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十三章 天使




 防壁の上には私とトロワと謎の少女の三人だけ。


 櫓の中には兵士がいるのかも知れないが、出て来る様子はない。


 目の前に転がるトロワの切断された腕からあふれる血が、ゆっくりと血溜まりを作って行く。赤い血だ。ヘモシアニン由来の青い血などではなく、人間と変わらない赤い血。


 サビ臭いような血臭も、人の血そのもの。


 トロワの外見も、奇抜なファッションではあるが、人間と差異はない。


 牙も角も尻尾も翼もなければ、耳も尖っていない。


 悪魔とはなんだ? 人間と何が違う?


 私から完全に意識を少女に移したトロワが、唸るように言う。


「くせぇくせぇくせぇ。守護香しゅごこうのニオイぷんぷんさせやがって、どこの天使だ!? 見ねぇ顔だな?」


 守護香? ただの香水ではなさそうだ。そして、悪魔の次は天使か。


 あの少女も、人間離れした美貌の持ち主だが、翼がある訳でも、天使の輪が頭の上に浮いている訳でもない。どこにも生物的な人間との差異は見受けられない。


 少女はトロワの方を向き、微笑む。


 か、可愛すぎる。マジ天使による天使の微笑みですか?


「天使様だなんて畏れ多いですよ。私は神の一信徒に過ぎません」


 トロワから発せられる気配が変わる。二度目なので今度はわかる。トロワからあふれるロファルスが辺りを満たし、空気を重く感じさせているのだ。


「戯れ言いってんじゃねーよ。不意打ちとは言え、俺様の腕を切り落とせる人間がいるか!? それにあんな覇音はおん、天使じゃなきゃ発せられる訳がねぇ!」


 覇音? さっき頭の中に響いた声のことか?


 少女は、手にする細身の剣をユラユラゆらし、首を少し傾げる。


「不意打ち? あれだけはっきりと覇音を聞かせたのに?」


 トロワの髪が、さらに逆立った気がした。まさしく“怒髪、天を衝く”である。


「いい度胸だぁ! 片手の俺様になら勝てると思っているなら甘いぜぇ。こんなものすぐに治る」


 燃えるような再生の光が切断面から放たれ、目の前に転がる切り落とされた腕へと伸びると、血溜まりの血ごとゴムのように縮んで腕を繋ぐ。


 だらりと下がり、動かないようなので一瞬で治った訳ではないだろうが、この治療スピードでは完治するのは時間の問題。


「さあ、ボーナスタイムだ。俺様が片手のうちにせいぜい楽しませろよ。左手が使えるようになったら一瞬で殺しちまうからなぁ。命乞いしたって無駄だぜ。俺様は命乞いしてるやつを殺すのがたまらなく好きだからなぁ」


 ゾッとする程の闘気がトロワの大剣を包み、赤黒く光る。


烈線れっせん灼気しゃくき炎熱斬えんねつざん!』


 トロワの声が、刹那の一瞬で意味として頭の中に直接鳴り響く。


 目視出来ない速度でその大剣を袈裟懸けに振り、紅蓮の烈線を放つ。


 キュイィィーッ! まるで共鳴音のように鳴り響く音。


 キングアースビートルのものと比べても段違い。まるでレーザービームのような閃光と速度で放たれ、一瞬で防壁が斜めに切り裂かれた。


 櫓のひとつも真っ二つである。中に兵士がいたら無事とは思えない。


 数百メートルにわたり滑り落ちて行く防壁。断面はマグマのように真っ赤に溶け、土煙も上げずに落下。


 辺りの温度が一気に上がり、陽炎がゆらめく。


 町の外に落下した防壁が轟音を上げ、舞い散る粉塵が火の粉のように赤く燃える。


 ただの烈線ではない。明らかに火の魔法が込められた炎仕様のもの。


 少女はまさしくその斬撃の最中にいたはずなのに、何事もなかったように立っていた。


 すぐ隣の熱々に溶けた防壁の断面を面白そうに眺め、熱気に持ち上がるスカートを手で押さえている。


 少女はにこやかに微笑む。


「何かしましたか? 壁しか斬れてませんけど?」


 トロワの周りの床が、グツグツと熔け出す。


 危ないので、トロワに気付かれないようそろりそろりと距離を取る。


 トロワの大剣が、再び熱と闘気に満ちて行く。


「ざけたまねしやがって!」


 真一文字に振られた大剣から、再び烈火の光線が放たれる。


 キュイィィーッ!


