プロローグ
「ワタクシハ、貴女ノ彼氏デアル宍戸玲駆ヲ、奪ウコトヲ、此処二宣言シマス!」
カタコトの日本語が登校路に響く。
二本の金色で長いロール髪、右が赤、左が青のオッドアイのハーフ美少女。
その向かいにいる黒髪のツインテール女子が、ハーフ美少女を睨み付けている。
周りにいる女子たちは、金髪ハーフに対して眉根を寄せまくって、強烈な視線を浴びせ倒している。
「また観世絵ローザさんがやってるよ。」「ローザは他人の彼氏を食い物にするというウワサだわ。」「ホント?なんでも堂々と男子に告白して、必ず釣り上げるらしいわ。」「告白成功率百%ってこと?」「千%らしいわよ。」「それって『ナンパされ祭り』ってことじゃない?」「告白された男子は骨抜きにされるらしいわよ。」
生徒たちの話声は大きく、もはやウワサではなく、野次である。
「今回の相手の男子って、あのイケメンの宍戸くん?」「そうらしいわね。」「で、彼女が黒髪の子?」「そのようね。三年生の情野美散さん。」「でも美散さんって、彼女じゃないわよ。」「彼女じゃないのに、ローザが彼氏奪取宣言ってどういうこと?」「さあ?初物狙いかしら。」「今までもそういうことはあったらしいよ。」「気に入ったら何でもたべるのね。」「こわ~い。」「あんた、怖がる意味なくね?彼氏いないのに。」「それはそうだけど、未来の畑を荒らされたくはないわ。」
野次馬女子のウワサ話をよそに、美散とローザは睨みあっていた。