第二四話
本編の第二四話です。
四月二日
三月といえば卒業式や人事異動などお別れの時期でもあり、少々寂しい気持ちになる。しかし、外を歩けば綺麗に咲いた桜がその寂しさを埋める。一昨日に桜が満開になった。今の私は心寂しい。今日は里恵と桜を観に誘ったが今日は所用があるようなので、職場の後輩を誘った。
「いや~、先輩から誘ってくるなんて久しぶりですね♪」
「まぁ、急に桜を観たくなったんだよ」
「分かります。ちょうど桜が綺麗ですからね。先輩も乙女ですね♪最近の先輩は活き活きしていてチーム内では華ですよ」
「からかうと仕事増やすわよ。いいの?」
「それは勘弁してください。先輩だって分かってますよね。私がバレンタインに別の部署の男性社員にチョコを渡したけど、ホワイトデーになって彼女がいた事が判明したことを。あれ、『チャンス!』と期待していたんですよ・・・。」
後輩も後輩なりに努力はしているが、連戦連敗すぎて、気の毒に思えてくる。かといって慰めると『いいですよ。先輩はモテますから』と拗ねられる。どう慰めたらいいか分からない。
「見て下さい、先輩!桜が私たちを歓迎してますよ」
(里恵と見たかったけど・・・。里恵に写真を送ろう♪)
後輩は目の前の桜の木で挟まれた通に目を輝かせ、私は里恵に送る写真を撮った。
「桜が綺麗ですけど・・・先輩あれですね」
「うん、そうだね」
後輩が言おうとしている事は分かる。通りにはカップルがちらほらいる。まさか肩身の狭い思いをするとは・・・。
「でも、先輩と一緒に居られて楽しいですよ。あっ、あそこに出店が出てますよ。先輩、行きましょう♪」
「はいはい、走らないで。逸れても知らないよ」
「その時は見つけてくださいね♪」
後輩は走って、出店のある方向へ向かった。まさかこの後、本当に後輩と逸れるとはこの時思わなかった。後輩の姿が人ごみの中に隠れてしまい、私は完全に後輩と逸れてしまった。
「あの子・・・どこへ行ってしまったんだろう」
後輩のアクティブなところは見習いたいが、こういうところで苦労してしまうから困る。
「本当にこっちの身にもなってほしい・・・きゃっ!」
周囲を見渡しながら歩き回ったため、私は他人とぶつかってしまった。私はぶつかった人を見た。その人は茶色の入ったミディアムヘアーをしていて、目元や髪型など外見が里恵と似ている。私の不注意のせいでぶつかったので私の方から先に相手に謝った。
「すいません、お怪我はありませんでしたか」
「こちらこそ、すいません。人探しをしていまして、私が悪いんです。よそ見をしながら、歩いていた私に非があります」
「あまり重く思いつめないで。あなたも人探しをしていたんですか。すみませんが、私くらいの長身で勢いよく走ってきた女性の方を見ませんでしたか」
「あぁ、そういえば先ほど、はしゃぐように走ってきた女性を見ましたよ。確か、あっちの方で見ましたよ」
「ありがとうございます」
相手は左の方向を指さした。私は急いで指さした方向へ走った。私は途中相手が探している人の事を聞き忘れた。それにしてはぶつかった人は里恵と似ている。偶然なのか。声質からして別人であることは確かである。『今度、里恵に話してみよう』と思った時、私は後輩を見つけた。
読んでいただき、ありがとうございます。
美幸と琴音が偶然出会う話でした。
他に何か書こうと思いましたがネタが無く、今回はこれくらいにさせていただきます。
これからも信頼の百合の華をよろしくお願いします。