 脳髄に響くような反響音と共に、少女を上下に切り離す軌道で放たれたそれは、再び少女に触れることもなく後方に飛び、二人の身長差分の僅かな傾斜で、防壁の端を薄く削りながら彼方に消えた。


 初撃と反対方向に大剣を振り上げ、次は町の方へ斬り下ろそうとした刹那、少女が細身の剣の柄の部分をトロワの手首に当て、振り下ろしを止めた。


 行き場を失った熱と闘気が、振り上げたままの大剣から空に撃ち放たれる。


 キュギギイィィーッ! 耳が痛くなるくらいの響き。


 少女が一体いつ移動したのかもわからなかった。


 トロワの懐近く、菩薩半目で地面を見詰める少女は言う。


「それは駄目です。町が焼けてしまいますから」


 熱が増し、トロワの足は熔けた防壁に沈み出す。


「天使らしい台詞だな。ならぁ、守って見ろッ!」


 トロワの足元が爆発。その爆風で飛翔したのか、それとも爆発する程の跳躍だったかは定かではないが、町を一望出来る高さまで飛んだトロワが、大剣を納めてその手に膨大な魔法力を集中する。


「町ごと消えろッ!」


 手のひらに生まれたのは深紅の光球。爆の魔法だが、私やミキが生み出したものとは比較にならない程の濃い赤で、とてつもない魔法力が集中されている。


 緊張で心臓が高鳴る。あれはトロワの言葉通り、どう見ても町ごと消し飛ぶ威力だ。


紅蓮爆リズフィム・ラウズファー!!』


 裂けるように頭に響く覇音。


 トロワが町に向けた手が、突然腕に突き刺さった光の矢により跳ね上がる。


 それは、手から魔法が放たれる瞬間で、真っ赤な光球は町ではなく、遥か彼方に撃ち出された。


 グゴゴゴォーッ!


 戦闘機の飛行音のような、耳をつんざく轟音で大気を焼きながら飛んで行く。


 信じられない速度で飛んだ光球が、景色の果てに着弾するまではほんの一瞬。


 まるで無声映画のワンシーンのように、何の音もなく赤一色の閃光が包み、その光が消えると、着弾点に赤い熱エネルギーがドーム状に膨れ上がり、爆発。


 大地が根こそぎ跳ね上がり、たちまちキノコ雲が立ち上る。


 ゴグッゴゴッゴォーッ!


 最初に到達したのは、今まで聞いたこともないような大音量の爆音。


 断続的な地響きが鳴り止まないなか、可憐な声はとぼけたことを言う。


「魔法、逸れましたね。町も私も無傷ですよ?」


 次に到達したのは、立っていられない程の爆風。灰と焦げ臭さが混じった灼熱の風が吹き抜ける。


 剣と魔法の幻想の世界だ。なんでもありなのはわかっていたが、ほんの数秒の集中で、片手から放った魔法が核爆弾のような爆発を生んだ。想像を絶する世界に来たものだ。


 矢は、角度的に町から放たれた。少女の仲間がいるのか? あるいは少女がなんらかの方法で放った一撃か?


