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【第一章】第二部分

「宍戸くん、お早う。」「一緒に学校に行こう。」「今日もカッコいいね。」「いい天気だわね。」「デート日和だったりしない?」「えっ?これから授業?」「そんなのほっといていいわよ。わたしが代わりに勉強教えてあげるから。」「なにフライングしてるのよ、それは私の役割。」「いやあたしよ。」「いやいやわたしよ。」

 玲駆と美散の距離5メートルは、あっという間に群集女子で埋め尽くされてしまった。

玲駆は中学校の野球部エースになっていた。その精悍さ、クールさから、女子たちに大モテであった。

「レイちゃんったら、鼻の下を伸ばしきって。ふしだらだよ。伸ばすのは、球速だけにしなよ。はっ、言い過ぎたよ。」

恥ずかしそうに腰を左右に振りながら、電柱の影から玲駆にふしだらな視線を照射する美散であった。無論、玲駆の鼻の下は伸びてなどいないが、球速はどんどん上がっていた。

玲駆は女子たちの黄色い喧騒の中、チラリと後ろに目をやった。

「まだ、その時期が来てないな。」

ひとことを電柱の影にぶつけていた。

慌てて胸を押さえる電柱の影。

「な、何なんだよ。セクハラだし、急なる成長を強制するのは、パ、パワハラだよ?」

喋ると語尾がトーンダウンしていく美散。しかし、60秒経過後。

「あの言葉、約束を待ってるって、ことだよね。やっぱり、レイちゃんは、あたしのことを気にかけてるんだよね?はああ。」

ウットリしている電柱の影が消えて、かすかな光が差していた。

「こういうことになるから、いつも距離を置いてるんだけど、やっぱりムカつくよ。それにしても、みんなあたしより胸が大きいなあ。あたしの発展途上胸部はいつ経済成長を遂げるんだろう。ずっと、デフレのままだよ。きっと日本銀行のゼロ金利政策が悪いんだよね?ず~ん。」

眉毛を逆ハの字にして、スマホ電源と肩を落とす美散であった。


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