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信頼の百合の華  作者: 魚を食べる犬
始まりから結ばれるまで
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プロローグ(里恵側)

もう一人のプロローグになります。

 今日も、あの人が店に来た。あの人と出会ってから、半年が経った。長いのか、短いのか。

「今日も言えなかった・・・」

 この言葉を何度繰り返したことだろうか。あの人が来店すると、自分の中でドキドキして、落ち着かない。初めて出会った頃は、凛凛しく、カッコいい方だなと思った。仕事に慣れてないせいか、ドキドキは仕事に対する緊張だと思っていた。しかし、仕事に慣れてきたのにドキドキは治まらなかった。

 最近になって、恋心だと気づいた。高校以来、私は恋愛と距離を置いてきた。あの頃は同い年の男子の人と付き合っていた。相手から告白してきて付き合いを始めた。お互いが相手の気持ちを尊重しあい、楽しい時間を過ごした。私と相手は遠慮するところがあり、デートの場所や誕生日プレゼント選びには苦労した。この上ない幸せが充実した時間であった。しかし、その幸せの時間も長くは続かなかった。三ヶ月後に周囲や親友からの嫌がらせがあった。そう、私が付き合っていた人は周囲で人気のある人だった。相手の男子を誘惑したなど見に覚えのない言いがかりをつけられたり、物を隠されたり、仲間外れにあったり、二度と味わいたくない辛い目にあった。付き合っていた男子に心配をかけないように耐えてきた。私は彼に酷いことを言った。

『告白される前から嫌いだった』

『あなたと一緒にいると楽しいことが詰まらなくなる』

 他にもたくさん酷いことを言った。しかし、それは本心ではなく、彼に心配を掛けないために別れる口実だ。それ以来、嫌がらせは無くなったが、人が怖くなった。誰かといると辛い目に会う。人と普通に接することはできるが、心の中ではとても怖い。いつのまにか、『みんな私のことを嫌っているだろう』 と心の中で負の感情が渦巻いていた。

 あの人と出会ってからは変わった。香澄さんが言うには、あの人も辛い過去があるらしい。何度も私に話し掛けてきた。日に日に、あの人の話が気になっていた。なんの他愛もない話なのに、釘付けになり、自然に笑顔になれる。あの時から私の中で恋心が出来ていた。香澄さんからも前より明るくなったね と誉めてくれた。あの人が来店してくれるなら、この仕事は楽しい。あの人のために、今日も頑張れる。だから、この気持ちを。

「次こそは。この気持ちを。あの人のためにも明日も元気で生きなければ・・・」

 そう言い残して、眠りについた


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一二月二七日に書き直しました

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