 着地したトロワは、忌々し気にその光で出来た矢を見詰め、噛み付いて引き抜く。


 地面に吐き出されると、その矢は跡形もなく消えた。


 トロワのだいぶ後方まで避難しているので、表情は見えないが、おそらく血走った目で少女を睨んでいることだろう。


 ジリジリ焼ける防壁。


「いい気になっているところ悪いが、ボーナスタイムは終了だ!」


 トロワはそう言って両手を広げ、手のひらを握ったり開いたりし、完治をアピール。


 少女は、僅かに首を傾げる。


「私には治ったようには見えませんけど?」


 トロワの両手から炎が立ち上る。


「どこが治ってねぇって?」


 だが、少女は胸元から取り出した懐中時計に、あの菩薩半目で視線を落とし、トロワのアピールを見もしない。


「回復魔法に自信があるのならば、なぜ一から再生せず、“落としもの”を再利用して治したんですか?」


 少女は懐中時計しか見ていない。


「なんの話だぁ?」


 トロワの反応はもっともだ。少女は、なんの話をしている?


 少女はにこりと笑顔を向ける。


「そろそろ時間です」


 その瞬間、トロワがガクガクと震え出す。


「キサマ!? 何をしたッ!?」


 私は初めて気付く。少女の笑顔に紛れた強烈な殺意に。


 その笑顔を崩さず少女は言う。


「駄目ですよ。肉体から離れた身体は、ロファルスが消えてしまって無防備なんですから。毒なんて仕込み放題ですよ。それを身体に戻すなんて無謀過ぎます」


 毒!? いつ仕込んだ? 落ちた腕は私の目の前にあった。少女が近付いたところなんて見ていない。


「卑劣なまねをッ!」


 恨み節のトロワを、首を傾げて見詰める。


「卑劣? 自身の傲り、過信、油断が招いた結果では? ただ、安心してください。命を奪うような猛毒は効かないでしょうから、ほんの数分動きを止める程度の痺れ薬です。ロファルスの消えた身体くらいにしか仕込めない程度のね」


 数分動きを封じたら“詰み”な気がする。だが、それを聞いてトロワが威勢を取り戻す。


「フハハハハッ、それこそ油断だな。痺れが消えるまで待てばいいんだろう?」


 トロワの周りにいくつもの魔法陣が生まれ、炎が吹き出す。吹き出す炎の色は魔法陣ごとに異なり、舞い上がったその炎はみるみる鳥の形になり空を飛ぶ。


 赤、黒、白、青、黄色、緑、紫、様々な色の火鳥イル・フィーアがその美しさを競い合うように飛び交う。


 その姿形も千差万別。隼や雀のようなものや、梟のような姿のものもいる。


火鳥イル・フィーア使いの異名は伊達じゃねぇ。俺様が戦闘用に呼ぶ火鳥イル・フィーアは、偵察用のとはレベルが違うぞ? 倒したきゃ倒せ。ただし一匹でも倒せば自爆でこの町は消し飛ぶがな。ヒャッヒャッヒャッ」


 最悪の展開なのに、少女の表情は変わらない。


 そして、閃光が煌めくと、全ての火鳥イル・フィーアが光の矢に射抜かれる。


 ドカドカと落ちた燃える鳥たちは、みるみる灰と化し跡形もなく消えてしまう。


「な、何をしたぁッ!?」


 トロワが、悲鳴に近い叫びを上げた。


 少女は小首を傾げるだけの素っ気ない反応。


「なにって、倒したいから倒しただけですけど?」


 トロワが完全に怯え出す。


「自爆させずに倒せる訳がないだろう!? キサマ! 何者だッ!?」


 少女は尚も疑問符でも浮かびそうな表情。


「創り手なら知っているでしょう? 魔法生物は、核を破壊されれば消滅します。どんな命令を設定されていてもです」


 瀕死で自爆設定とかか?


