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【第一章】第二十二部分

工房にはすぐに着いた。人間界ならば大サーカス場に相当するが、巨人軍サイズでは、占い師のテントのイメージである。

「こんな安っぽいところが魔法工房?大丈夫かなあ。みんなが心配するのも、もっともかも。」

美散は恐る恐るテントの、布でヒラヒラした入口を開いた。

中はかなり暗く、机ひとつに、向かい合わせの椅子がふたつ、そして机にはお約束の透明な玉が置かれていた。そこに人影があった。

「うわっ!顔を茶色ローブで隠した老婆だ!あまりにベタな魔法使いスタイル過ぎて禿げたよ。年寄りの巨人軍もいるんだ?」

「なんじゃ、いきなり説明的老婆紹介か!勝手に人を老婆扱いしておいて。魔法使いが老婆姿なのは当たり前じゃ。」

「魔法使いカテゴリーって、若い美少女が主流だし、もっと広義なんじゃないの?偏った定義は身を滅ぼすよ。」

「ほっとけ。魔法使いで、魔法少女以外は全て老婆と決まっておる。って、そんなことはどうでもいいわ。貴様はどんな魔法を買いに来たんじゃ?」

「買いに?魔法って売買するものなんだ?魔法使いが自分で使ったり、他人、他者にかけたりするものじゃないの?」

「魔法はそのようなものではないぞ。利益を受ける以上、対価が必要なのは世の常じゃ。」

「そもそも魔法使いは、無コストで簡単に火を出したり、風吹かしたりできるんじゃ?」

「それはその気になれば誰でも取れる免許制のものじゃ。弱火はライター、強火なら火炎放射器、火炎弾とかある。」

「それってフツーの科学じゃない。しかもローテクだよ。」

「その通りじゃ。だから、それを魔法という。あまりにも身近になったから、魔法と思わなくなっただけじゃ。それを巨人軍サイズで扱うのはあまりに危険なので、免許制になっておる。使う必要あるコックとか、消防士とかに限定じゃ。」

「そんな巨人軍がいるんだ。」

「ああ、この特区のどこかにな。」

「何かを作り出したり、召喚したりできないの?」

「それは人間がいくらでもやっておるではないか。宇宙ロケットとかは、逆立ちしても魔法では作れないぞ。」

「召喚獣とか。」

「動物園に行けばよい。サーカスなんかでは想像を超える曲芸が見られるぞ。」

「ヒーリング魔法とかは?」

「医者やクスリが氾濫しておるじゃろう。」

「テレビでは、よく魔法でケガを治したりするじゃない。」

「それはないことはないが、病院に行った方が早く確実に治る。」

「そんなのファンタジーじゃなくない?」

「ファンタジーで病気やケガが修復できるなら苦労はないわ。ヒーリング魔法とやらは、医学薬学の進歩に遅れを取ったんじゃ。魔法は、ケガした部分の皮膚を温めて、細胞分裂や再構成を促すものじゃ。そんなにスローテンポじゃ、重たいケガはなかなか治らないんじゃ。逆に魔法使いが疲労疲弊して倒れてしまうわ。」

「肉体を強化したり、できないの?」

「トレーニングジムに行け。」

「そんなの、ただの筋トレじゃない。」

「そういうこと。昔はジムはなかったからのう。魔法とはタネも仕掛けもあるキチンとした科学じゃからな。昔は科学を大多数のモブ市民が、知識なく超自然現象だと勝手に思い込み、魔法使い側もいい気になってモブの誤解に乗って利用していたんじゃからな。人類の進歩は素晴らしいんじゃ。」

「なんだか魔法についての期待感がしぼんでしまったような気がするけど、まあいいよ。あたしがここに来た理由は、あたしのからだを小さくしてもらうこと、つまり元の人間大にしてもらうことだよ。」


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