表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
へペペ軍はこちら。  作者: しらその さほ
責任持つ気はサラサラ無い。
5/7

噂はロクでもない上に、陰謀ありきにも程があるとは思わないか

 そんな訳で、フィセード自身はこの見合い話をぶち壊す気満々でいたのだが。どういう訳か、世間一般には逆の話が広まっていた。

 ソレを知ったのは決意してから十日ほど後の事。

「フィセード、お見合いするんですってね。」

 先ず傷の経過を診てもらう為に訪れたミーノム診療院にて、包帯とガーゼを痛みを感じさせないが手早く取り外しながら、婦長のリュレーナがそう言った。

「は?!何でリュレーナが知ってるんだ?!」

 思わず聞いたフィセードに対して彼女はさらりと答えを述べた。

「患者さん達の噂で聞いたのよ。なんか、貴族の人らしいわね。」

「話持って来たのはね…見合い相手の事は未だ私、全然知らないんだけど…」

 一体そんな話広めたのは何処の患者さんだと思いつつ、フィセードは応えた。

「私は正直、見合いするのも結婚も今は絶対ヤなんだよ。碌でもない悪夢は見ちゃうし。でも話持って来た人が厄介過ぎてさ……」

「経過は良好、包帯終了。次回は来週ね。」

 愚痴の始まったフィセードを、リュレーナはざっくりと切り捨てた。

 へぺぺ軍で救護班班長だった彼女は、フィセードの行動パターンを把握しているのだ。

「此処でくらい愚痴らせてよ……」

「鬱憤溜まってそうだから長引きそうだし、私がソレを聞いたところで事態は変わらないでしょうから、イヤ。」

「ごもっともで……」

 愚痴を聞いてもらいたかったフィセードだが、リュレーナの言い分は至極まっとうな為、諦めて診療院を出るしかなかった。


 次に、通院後に向かった王城でフィセードは、会う人会う人…揚げ句の果てには自分の隊の部下たちにまで問いかけられた。彼らが口々に言う言葉は、要約するとこうなる。

 曰く、


「フィセード隊長っ!!寿退役してしまうって本当なんですかっっ?!」


 である。

 コレを最初に聞いた瞬間、フィセードは思わず綺麗に磨き上げられた床にヘッドスライディングしていた…。

「全く…何でそんなアホな話に……」

 事ある毎にずっと否定し続け、それでも仕事をこなして時間は過ぎて。ようやく一人だけになった休憩でぐったりとしている彼女の座るテーブルにて。盛りつけられたお茶菓子を食べながら、幼い少年が言う。

「だって、そーゆーウワサがでてるんだもん。フィセードがコトブキたいえきするって。」

 『それで、真相は?』と問うように、少年の明るい茶色の瞳がフィセードを見ると。

「あのねぇビスター……国からの相当な借金背負ったままで、この私が結婚して退役するような人間に、見えるのか?」

 五歳児相手に大人気ないと言われそうだが、フィセードは大層機嫌の悪い表情でビスターを見る事で返答とした。

「みえないね。」

 あっさりと応えるビスターは、三ヶ月前に隣国の国軍をたった一人で壊滅に追い込んだ『灰眼(はいめ)戦鬼(せんき)』と謂われているフィセードの鋭い眼光に怖気づく事も無い。

「でもこのウワサ、すごいイキオイでひろがってる気がするんだケド……ナンで?」

「そんなの、私が知りたいよ…」

 ストレス満載の表情でフィセードもお茶菓子に手を伸ばす。

 そんなお菓子の匂いに釣られたのか、黒髪のに深翠の瞳をした可愛らしい少女が二人のところへやってきた。

「ほぇぇ~、二人ともお茶してるの~?僕も混ぜて~❤❤」

「アルフェスト様っ!ど、どうぞ。」

「アルフェストひさしぶり~♪すわってて。ぼく、もっとおかしもらってきてあげるよ。」

 お気楽極楽な口調でへれへれノテノテとやって来るこの国の『英雄王』に対し。フィセードは慌てて席を勧めて、ビスターはお茶菓子とお茶のお代わりを取りに行った。

 ビスターはアルフェストと(年が離れているが)友達なので畏まる事は無い。

 その場に居たフィセードはソレを知っているのでなんとも思わないのだが、何も知らない第三者から見るとソレは変な光景だっただろう…。尤も第三者は居なかったので騒ぎなど起こるはずもなかった。

