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【第二章】第二部分

「アラアラ、コントロールヲ誤リマシタ。チョット、力ガ入リ過ギタヨウデス。ダカラユックリ投ゲテイルノデスガ、ツイ、チカラガ入ッテシマイマシタ。ゴメンサナイ。悪気ハ全然アリマセンケド。オーホホホッ。」

 ピッチャーは、悪意オーラに包まれた表情でナッキーに詫びを入れた。

「くっそーですっ。あんな顔を見せられたら、痛みを飛ばすしかないですっ。」

「ナッキー、無理をするな。そんな色になっているんだから、相当に痛いだろ。」

 ベンチからランボウが大きな声を出した。

「大丈夫ですっ。走れるですっ。なんの故轢死ですっ。」

 よろけながらベースに足タッチして、小幅なリードを開始するナッキー。

「イイデスネ。ソウコナクチャイケマセンネ。デハ投球ヲ続行シマショウ。ピカチュウ。」

 今度は試合中にもかかわらず、コンパクトを取り出して、光をナッキーに当てた。名前はコンパクトだが、長さ1メートルはあるデカブツである。

「ま、眩しいですっ!」

 眼が眩んで、顔を逸らしたナッキーに、ピッチャーはロージンバックを投げつけた。

『バサッ!』

「ロージンバックを投げるなんて、反則だろ!」

 ベンチからランボウが大きな声を出した。人間視点では、セメント袋サイズである。

「投ゲタノハ、コンパクトノ中ノ、ファンデーションデス。コレニハ罰則ガアリマセン。女子デスカラ、試合中モ、オ化粧直シスルノハ、ゴク普通ノコトデス。オーホホホッ。」

「塁に出ると、牽制球でわざと叩く、ランナーに当てる、それも走れないように足に。試合中なのに化粧始めて、ミラーを当てて目をくらましたところで、ファンデーションで視界を奪うで、タッチアウト。これって反則じゃないの?」

 美散は怪訝な顔でランボウに質問した。

「反則ではない。」

「え~っ!だったら巨人軍も真似すれば?目には目をだよ。」

「それは無理だな。化粧品が買えないし、だいいち化粧が似合わないんだよ!」

「キャプテンって、そんなに醜女?」

美散はランボウを見て自ら頷くと、ランボウから殴られた。

「ナッキーさん、残念でしたわね。これでこの試合のMVPは、手の届かないところに置かれましたわ。代わりにこのツルをあげましょう。骨を折らずにツルを折ってくださいな。ほーほほほつ。」

すでにバッターボックスに立っていたトモヨンは、四角の赤い折り紙をナッキーに飛ばした。

「チクショウですっ。トモヨンには別のところで、おサツ参りしてやるですっ。」

無料のれいよりも札の方がはるかに高価で、ナッキーは損する前提である。


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