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【第一章】第三十四部分

玲駆の隣の、廊下側の二列目が空席であった。

「いつもの美散は、『教科書忘れた~。』と言って二列目に移動して、彫り物背中に見せてもらってたみたいね。あまりに露骨ベタだわ。あきれてしまうわ。フンだ。」

目を閉じて鼻で笑いながら、智流美は堂々と二列目に座ろうとした。

「アラ、ココハ、ワタクシノ席デス。」

「えっ?いつの間に湧いて来たのよ?」

「陳腐ナ、サプライズノ仕方ハ、耳二イタリアデ、イカ焼売ガ、デキマス。」

「ツッコミどころ満載なフレーズなんだけど、あんた、見かけない顔だけど、転校生?」

「ハイ、留学生デス。今日デ三週間グライ二、ナリマス。アナタトハ、初対面ミタイデスガ、アナタモ転校生デスカ?」

「そうじゃないわ。ちょっと諸事情で無断欠席してたけど、今日から彫り物背中狩りに来たのよ。」

「狩リデスカ?体育ノ中二、ソンナ種目アリマシタカ?」

「あ、あるかもしれないわよ。そんなことはどうでもいいのよ。アタシは情野智流美、じゃなくて、情野美散よ。」

「ワタクシハ、観世絵ローザ。パーフェクト絵・ローザ、ト、オ呼ビクダサイ。」

「自分でパーフェクトとは恐れ入るわね。短く『エロザ』にするわよ。」

こうして、ローザはエロザと呼ばれることが決定された。うら若き女子としては、あまりありがたくない、場合によっては、イジメカテゴリーに入りそうなニックネームだったが、当のエロザは留学生でニュアンスがわからないせいか、『ワタクシハ、今日カラ、エロザ、今日カラ、エロザ♪』と、はしゃいでいた。

「お前たち、始業の前なのに、うるさいぞ。」

「ごめんなさい、彫り物背中。」

「ワカリマシタ、奴隷苦、ドレイク。」

「なんだ、その呼び方は?」

彫り物背中ドレイクに叱られて静かになったふたりであった。


午前中の授業は滞りなく行われ、昼休みの時間となった。

「よし。彫り物背中にアプローチするチャンス到来だわ。さりげなく、ごく大自然な感じで、学食に誘えばいいのよね。」

智流美は言葉の通り、緑鮮やかな大草原にでもいるかように、大きく両手を広げて、玲駆の前に立った。

「ヘイ、彫り物背中。あんたがどうしてもって言うなら、ラ、ランチ、ランチボルギーニしてもいいわよ。」

「イタリア車のランボルギーニのことか?それがどうかしたのか?」

「ワタクシト、乱チキ騒ギ、シマセンカ?」

「乱チキ騒ギって何よ?学食で暴れる気なの?」

「ワタクシハ、アバズレン坊将軍デハアリマセン。」

「あばずれ?自画自賛してるわね。」

「自家発電ナンカシテマセン。」

「漢字変換が全然違うわよ。」

「変態ト言ウデスカ?ヒドイデス。」

二人が空虚な論争をしているうちに、玲駆は消えていた。


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