「アルフェストもきゅーけいなの?」

「ううん。一寸抜け出してきたの~。だって朝から今までずぅ~っとカンヅメだったんだもん。お腹空いてね~~」

 きゅるる…とアルフェストのお腹が窮状を訴えるように音を立て、その欲求に応えるが如く、彼女の手は皿に山と盛られたお菓子へと伸びた。

「じゃあ、余りゆっくりは出来ませんね。レスティナード参謀が……というか、誰か自由兵が捜しに来ますから。」

「だね~…今日は誰が来るんだろ~~……」

「ちぇー、あそべないのか~…」

「ごめんねー。あと三時間はかかりそうな山があってね~……」

 お茶を注ぐフィセードとカップを受け取るアルフェストの会話を聞き、残念そうにビスターは言って、お菓子を一口齧る。

「でも、晩ご飯は一緒に食べよう。皆と一緒の方がご飯も美味しいし、僕も楽しいし~」

 苦笑して代替案を出すアルフェストは、そののんびりした口調からは想像できないスピードでお菓子の山を攻略していた。

「ところでフィセード。寿退役ってホント?」

「アルフェスト様まで……。もぅソレは絶対にあり得ません。確実に破談に持ち込んでやりますから。」

「じゃあオミアイはするんだ?」

「したくはないけどね……正式に話来ちゃったし、断れないし……。」

 ビスターのツッコミに明後日の方向を見ながら話題転換を求めるフィセードの視界の隅に、明るい焦げ茶の長い髪が揺れる様子が見えた。

「あ、ミルだ。お帰り。」

「ミル~、おかえり~♪」

「おかえりミル♪きょうのオミヤゲなに?」

三者三様の反応に。眼鏡をかけた少女が此方を見て、菫色の瞳を大きく見開くと、こちらが驚くほどの大声を上げた。


「え?!フィセード、一体どうやってあたしより先に此処へ来たのっっ?!」


「「は?」」

 叫びの意味を掴みかねて首を傾げるビスターとフィセードに代わってか。アルフェストがほええ~んとした態度のままでミルに問いかけた。

「フィセードは朝からずっとお城に居るけど~。どうしてミルはそんな事を聞くの~?」

「え、だってあたし見たから…」

 此方も混乱中らしいミルは、訥々とした喋りになっていたが、内容はこうだった。

 今日ミルはお使いで北の地方領へ出かけていた。其処の街中で、彼女はカフェで身分の高そうなご婦人がたとお茶をするフィセードを見た、というのだ。

「たにんのソラニじゃないの?」

 焦げ茶色の髪をした人間なんて、この国なら何処にでもいる。此処は『人種のるつぼ』アレムゼナート国で、単一民族国家の島国――レイフェルランド公国ではないのだから。

「間違い無いよ!!焦げ茶の髪で灰色の目で包帯してたんだもん!!」

「包帯って言っても…」

「コレ、してた!」

 勢いよく指さされた先にあるのは、顔の右側を覆う包帯。現在へぺぺ軍でフィセードを見つけるなら、その特徴的な包帯姿を目当てにすれば良いというくらいに目立っていた。確かに其処まで条件が揃っていれば、ミルがその相手をフィセードだと思うのも頷ける。

「でも私、朝から此処に居るから、ミルが見たのは完璧に別人だよ。」

「じゃあ、あたしが見たのって…」

「ドッペルゲンガーとか~?」

「ニセモノとか?」

「イヤ、それは…」

「ドッペル説も捨てがたいケド、偽物説が一番なんじゃないかな。」

 仮説が飛び始めたテーブルで、アルフェストの後ろから第三者の声が届いた。慌てて彼女の後ろに立つ者を見て、安堵した声でミルが問う。

「お兄ちゃん。何時から居たの?」

「今来たとこだ。アルフェスト様迎えに。」

 軽く肩をすくめて、黒髪の青年が応えた。アルフェストは青年を振り仰いで彼を労う。

「今日はイルフィノースが捕まったんだ~。」

「今週五回目なんですけどね。アルフェスト様、途中で脱走するぐらいならレスティナード参謀に一言いえば良いんですよ。休憩したいって。」

「だって、笑顔で却下されたんだもん~。」

「まぁ、レスティナードさんぼーだからねー」

 至極もっともなイルフィノースの意見だったが、アルフェストとビスターが反論する。

「あー……確かになぁ……」

 それなら仕方無いと、イルフィノースはもう一度肩をすくめた。

 へぺぺ軍の参謀で現在は国王補佐官でもあるレスティナードは、仕事にシビアだからだ。緩めるべきところはちゃんと緩めて、締めるべきところはキッチリガッチリ締めあげるのが、彼のやり方だ。

「でもきっとその分、終わった後何か用意してるんじゃないですかね?」

 そう言ってアルフェストに執務室へ戻るように促した。時計を見ると休憩時間はじきに終わる。

 一同はそれぞれにテーブルの上を片づけて移動を始めた。

「あぁそうだ、先刻の偽物説だけどな。最近お前に挑戦者という名の闇討ち馬鹿が出てきてるだろ。ソレに関係してるんじゃないか?」

 去り際にイルフィノースはそう言っていたが、口に出さないフィセードの見解は違っていた。


(イヤ…その偽物、闇討ち馬鹿じゃなくて、思 い っ き り 身 内 だから……)


