【第二章】第二十四部分
周りにいた全員がずっこけたような気がした。少なくとも玲駆とエロザの接吻停止には成功した。
「次はちゃんとやるんだからねっ。」
再び大きく息を肺に溜めて、一瞬止めた智流美。
「アタシは、彫り物背中、いや玲駆のことが好き!だから、こんなことはやめて!!」
今度は会場中の空気が完全に固まった。ひな壇のテーブルに両手をかけた状態で、第三者が愛を宣言することは、古今東西に見られない異常現象である。
「い、言っちゃった、アタシ。ど、どうしよう。」
顎に手を当てて、オロオロし始めた智流美。次の主役は玲駆である。
智流美は動揺して、恥ずかしさのあまり顔を覆った。しかし指の隙間からチラリと玲駆の顔を見た。玲駆の表情は変わりなく、智流美のいきなりの告白は響かなかったようである。
いったん自分の思いを吐露すると、女子は羞恥心の大河を乗り越えて、大海を泳ぎ出す。「玲駆、アタシだよ、美散だよ。そんなクソオンナの元を離れてこっちに来てよ。」
「・・・。」
雛壇に座っている玲駆は全くの無反応だった。
「どうしたのよ、玲駆!アタシのことがわからないの?」
智流美は雛壇のテーブルを揺すって、玲駆の間近に迫った。しかし、玲駆に変化は見られない。
(智流美、このままじゃ、ダメだよ!)
智流美の心の中から美散が叫び声を上げた。
(レ、レイちゃん、あたしのことを忘れてしまったの?もう、あたし、ガマンできないよ!!)
智流美は玲駆の心を動かそうとしたら美散になり、からだが大きくなり、テーブルを揺らし始めた。破れかけたセーラー服を、慌てて会場のメイドたちが野球ユニフォームに着替えさせた。
「オ止メナサイ。ワタクシタチノ、昼間ノ初夜ヲ汚ス気デスカ。出ヤエ、デス!」
昼間の初夜という矛盾用語は置いといて、エロザが命令すると、船の警備員たちがやってきて、大きくなりかかった美散を取り押さえた。
「やめて~!あたしはレイちゃんを連れて帰るんだから!」
背中を押されて叫んでいるのは美散であった。
「ククク。コレデ、美散サンノ告白劇場ハ、幕ヲ下ロシマシタ。」
「レイちゃんを奪われたし、あたしの人生、ゲームセットなの?」
「そうでもないぞ。巨人軍の選手はそう簡単に勝負を諦めないぞ。」
「その声、まさか、キャプテン乳母さん?」
「誰が乳母→乱母→ランボウさんだ?そもそもキャプテン翼でもないし。」




