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第8話 敬語大事! 魔王はもう死んでいる!?

 前回のあらすじ。

 街のみんなはマサルの事を便利屋だと思っているぞ!





「きゃー! マサルー!」

「素敵! 抱いて!」

「私をお嫁にしてー!」


「はっはっは! こらこら、俺は1人しかいないんだ、こんなにモテモテなのは困っちゃうよ! はっはっはっ……」




 これこそが異世界チーレムの正しい姿だ! 

 なんの意味もなくモテまくる!  

 何でかって? 

 うるせー! そういうものなんだよ!



 ただ。



「おお、マサル君、畑で取れた野菜だよ、美味しいから食べてくれ」

「あら、マサル! また家のおじいちゃんの話し相手になってあげてね!」

「ねー、木の上にボール引っかかっちゃたー」



 俺の現実はこんなものである。

 ワイバーンを売りさばいた金で暫くは宿や泊まりで衣食住は何とかなった。

 しかし寿命ばっかりはそうは行かない、いつ手違いで死ぬかはわからない以上俺は善い事をして寿命を伸ばすことに専念したのだ。

 そして1ヶ月街のみんなの小さな悩み相談から雑務を引き受ける事で何とか1年分の寿命を確保することができた。



「マサルさーん! こちらのお手伝い終わりましたー!」

「私も子守終わったわよー」



 新たに分かったこともある。

 俺がギルドに登録してから2人が行った善い事も俺の寿命に少しプラスが働いてるのだ、もちろん反対も同じく仲間が悪い事をすれば寿命がマイナスされる。

 カヤノは俺と一心同体だしもちろんの事、マリヤは誰にも頼ることができないので快く手伝ってくれてる。

 そのおかげで俺達はこの街でちょっと名のしれたパーティーとなっていた。




「ふー、お疲れさん、ようやく1年くらい寿命が増えたよ」

「よかったです! これで少し不安はなくなりましたね!」

「ていってもねー、負債が1万年あるからねー、やっぱり街の便利屋さんじゃ駄目かもねー」



 頬づえをつきながらだらけたカヤノがやる気のなさそうに愚痴る。

 正直俺もそれは感じていた。1ヶ月無償で3人とも街の便利屋をやっているのに寿命は1年ちょっとしか伸びないのだ、1万年には程遠い。

 ちなみに負債については俺の元の寿命を超えると自動的に回収されるか、1日に一善もしなかった場合自動的に今ある寿命の半分を持っていかれるのだ。



「確かにこのペースじゃ完済する前に人類が滅びそうだな……」



 何か無いものか……善い事、善い事、異世界で1万年分の価値がある善い事か。

 ふと思いついたことがある。

 チンピラに絡まれたとき相手の自業自得とはいえ撃退して特にペナルティが無かったのである。

 誰かが酷い目にあってるのを助けるのはどうだろうか、それも多くの人を。



「魔王、そうだ魔王を倒せばかなりプラスになるはずだ!」

「なるほど! 魔王を倒せば苦しめられている人全てを救ったことになりますね!」


「え? 魔王なら2週間前勇者に倒されたわよ」



 計画倒れとはこの事である。

 既にこの世界の勇者に倒されており、世界はそれ程危機でもないらしい。



「まあ、そうね近々新しい魔王が出てくるかもしれないからそれに期待ね」

「あーーーー、どうすんだよ完全にやる気なくなったわ」



 どうも俺の想定していた異世界とは噛み合わない、2週間前って何だよ! おじいちゃんの昔話ばっかり聞いてたから世間に置いてかれてるわ!



「あれ? でもワタシ魔王城に入るには特別なアイテムが必要って聞きましたが、それってまだ見つかってないらしいですよ?」

「え? そうなのか?」

「あぁ、それなら1ヶ月前くらいに謎の高速飛行物体が城をぶち壊したおかげで必要なくなったらしいわよ」



 1ヶ月前の飛行物体って……

 俺がぶっ飛ばしたカヤノのことじょないか!? 俺のせいじゃねーか! いや良いんだけどね!?



「聞いた話だと魔王城って魔王の力の源っていうから壊されたことがよっぽど影響したのね、だってあの勇者の力じゃまだ倒せないはずだもの」



 なんかすみません! 勇者と魔王に申し訳ない!



「その勇者はこの街のギルド出身だからって近々貴族が来るらしいわ、あんた言葉遣いに気をつけなさいよ、ああいう偉い奴ってのは言葉遣い1つでブチ切れるんだからね!」



 何だか疲れてしまった俺は早々に寝る事にした。

 命の宝くじ1億年とかないもんかねぇ……



 


 夢を見ていた。子供の頃からよく見ていた夢。     ガン!

 それはゲームの世界の勇者になって悪をくじき正義となる事。

 

 ガンガン!


 ずっと夢見てたもの、俺はそれになれたと思ったんだガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!!!!!



「うるせーー!」


 こっちは懐かしの夢見てセンチメンタルなロマンチシズムに浸ってんだ畜生! ガンガンガンガン! うるせぇ! ぶっ殺すぞ!




「朝一から誰だよクソッタレ! おめーぶっ殺すぞ!!」


「あら、このわたくしにぶっ殺すなんて結構な口聞くわね。お父様に聞かれたらブチ切れられるわよ」



 扉を開けると……そこにはお姫様がいました……。





 最強の男、マサル


 残り寿命、10ヶ月 (不敬でマイナス)


 命の負債、《1万年》




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