今世紀最大火力の恋歌で君に愛を歌う
無力な自分がただ、ひたすらに嫌だった。昔、ある少女にぼく
四季谷 継は恋をする。名前も容姿も忘れてしまったが、ぼくはその少女に恋をしていた。しかし、ある出来事が起こる。ぼくが彼女に思いを告げ、受け入れられたその日、彼女はぼくの目の前で死亡する。原因はぼくだ。彼女と両思いになれ、浮かれていたのだ。その日の放課後にぼくと彼女は同級生の生徒に屋上に呼び出された。呼び出しの理由は明確で単純だ。
ぼくが人気のあったその少女と思い人になったからだ。目的は破局。起こした行動は『暴力』ぼくの情けない姿を彼女に見せつけ、
嫌わさせようというシンプルで合理的な方法だった。
ぼくは、一方的に殴り付けられた。変な行動を起こして彼女を傷つけたくなかったから、なにもしなかった。なにもできなかった。
ぼくが弱かったせいで。ぼくに傷つける覚悟も立ち向かう勇気すら持ち合わせないただの弱虫だったから。彼女は責任を感じ、
『屋上から飛び降りた』
もちろん生き残れるはずもなく即死。
その後の話し合いで僕たちを呼び出した生徒は皆、責任を被らさせられ、一生に残る傷を負った。
対するぼくは、立ち向かえた勇気の持ち主だとか、君は勇敢だった、などと言われ、しまいにはテレビニュースに上がるほどになっていた。ぼくはそんなに勇敢じゃない。僕には一ミリの勇気もない。そう自分を追い詰め、その日の夜に自宅で首を吊り自殺した。
第一章 出会い 君に会う春
季節は春、麗らかな春の日差しで目を覚ます。新学期早々嫌な夢を見た。ぼくがこの世界に転生したときの夢だった。ここで、少し前の話をさせてもらおう。
首を吊って自殺したあの夜、ぼくは奇妙な場所にいた。見たことのない風景、アニメの中でしか見たことのない人種。そしてやけに低い目線。
そしてぼくの三倍はある細身のおじさんがぼくの事を見下ろす。
「どうしたんだい君は?もしかしてお母さんとはぐれてしまったかい?」
そういわれて確信を持つ。やけに視線が低い理由はぼくが小さくなっておるからだ。しかし、その理由が分からない。先程、大切な人を失い自殺したはずだ。それがなぜこんな場所で、こんな格好をしているのか、答えは簡単だ。転生とやらをしたのだろう。
この風景が何よりの証拠だ。
それにしても先程からニコニコしながらぼくを見下ろす長身の男は笑顔で返事を待っている。あまりにも放置しすぎると、大事な情報が消えてしまう。それだけは嫌だと体が反応し、返事を返す。
「いいえ。はぐれたのではありません。両親は死に絶え、今は一人です。」
「それはなんと悲劇な…よしわかった。私が君を育ててやろう。」
そう言われてぼくは長身の男に着いていくと、そこは立派な宮殿だった。
「君には見たところ、センスがあるようだ。私が君の面倒を見る代わりに、君はここで剣を学ぶのだ。いいな?」
「はい。これからお世話になります。えーっと…」
「私の名前はホワイトだまあ気楽に師匠とでも呼んでくれたまえ。皆は私をそう呼ぶ。」
「ところで師匠、一つ質問があるのですが、ぼく以外にも子供がいらっしゃるのですか?」
「ああ居るとも。そうだな…おっ『サヤ』!こっちに来てくれないか?」
師匠は通りすがりの弟子を引き留めこちらに向かわせる。『サヤ』と呼ばれた少女は小走りでこちらに向かって来る。
師匠は指をならすと彼女は刀を抜きさらにスピードを上げ、突っ込んでくる。
「ホワイト流抜刀術功の構え…壱ノ太刀…」
そう呟き突進してくる。ぼくは無意識に彼女の太刀をかわし、腹に膝蹴りをぶちこんでいた。自分でも驚くほど軽やかに、カウンターをいれたのである。
そんな光景に呆然としていると師匠はふむといった感じで言う
「やはり私の目に狂いはなかったか。サヤの攻撃をカウンターで反すやつは家にはおらんよ。君は神童になれるぞ!」
嬉しいのか嬉しくないのか分からない今の状況で未だうずくまる少女に声をかける。
「すみませんでした。その…お腹に蹴りを入れちゃって…急でビックリしたものでして」
「構わないわ。それと私はあなたを認めてあげるわ。私の太刀を反すなんて誰でもできる訳じゃない。」
そう言い少女は顔を上げる。
ぼくは驚愕した。『サヤ』と名乗る少女はどことなく、初恋のあの子に似ている気がしたから。それから互いに自己紹介をし、
ぼくは剣を極めた。恐らく自分は五歳児で転生し、ここにいる。
弱いままじゃあの悲劇をまた繰り返す。それが嫌でぼくは剣を振り続けた。十年間一度も休むことなく、剣を振り続けた。
十五歳になり、ぼくとサヤは養成所を主席と次席で卒業した。
