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第1話 絶体絶命! 残り寿命1日!?


「残念ながら貴方の人生は終わってしまいました」



 美しい女神がそう言った。

 もちろんわかっている。俺は死んだのだ。




 俺の名前はマサル、入学当初からクラスの不良達にイジメられている。

 その復讐のため、通販で買った最高にカッコイイナイフと超イケてるガスガンで不良共に鉄槌を下す訓練(妄想)を毎日していた。

 

 そんな毎日の中で考えに考えた最高の復讐プランがついに完成したのだ!

 これは我ながら恐ろしい、もしかしたら俺は世界一のエージェントになれるかも知れない。


 最高の計画が完成した祝にコンビニで大量の飲み物とお菓子を買った帰り、俺は100台のトラックに引き潰された。




「貴方にはこのまま天国に行くか、異世界で人生をやり直すかを選べます」


「じゃあ異世界でお願いします! チートスキル山盛りで俺Tueeee‼ さしてください!」



「生前はとても可哀想だった貴方には特別サービスとして、その望みを叶えましょう」



 最高の展開だ!

 異世界。

 チートスキル。

 ここまでくれば次はハーレムと来るしかない!

 まさに寝る前いつも妄想していた事がそのままになるんだ!俺は思わず狂喜乱舞してしまう。


 そんな俺を冷ややかな目で見ながら女神はとんでもない事を言った。



「ただし、貴方には制限をかけます」


「え?」


「転生した先の世界を滅茶苦茶にしないよう、悪いことをするとその程度によって寿命が失われるようにします」


「そんな!?」



「それでは貴方を異世界に転生させます。世界の秩序を守り、人々を救う善人になるのですよ」



 そんな事されたらムカつく奴をぶっ飛ばせないし奴隷を買ってハーレムを作れないじゃないか!

 全力で抗議をしようと女神に近づくと、魔法陣のようなものが足元に現れ体がだんだん吸い込まれていく。



「ちきしょーー!! させるかー!!」


 魔法陣に吸い込まれ消えかけていた俺は、手を伸ばし女神の足を思いっきり掴み引きずり倒した!



「あいた! ちょっと! 何をするのです! 止めなさい!」



「ははははは! フザケた真似しやがって! お前も道連れだ!」


「イヤー!」


「はははははは!」



**************



 魔法陣からでると平原にいた。



「転生て言っても姿はそのままなんだな」



 雲1つない青空の下、どこまでも広がる緑の草原、泣きわめいてる女神、まさしく異世界だな!



「ああああぁ! うわぁあああ!」



 コイツうるせーな。

 それにさっきまで美しかった顔が涙と鼻水でグチャグチャになっていて正直見ていられない。



「神ざま! わだじを天界にがえじでぐだざい! おねがいじばず!」



 唾液と鼻水を飛び散らせながら天に向かって半狂乱で叫び倒す女神。

 なんだか見ていて気分が良い、俺の華々しい異世界生活に不純物をいれるからこうなるのだ。


 そう思っていると、何処からともなく重く響く、威厳のある声が聞こえてきた。

 


「汝はその少年にかけたバッドスキルの監視者となるのだ、全てが終わるまで天界に帰ることは叶わぬ」


「なんででずが! おじひ! おじびおーーー!」



「自分でしでかしたことだ、お前の跡はワシのオキニの女神に任せることにする。安心して責務を果たせ」



 なんと自由な神だろうか、正直な話勢いで連れてきてしまっただけなので別にいらないのだが。

 憂さ晴らしは十分なようなのでこの顔面汁まみれは返品してしまいたい。



「そこの少年よ、ステータスオープンと言うと現在の力やスキルがわかるぞ」


「あ、そうなの? サンキュー!」


「ほっほっほ、礼には及ばぬよ、ではな」



 最後に有用な知識を与えて神の声は聞こえなくなった。

 絶望の余り頭を地面にえぐりこみ始めた女神は放っておこう、そんなことよりも定番のこれをやらなければな。



「ステータスオープン!」



 俺の前に立体映像のゲームのステータス画面が映し出された。

 



『最強の男』



 力、∞

 素早さ、∞

 防御、∞

 魔法、∞

 スキル、∞

 

 だいたいなんでもできるよ。





「すげー! 俺Tueeee!!」


 無敵すぎて説明が適当になるくらいの能力値だ! 詳しい説明を見ようとしたが、殆どのステータスが横に∞とあるので間違いなく俺はこの世界最強だ!




「調子に乗ってんじゃないわよこの馬鹿! アンタのせいで私がこんな目にー!」

「ちょ! 汚ねぇ! やめろよ!」



 汚らしい顔で怒りをあらわにしながら襲いかかってきた女神に思わず軽く手を突き出し突き飛ばしてしまった。



 ボッ!!



「え?」


 俺は軽く突き飛ばしたハズなのに凄まじい音と共に女神がそのまま吹っ飛んでいった。

 

 一瞬で直線に吹っ飛んでいった女神に呆気にとられていると、映し出されていたステータス画面が真っ赤に点滅し、⚠警告! ⚠警告! という文字がデカデカと表示された。



「あ! まさか!」



 慌ててステータス欄の横、バッドステータス一覧を見ると。




バッドステータス、『世界の監視』


残り寿命、《1日》




「うわあああああぁ!!!」



 雲1つない青空、無限に広がる緑の草原、響き渡る男の絶叫。


 ここはまさしく異世界である。






 最強の男、マサル


 現在の寿命、残り1日


 

 

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