽くセーフになるはず。しかし、ボールを持ったランボウが自分で二塁ベースを踏み、簡単にアウトになった。一塁ランナーが小さ過ぎて、二塁への道のりがあまりに遠かったからである。
エロザは二塁アウトのショックで足が止まり、ファースト手前でアウトになった。
『ボク、ドラエロ悶。小さくなった場合は、小さいままで走るのがルール。』
審判の言葉を聞いて、美散はすっかり納得顔。
「だから、みんなは抗議しなかったんだ。半巨人って、アタマ悪い。あははは。」
ショックで打ちひしがれるエロザはベンチの奥に下がって、バットを取り出した。それを三番に渡した。上部がスケルトンになっている奇妙なバットである。そのバットを見て、ランボウの顔色が変わった。
三番はバットをエロザに渡して、エロザはベンチ裏にいった。