ぼくが主席で、サヤは次席。卒業後、ある高校に通うのだがそこに入学するにはパートナーが必要になる。ぼくはサヤとタッグをくみ、高校に入学した。
ここで物語は冒頭に戻る。
ぼくは今日から二年生になる。一年生の頃からルームシェアしているサヤをお越し、学校に向かう。辺りは桜の木々で覆われていてピンクのカーペットができている。そんな幻想的な空間をサヤは無表情で通り抜ける。学校に到着すると、
全体的に沸いており、騒々しさを覚えた。この学校はクラス換えが存在しない。
ペアは三年間変更できないという縛りのなか、学校生活を過ごしている。ぼくとサヤは教室に向かい、静かに時が過ぎるのを待つ。
入学式も無事に終わり、新入生はペア決めについて話していた。三年間変更不可能の大事なことなので真剣に見定めている。ぼくとサヤはそれを横目で見て、教室に戻る。皆は来月に行われるランキング戦に心を踊らせていた。
ちなみにぼくとサヤは学年ランキング200位中72位、学年ランキング600位中100位を飾っている。これは、変に目立ちたくないので、中途半端な順位をキープしているだけだ。しかし、今回は、手を抜いたりしない。今回の一位には卒業資格を得る特権があり、確実に留年を防ぐことができるのだ。
常にギリギリを狙っている僕たちにとっては中々嬉しい商品だ。
第二章 夏 物語の結末
夏がやって来た。といってもあれから一ヶ月しかたっていないのだが…
今日は待ちに待ったランキング戦。
僕たちの一回戦のあいては二年生の学年ランキング一位のペアだった。
試合の鐘がなると、ぼくとサヤは刀を抜き…
「ホワイト流抜刀術…壱ノ太刀」
とコールして技を放つ。僕たちの抜刀術の強みは『速さ』だ。目にも留まらぬ音速で相手を斬る。刀をしまうと試合終了の鐘が鳴り響く。
僕たちは会議室で話し合いをする。
「なあサヤ?僕たち…やっちゃったな」
「そうね。まあいずれ通る道だったからそこまで苦じゃないわ。それよりも継、悩んでることあるんでしょ?刀が曇ってたわ」
「やっぱりばれてたか。お前に隠し事とか、師匠に勝つくらい難しいよ。」
実際のところぼくは悩んでいる。唐突ではあるが、ぼくは多分サヤのことが好きだ。そう気づいたのは半年前だった。最初は初恋の少女のようだからだと思っていたが、違った。どことは言えないけれどぼくはサヤのことが好きだ。
この大会で優勝すればこの思いを伝えるつもりだ。
実際私も継を心配しているほど余裕がない。なぜなら私は継のことを愛しているからだ。余裕がなくても心配くらいはしてあげられる。初めて出会ったときからずっと好きだった。私よりも強かったところに強く引かれた。
この人と居たいと本気で思えるくらいには愛している自信がある。
この大会が終われば告白するつもりだ。
僕たちは次々にトーナメントを勝ち進み決勝まで上がってきた。
周りからは不正をしただの言われるが気にしない。努力をしないものの無い物ねだりなんて聞いてられない。
決勝の鐘が鳴り響く。僕たちは作戦通り一対一に持ち込む。
そこまでは作戦通りだった。しかし、一瞬の気後れが敗北の原因になると、分かっていたのにも関わらず、油断したのだ。理由はわかっている。『恋』だ。
一度後悔した感情にもう一度後悔させられた。
敵の剣先がぼくとサヤの腹部を切り裂き、ダウンさせる。
また、守れないのか?また後悔するのか?そんなのはもう、嫌だ。
ぼくの十年間を棒に振るいたくない。その為にすることなんて決まってる。
『闘う』んだ。後悔をしないためにも。
そして、言うんだ、生前に言えなかった『好き』を。
「サヤああああああ!ぼくの声を聞けえええ!ぼくは君が大好きだあああ!」
半分はやけだった。絶望的な状況だからこその余裕。
ぼくはあの日初めて出会った時に打たれた技の構えに持ちかえる。
「ホワイト流抜刀術功の構え…壱ノ太刀」
全速力で突っ込み、一人を撃破する。
深傷を負って立てない彼女のためにもぼくがやらなければいけない。
もう…後悔はしたくない。相手の刀を弾き、とどめまであと一手のところで体中の力が抜ける。
そのあとどうなったのか、知ることができなかった。
正確にはあと一手のところでぼくが死んでしまったのだ。
なにも成すことの出来ないまま…彼女の答えを聞くことの無いままぼくの二回目の人生が終わる。だが後悔はない。再び初恋の少女に出会い言えなかった『好き』を言うことができたから。
どうもえまです。
なんだかカオスな作品になりました。
個人的にはあまり好きな終わりかたではなかったです。
じゃあ何で投稿すんだよって?知らんな。
それでは皆さんよいお年を