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【第一章】第十三部分

恐る恐るナイフをダチョウに入れる美散。ナイフというよりは、大きな薙刀である。ダチョウを切るというより、引き裂いた美散は肉片ならぬ肉塊を口に運んだ。よほど空腹だったのか、次々と肉を捌いては、口に頬張っていく。10分程度で、平らげた美散。

薙刀と刺又を左右に持って、テーブルを叩いている美散。

次の肉塊がやってきた。今度はダチョウよりもふた周りはデカい。

「これって、牛の丸焼き?こわ~い。こんなの食べられないよ~。」

さすがに震えている美散。鳥類よりも高等な動物は、小分けにしない限り守備範囲外である。お腹を押さえて、厳しい表情を見せている。

「こわいけど、空腹という魔物がここにいるよ。」

お腹を擦ってそんなことを言いながら、牛肉をガツガツと食べていく美散。

ほとんど食べ終わった頃に、シャワーから上がったランボウが、ぬれた髪を拭きながら食堂に入ってきた。

「なんだ、もう食い終わったのか。せっかく一緒に食べようと思ったのになあ。」

「足りない、足りないよぉ!」

「そうか、そうだろうな。でもそれは量の問題じゃないぞ。質だよ、質。」

「質だと?食事の質のことなのかな。あたしは新人だから、低品質の肉を食わされたということなの?」

「それは違うぞ。とりあえず、今、それは置いておこう。それよりさっき美散が浴びたシャワーの赤い血は、今食べている肉から抜いたものだ。前菜のスープにもってこいだろ。フハハハ。」

「あたしがこんなに大量の肉を食べたから、こんなことに。うげ~っ。」

慌てて口を押さえてトイレに駆け込んだ美散は、食欲を失った。

食堂にひとり残されたランボウはポツリと言った。

「質は本当に大事なんだ。真に食欲を満たすためには、尊厳を失う覚悟が必要だけどな。」



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