第二九話
本編の第二九話です。
四月二九日一一時 M県S駅新幹線ホーム
「やっと着いたわね」
香澄さんの一言にある通り、新幹線で一時間三〇分掛けて私たちはM県に旅行に来た。みんな楽しみに満ちた笑顔をせず、すでに疲れた顔をしている。
「香澄さんが寝坊しなければ、疲れずに済んだのに・・・」
「やはり、昨日も休業すれば良かったですね・・・」
私と里恵は香澄さんに進言した。私たちは香澄さんの提案で一泊二日の旅行に来た。旅行場所のM県は香澄さんの友人が営む旅館がある場所で、香澄さんが『久々に行きたい』ということで決定した。香澄さんの伝手で宿泊場所や観光場所には悩むことは無かった。そのため、事が順調に行ったことで油断し、結局、旅行前日まで店をやることになった。私と里恵、琴音から香澄さんに『前日は休業しましょう』と提言したが、香澄さんが『やる』と言ったため、前日もやることになった。そのため、旅行当日は香澄さんが寝坊し、早朝から急ぐことになった。特に琴音は香澄さんに振り回された上に乗り物酔いしやすい体質のため苦労した。今も琴音は乗り物酔いの余波に悩んでいる。
「お姉ちゃん、身持ち悪い・・・」
「大丈夫、琴音。私は琴音の看病をしますので、すみませんが、美幸さんと香澄さんは先に行ってください」
「良いの?里恵一人で?」
「せっかくの旅行ですから」
「二人とも、一時間後にこのお店の前で落ち合いましょう」
香澄さんは里恵にお店の場所を教えて、私と一緒に行った。
「でっ、香澄さん。一時間どうやって過ごすつもりですか?」
「決まっているじゃない!」
「何をですか?」
「夜の嗜みを調達するのよ!」
「今からですか」
「さっ行くわよ」
香澄さんに引っ張られる形で駅に隣接する百貨店に行った。ある程度、予想したとおりにお酒コーナーに行った。夜に飲む日本酒に悩む香澄さんに私はどうしたらよいか分からなかった。
「どれにしようかしら♪」
「どれも同じじゃないですか」
「何を言うとのよ。日本酒は原材料や製造方法などによって味わいが異なるのよ。いわば個性よ!美幸、あんたは・・・」
香澄さんの日本酒話から始まり、途中で私への説教に変わり、三〇分が経過した。
「あらっ、こんな時間。急がないと」
香澄さんは説教攻めにあった私を目にくれず、日本酒選びに戻った。結局、香澄さんは日本酒(七二〇ml)二本と缶ビール(五〇〇ml)三本、缶チューハイ(三五〇ml)四本を買い、荷物を私に持たせた。後に里恵と琴音と合流し、里恵から『思ってた通りです』と言い、「里恵、知っていたんだね」と私は言い返した。トラブルや想定外なことに見舞われたが、私は楽しい旅行になるなと心の中で思った。
読んでいただき、ありがとうございます。
次回の「信頼の百合の華」の投稿は4月28日です。14日と21日は百合短編小説を投稿いたします。信頼の百合の華 以外にこれまでに投稿してきた小説が数作ありますので、それらもよろしくお願いします。
以下のURLは4月の投稿予定になります。
http://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/897755/blogkey/1670451/




