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introduction
今日も私は電車に乗る。
隣にいるのは運転手。
ガタンゴトン、と静かな電車に乗ること数十分。
「——来たよ」
後ろを振り返ると、車内は明るくなっていた。
女の人が、一人。
フラッシュバックする光景。
「——今日も、行くのか」
こうしていても、過去は変わらないとしても。
「——行くよ」
未来は、変えられる。
この手で、変えられる。
「——そうか」
運転手が、呟くようにして言う。
「なら、行け。今日は近い。十分もあれば着く」
「ありがとう」
本来ならば、これは忌み嫌われる仕事。
だけどこの人は許してくれる。
本来ならば、これは許されない仕事。
だけどこの人は隠してくれる。
「早く、行け」
私はうなづく。
帽子を被り、鞄を肩にかける。
「行ってくる」
車掌室から、一歩踏み出す。
未来を変えるために。
後悔する人を減らすために。
「——私のような人を、減らすために」




