フェレットもふもふ
フェレットも、日本でもそれなりにメジャーになっただろう。私はこれまで二頭のフェレットを飼った。一代めは8年生き、二代めは6.5年生きた。フェレットの平均寿命と言われるのは6年から10年と幅がある。10年は平均寿命というよりも、ほとんど上限と思っていいようだ。
フェレットはどうやって家にやってくるのだろう。まず、世界中に何社かあるファームで生まれている。これは養殖などのような感じではなく、生産である。というのも、フェレットは実験動物でもあるからだ。その一部がペットショップにやってくる。
フェレットは、ファームを出る際には去勢や不妊手術が済まされている。これは、ファームの運営という面もあるだろうが、それだけではない。まず、フェレットはイタチである。つまり臭腺がある。これが残ったままだと「イタチの最後っ屁」というように強烈な臭いを出す。だから、臭腺除去がどうせ必要だ。そして、フェレットの習性上、とくに雄については去勢をしていない場合、発情期に入った場合、下手をすると自死の可能性がある。ホルモンが関係しているらしいが、攻撃的になったりストレスが問題らしい。それらとは別の理由もある。これは比較的最近になってできた理由とも言えるのだが、各国においてフェレットは外来動物である。だから、去勢や不妊手術が必要になる。
なお、臭腺と関係するのかどうかは知らないが、フェレットには独特の体臭がある。シナモンのようなとも言えるだろうが、意外に強い体臭だ。これがダメだという人もいるようだ。
さて、日本では最近になって知られるようになったペットだが、ペットとしての歴史は、犬、猫に次ぐ長さがあると言われている。フェレットの原種はヨーロッパケナガイタチだと言われている。当然、昔は臭腺除去などされていなかったわけだが、中世では首輪やハーネスで棒に繋いでいたりしたようだ。また、古い絵画にイタチが描かれていることもあるが、それはおおむねフェレットだったりする。
また、最近では法律で禁止されているのだが、ウサギなどの狩りに使われたり、あるいは紐などを結びつけてビルディングの配管の中を走らせ施工を手伝わせていたりもした。
配管の中を走らせてということだと、映画「コナン・ザ・グレート」だったか「コナン・ザ・バーバリアン」だったかで、コナンが持っている鞄の中に二頭のフェレットがいたりもした。そして、神殿かなにかの中を、咥えてか結わえてか、鍵を持って走り回っていたりもした。これはフィクションではあるが、間違いではないフェレットの扱いであったり、行動だったわけだ。
猫や犬でもそうなのだが、フェレットにも躾が必要だ。基本、ともかく噛む。小さいが立派な牙があり、噛まれると痛い。なので小さいうちに、噛み癖だけは躾ないといけない。とはいえ、簡単だ。噛んできたら、尻を叩いてやる。これを何回かやるだけで、だいたい大丈夫だ。トイレなども、匂いをつけてやればちゃんと覚える。
ただ、フェレットはあまりなかない。楽しい時なんかには、クックッと声を出しはするが、その程度だ。楽しい時と言えば、そういう時には尻尾の毛が逆立っている。尻尾を立てて、その毛が逆立っていれば、なにか楽しんでいる証拠だ。
躾のしやすさや、あまり鳴かないということもあり、フェレットは飼いやすい動物だと言えるだろう。飼いやすいとして、ペットとしてはどうだろう。二頭の経験から言うと、フェレットはベタベタに甘えてはこない。基本、好きなように行動しているが、横に来て丸くなるくらいには慣れる。というか、懐き方はフェレット独特なのだが、非常によく懐く。あと、だいたいなにをされても嫌がらない。なにをされてもポジティブに楽しむようだ。
餌が欲しいなどなにかを訴える場合、フェレットはじっとこちらを凝視めてくる。水皿を鳴らすようなこともあるが、基本凝視めてくる。
凝視めてくるのはなにかが欲しい場合だけではない。家の中で散歩させ、飼い主も一緒にいるような場合、右に曲がるか左に曲がるかというような場合、見上げてくる。
さて、フェレットを飼う場合に注意して欲しいことがある。ジステンパーの予防注射と、フィラリアの薬を飲ませるのは、飼い主の責任の一部だ。だが、フェレットはエキゾチック・アニマルであり、対応できる動物病院と、対応できない動物病院がある。哺乳類なんだから、犬、猫を診れる動物病院なら大丈夫だろうと甘く考えないで欲しい。フェレットは基本、実験動物だと書いた。なのだから、いろいろとよくわかっている。だが、それと特定の獣医師が病気の予防や治療ができるかどうかとは別の問題だ。連れていける範囲に、フェレットも診ることができる動物病院を見つけてから、飼うようにして欲しい。
最後になるが、フェレットはファームによって体格や毛並み、そして性格に違いがある。このあたりは、信頼できるペットショップでよく観察し、また店員によく聞いて確認して欲しい。そして、フェレットには完全食が用意されている。おやつもある。信頼できるペットショップであれば、それらも用意しているだろう。短かくとも数年はそのペットショップのお世話になるつもりで、ペットショップも選ぼう。