「どうやって核を正確に射抜いたッ!?」


 少女は、見惚れる程の美しい歩みでトロワに近付きながら言う。


「それは、これから死ぬ貴方に説明する必要があると思いますか?」


 手を広げたポーズのまま、トロワがなんとか動こうとブルブル震えるが、麻痺毒は抜けておらず動けない。


「た、頼む。助けてくれ。まだ死にたくねぇ!」


 細身の剣がしなる。


「見苦しいですね。“命乞いしてるやつを殺すのがたまらなく好きだ”などと言っておきながら」


 トロワの頭が転がる。その両目は貫かれ、倒れた身体にも、心臓の位置に傷があった。


 早すぎて何も見えなかったが、両目と心臓の三段突きを見舞った後に首をはねたのだ。


 トロワの遺体に白いマントを掛けると、そのマントごとトロワの遺体も消え去る。


 何をしたのかは、私には判断出来ない知識外の現象。


 安全は確保され、よもや助けておきながら私に危害を加えると言うことはないだろうと、少女に歩み寄る。


 菩薩半目で視線を落とす少女は、変わらぬ穏やかな優しい声で言う。


「残酷だと思いますか? あの者は何百年にも渡り、火鳥イル・フィーアにより旅人をむごい方法で焼き殺して来た外道です。回復魔法にも長けているので、あれくらいしないと即死もしない。もし貴方が悪魔と戦う時は、脳と心臓を確実に破壊することを心掛けてください」


 悪魔と戦う時とか、私をなんだと思っているのだろう?


 ってか美少女は吐く息さえ芳しいのか、ミントのようなさわやかな香りが漂う。


「私は少しも残酷だとは思わないけれど、それを聞くと言うことは、あんな外道相手でも、あなたは残酷なことをしていると思っているの?」


 少女の薄目が僅かに開く。そして、鈴を転がすような笑いを漏らす。


「ふふっ、あなた、面白いことを言いますね。そんなことより、怪我はありませんか?」


 話をそらした。人に思われているのではなんて考えることは、だいたい自分が思っていることである。きっと図星だったのだろう。


「大丈夫です。助けていただいてありがとうございました。あなたは命の恩人です」


 私の素直な感謝の言葉に、少女は浮かない顔を向ける。


「そんな感謝されるようなことではないんですよ。私は昨日、火鳥イル・フィーアの自爆を遠くから目撃し、あなたに“印”が付けられたことを確認したので、トロワが現れるのではと、あなたのことを囮にしていたのです」


 律儀な人だ。そんなこと言われなければ私には知るよしもない。


「それはあなたの目的に対する自責であり、私があなたに命を救われた事実にかわりはない。だから、この恩はいつか返します」


 少女の青い目がさらに開かれ私を見る。まるで万華鏡のようなきらびやかな輝きを閉じ込めた瞳が美し過ぎる。その顔に浮かぶのは、穏やかな微笑み。


「律儀な方ですね。では、いつか私の力になってください。それでは、いずれどこかで」


 そして少女は、一瞬で消えてしまった。後には、あの甘い甘い花の香りだけを残して。


 聞きたいことは山程あったが、いなくなってしまったのでは仕方ない。


 とてつもないレベルの戦いだった。


 トロワは間違いなく常軌を逸した強さ。キングアースビートルが千匹いたって瞬殺出来るような実力だっただろう。それを、実力の片鱗さえ見せず圧倒して抹殺。


 少女が本気を出していたとは到底思えない。


 終始余裕と落ち着きを放ち、トロワへの攻撃は初撃と止めの僅か二回だけ。


 まるで夢のような戦いだったが、夢ではない。


 戦いの痕跡は遥か彼方に未だ昇るキノコ雲や、間近の斬り落とされた防壁が物語る。


 そこでふと崩れた櫓の中に兵士がいるかも知れないことを思い出し、救出に向かい掛けたところで声が掛かる。


「お~い! キミ、無事かい?」


 見れば、昨日防壁の上にいた鎧姿の兵士が階段を登って来たところだった。


 無事である旨を伝えると、兵士のおじさんはおかしなことを言う。“自分はあの崩れた櫓にいたはずだったのに、町中にいた”と。それが意味することは、瞬間移動魔法で避難させられたと言うこと。