 帰宅後に問い詰めてやろうと、拳を握ってフィセードは思った。




-○○○- -●●●- -○○○-



 王城でドッペル説やら偽物説が飛び交った日の晩。バスラーン家では。


「――で。今日は何処で何してた、愚弟?」


 自分と同じ格好をした――頭に大きなたんこぶを作った弟を床に正座させて、フィセードが詰問していた。

「し…仕入れ…」

「わざわざ私と同じ包帯姿してか?こないだ包帯の巻き方聞いてきたのはこの為か…。」

 年二つ離れた姉弟なので彼等は双子ではないのだが、フィセルヴァインはフィセードと容姿が良く似ていた。同じ包帯をすれば、それこそフィセードを見慣れているミルが間違えてしまうほどに。

「お前、私のドッペル扱いされてたぞ。しかも目撃現場は、エマネレグさんの地元ときたもんだ。何考えて、何してきた?」

 きりきり吐けと、灰色の眼がフィセルヴァインを見下ろした。

「イヤ……縁談話の詳しい経緯とかが知りたいな~…って、思ったもんだから……。」

「それで何で私の格好……お陰で私が見合いに前向きだって噂が広がったんだが……?」

 ため息を吐きながら、恨めしさを視線に乗せつつ、フィセードは続きを促す。

「それで、何でこんな縁談話が持ち上がってきた訳?そもそもエマネレグさんに話持って来た馬鹿は誰だ?」

「あのヒトのお茶友達のやっぱり貴族が、そのまた知り合いの貴族から、そんで更に知り合いから今度は親族になってまた連絡網の如く続いて、結論やっぱり貴族だって。ただし最初の話の出所はソリュエレィーズだとさ………たったこれだけの事聞くだけに一週間近く費やしたんだぜ…オバチャマのかしましさ、恐るべしだよ。」

「その面倒な事をやろうとしたのはフィセルだろう?其処に同情の余地なんか無い。というか、その行動力を商売に発揮しろよ………それにしても、ソリュエレィーズかぁ……」

 白状された内容に、フィセードはぐったりとうなだれた。この話を、レスティナードに報告する必要があると感じたからだ。

「とりあえずフィセル。お前これ以上変な事するなよ。妙な噂に尾ひれ付くのはもう御免だからな。」

 フィセルヴァインにそう言い置いて、彼の返事を聞く事も無く、フィセードは自分の部屋に戻って行った。



 翌日、届いた吊書を持ってフィセードは王城へ行き、レスティナードに今までの経緯を報告すると。

「おやおや、降って湧いた縁談話が相当きな臭くなりましたねぇ…。」

 赤味かかった茶色の瞳を細めて、彼は笑顔で身も蓋も無い事を言った。

「見合いの場所は、何処ですか?」

「北の……エルザラ領に住む外来貴族、デレヴァンス氏の邸宅…だそうです。」

「デレヴァンス……あぁ、あの曰くつきの方ですか…北に知り合いは居ますか?」

 はなはだ不安になる感想と共に問われた内容に、フィセードは否と応えた。知り合いどころか出かけた事も無い場所だ。

「そうですか……まぁ良いでしょう。ともかく、対策を講じなければいけませんね。」

 彼はそう結論付けると、輝かしい笑顔で命じた。

「とりあえずあなたは、傷の回復と戦いの勘を取り戻す事を最優先にしなさい。で、お見合いには万全の状態で臨みなさい。」

「戦いの勘、ですか……」

 嫌な予感しかしない命令に、フィセードはしかし従うしかなかった。お見合いを破談にする時、もしかしたら荒事に発展するかもしれない、という危惧はあったのだ。事を進めようとしている者がソリュエレィーズの人間であるという事は、危機感が増すのに十分な要因だった。

 フィセードが国王執務室を退室した後、レスティナードは『諜報・密偵班』の班長、カルサを呼び出した。

「調査をお願いします。」

 彼がカルサに放った第一声は、ソレだった。

「エルザラ領の情勢、デレヴァンス氏の人間関係および邸宅の見取り図、そして」

 カルサに見せるために揃えられたのは、先刻フィセードが持って来た吊書の写しと、十年前に起こったとある未解決事件の記事。

「この事件との関わりを、大至急調べてください。」

「十年前…ずいぶんと昔の話ですね。」

 さらりと記事を斜め読みしたカルサの呟きに、レスティナードは応え、続ける。

「念のためでもありますが、余りにも符号が合うので…それとビスターにも協力をしてもらいます。」

 そう告げる彼の顔は、フィセードに命令した時のような極悪笑顔では無く。それ故にカルサたち『諜報・密偵班』の行動も早かった。

「それじゃ、早速行ってきます。自由兵も何人か手伝いに借り受けますね。」

 カルサが出かけると、それまで書類の山に埋もれていたアルフェストが、顔を出した。

「この話って、フィセードが標的なのは確かだけど~。お見合いは、本当にするのかな?」

「どうでしょうね…名前だけ使われた可能性も捨てられませんが……、地位が地位ですから、もしかしたらこの件に一枚噛んでいるのかも知れません。何にせよ要注意でしょうね、この国王陛下の甥御さまは……。」