 丁度今しがた、トロワの遺体や自分自身を一瞬で消した少女がいたので、あれがおそらく瞬間移動魔法。


 何があったか聞かれたが、ややこしいことになりそうなので何も知らないふりをした。


 この世界の兵士が如何なる集団かはわからないが、警察の役割も果たしている場合、最悪拘束されると言う事態もあり得る。


 なんせ私は、異世界から来た怪しいやつなので。


 その怪しいやつを見付けて破顔する美女がひとり。


 防壁に上がって来たカトレアさんが私を見付け駆けて来る。


 その勢いのまま私に抱き付く。なぜに抱擁?


「もう。心配したんだから。起きたらレイちゃんいないし、町は大変なことになってるし、レイちゃんいないし」


 なんか私がいないことを二回言われた。ご心配お掛けしましたとか、そつなく答えておく。


 兵士や町の人たちが防壁に次々上がって来る。


 普通封鎖とかしそうなものだが、兵士たちの行動はそこまで統率が取れている感じではない。自警団の延長線上なのかも知れない。


 近くでよく見れば、兵士たちの鎧は色こそ茶色で統一されているが、デザインは千差万別でバラバラ。寄せ集め感が半端ない。


 観察癖はほどほどに、あれこれ聞かれる前に防壁を下りる。


「何があったかレイちゃん知ってる?」


 カトレアさんくらいには本当のことを話す。火鳥イル・フィーアを倒した私を狙い悪魔が現れ、そこに天使が現れ倒したこと。つまり、全ての発端は火鳥イル・フィーアを倒した私のせいであり、こんな騒ぎになっているのだと。


「はぁ~、にわかには信じられないけど」


 そこで彼方に昇るキノコ雲や、崩れた防壁を見てから続ける。


「こんなこと、確かに天使や悪魔じゃないと無理ね。悪魔なんて天災と同じだから、レイちゃんが責任感じることはないわ」


 天災……そういうものなのか? 天使や悪魔とはなんなのか聞いてみる。全人類が会っているとは思えないので正直に。


「天使も悪魔も初めてみたんですが、人間との違いがわかりませんでした」


 カトレアさんは首をひねって唸る。


「う~ん、あたしも見たことないからよく知らないわ。見た目は人間と変わらないとは聞くけどね。髪や瞳の色も、あたしみたいな栗色からレイちゃんみたいな黒までいろいろいるらしいし」


 そんなレベルの周知度と言うことは、ほとんどの人が見たことがないと言うことかも知れない。


 その悪魔と天使に出会った。それは果たして偶然か?


 あの少女の話は理にかない、不自然ではない。だが、それが返って腑に落ちない。


 あんな物語のワンシーンのような劇的な救出劇を、たまたまや偶然と思う程めでたくはない。人為的な作為を感じる。


 だが、文字通り天使そのもののあの少女が、何かの企みを持って私に近付いたとも思えない。


 よしんば何かの作戦だったならば、あっさりいなくなり過ぎている。


 考えられるのは、彼女もまた、何かの作為に巻き込まれた側。


 火鳥イル・フィーアの自爆を目撃したのが偶然ではなかったかも知れない。


 いや、泉の森で感じた視線。キングアースビートル戦で気絶から目覚めた時に感じた香り。土かまくら内で見聞きしたこと。全てが繋がっている可能性も否定出来ない。


 あの天使が、もしもずっと私を監視し、見守っていたのだとしたら、その目的は何か?


 今回のことは、隠れたままでは救出不能な出来事だったのかも知れない。


 否、守ることが目的なら、気絶中に場所移動するだけじゃなく、キングアースビートルを倒すのが一番の解決策。あれが私の生命の危険でないなどとは、どんな血迷った人間でも思いはしないだろう。


 全ては気のせいかも知れない。


 何もわからない内に、憶測で判断するのは危険。私はまだ、この世界の理を知るにはあまりにも無知だ。




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