 彼が見下ろす吊書の肖像画に描かれていたのは、柔らかな黒髪に水色の瞳をした柔和な笑顔の青年だった。




-○○○- -●●●- -○○○-



 レスティナードの指示の下、ビスターが専用の毒薬実験室に籠り、カルサたちが自由兵も借り出して調査をしている内に、予定されていた見合いの日が来た。

 国の北、ソリュエレィーズにほど近いエルザラ領。外来貴族も多数居住する地域でもある。

 そのうちの一つ、デレヴァンス氏の邸宅へ、一台の馬車が入って行く。馬車を降りて案内人を伴い邸内へと進むのは、三人。見合い話の仲介者である中年婦人と、見合いの当事者、更にその弟。

「失礼ですが、どちらがフィセード=バスラーン様で…?」

「私です。」

 案内人の困惑ぶりも頷ける。包帯をしている方が自らを示さなければ判らないほど、姉弟は良く似ていた。

「では、フィセード様は此方のお部屋へ、エマネレグ様とバスラーン様は此方の控室でお待ち下さい。」

「あらぁ、わたくしたちはご一緒してはいけませんの?」

「申し訳ございません。先様の強いご希望で、御当人同士のみでお会いしたいとの事ですので…。」

「それなら、仕方ないな…じゃあ、頑張れ、フィセード。」

「がんばれって……」

 そんな彼らの会話を背後に聞きながら。段取り通りに、案内人は二つの部屋へ彼らを誘導した。

 一仕事終えた彼は、次なる仕掛けを始める為に、足早に廊下を進んでいく。



 一方、閉じられた控室の中では。

「まぁ、見事に想定内な行動だったわね。」

 中年婦人が先ほどとは違う若々しい声でそう評する。

「マズったかな。フィセル大丈夫かな…」

「先ずはこっちが標的でしょうから、きっと弟君は大丈夫よ。さあ、私達も準備しましょう、フィセード。」

 べりべりと、ビスターお手製特殊メイクのマスクを引っぺがして、茶色の巻き毛を外すと、豪奢な金髪が背で揺れる、蒼い瞳の美女が姿を現した。

「イヤ、私が心配してるのは其処じゃなくて……しかしすごいね、カルサ。その格好重くなかった?」

「重かったわよ。移動手段がちゃんとあって良かったわ。」

 エマネレグ夫人の体格を表現する為に着ていたドレスを脱ぐと、中から武器や防具がごろごろと出てくる。二人は手早くそれらを装備した。

「現在位置がコレだから、目的地は……」

 屋敷の見取り図を取り出して位置を確認しているカルサを見ながら、フィセードはエマネレグ夫人のドレスとマスクセットを纏めて、扉を開けた時、ソファに彼女が座っている後姿が見えるようにした。

「じゃ、行ってくるわ。集合場所は……とりあえず今弟君が居る部屋で良いかしら。」

「うん。気をつけて。」

「フィセードもね。出来るだけ軽傷ですませなさいよ。」

 天井から易々と脱出するカルサを見送って、化粧で隠した傷に軽く触って顔をしかめた。

「ソレは向こう次第だから、なんともなぁ…」

 そう呟きながら、フィセードは違う心配もしていた。


(どうしよう……もし本当に見合いが予定されていたりしたら………)


「フィセルに恨まれるかも………」

 ソファに沈み込みながら、フィセードは思わず遠い目をした。

 此処に至るまでに、へぺぺ軍で出した結論はこうだ。



 見合いはあくまでフィセードをこの屋敷へとおびき出す口実で、本当の狙いは、三ヶ月前に面目をつぶされたソリュエレィーズ国軍と御側衆達の、報復劇。

 屋敷を提供した貴族は、ソリュエレィーズで以前、何らかの政争に敗れた者らしい。政界への復帰の為、彼らに協力している節がある。そして彼は、十年前の未解決事件における最重要容疑者として、アレムゼナートの記録に名が載っていた。

 以上を踏まえて、見合いは無い、見合い相手など存在しないと、レスティナードがフィセルヴァインに言ったらしい。


「どうか、見合い相手が存在してませんように……ていうか、早く来ないかな、馬鹿ども」


 自身の不安感を消すために、報復にやって来る国軍と御側衆の到来がこんなに待ち遠しくなるとは、フィセードは思いもしていなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