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新商品開発

 新商品の開発と言っても、レシピは不明。

 スレッドには初期の水薬レシピはあるも、それ以降のレシピを誰も投稿していない。まあ、自分の商売道具な訳だし当たり前だと思うけど。皆だって創意工夫の末に開発成功しているんだしね。

 次に薬師に聞く方法もあるかもしれないけど、こちらも基本レシピは教えてくれない。後進の育成に基本レシピのみ教えてくれる。聞くことが出来るのは、弟子になって信を得る方法。あとは引退した薬師の気紛れや自分の証を遺したいって人がいる場合。ただ、これは小人領でしか確認されていないクエストらしい。どの領でも弟子になることはできるけど、弟子になるとそれ以外の行動が暫く出来ないみたいで、なる人がいない。それでも設備を有料で貸してくれるから助かるんだけどね。

 つまり、弟子にもなっていない僕は一から開発しないといけない。それでも、基本レシピからの改良型なので難しく考えなくて良いとは思う。


「先ずは薬草を《速乾》」


 【強心の葉】と【強精の葉】を乾燥させる。これで効能が上がるはず。生だと磨り潰した時に効能も抜け出してしまう。ただ、磨り潰しさずに煮込む方法は試してみる。お茶みたいに種類が作れる可能性もある。緑茶、烏龍茶、紅茶のようにね。


「状態異常の素材は回復薬に混ぜれば解除薬になったんだっけ」


 これは状態解除薬の基本レシピで毒の解除薬が大雑把に書いてあった。二行足らずの説明で、素材名もなかったけどね。ただ、他のゲームと似ていると考えればいいように書いもあったので、他のゲームを知らないと参考にならない。

 基本レシピは回復薬+状態異常素材とだけあったんだよね。


「ベリー系は思ったよりも種類があったし」


 【タンベリー】:樹木になる小粒の黒い実。ブルーベリーに似た味。

 【ラクベリー】:樹木になる小粒の集合果。ラズベリーに似た味。

 【スロベリー】:地面に這う蔓性の果実。ストロベリーに似た味。

 【ミルベリー】:樹木に巻き付く蔓性の果実。フサスグリに似た味。


「基本酸っぱいけど、熟したのは甘いから慎重に選ばないとだね」


 薬草を煮詰めていく間にベリーの選別をしていく。ただ、まずは味付きの改良は上級水薬の基本レシピを確立してから。まあ、下から二番目の回復薬ならそれほど手間は変わらないと予想している。


「よし、煮出したのは揃ったかな」


 生葉と乾燥葉、一枚そのままと千切った葉に磨り潰した葉。一分、五分と十分で煮出す時間を訳た物。【濾紙】で濾過をしたものとしないもの。水と共に薬草を投下した物に沸騰後に投下した物。

 他にも条件を変えられるけど、先ずはこれだけでも鍋が大量にある。広くも狭くもない調合室にはそんなに物を置けない。


「先ずは生と乾燥だと、やっぱり乾燥の方が良いみたいだね」


 【滋養の葉】を使用した水薬のレシピと同じやり方で新たな水薬は出来た。だけど、そこまで回復量が上がっていないように思う。ただ、生よりも乾燥の方が30近くは回復量が増えている点から、乾燥が薬草の基本なのかも。

 ただ、茶葉のように熟成はしていないので、その内に試す必要があるかも。詳しい茶葉の製法なんて調べないと解らないしね。


「で、一分じゃ失敗して十分じゃ出涸らし。殆んど効能が消えちゃっている、と」


 さらに、面白いのが生葉だと千切った葉と、乾燥だと一枚葉の物の回復量が近かったこと。ただし、乾燥して磨り潰した物は失敗。どうやら粉末じゃダメみたいで千切ったくらいが丁度良い感じ。

 さらに、生葉の磨り潰して十分煮詰めた物がゲル状になった。【ローション】よりも弾性があって流れないから、湿布に出来るかもとさらに、煮詰めて見たら薬粉になった。鑑定したらお湯で戻して飲むのが良さそう。そのゲル状と薬粉の間の状態から丸薬も出来た。ただし、これは乾燥した物だと【薬滓】になってしまった。


「うーん、生と乾燥の違いで製法変わるんだ……」


 【滋養の葉】を使った方法は乾燥が基本だった。でもあれも、軟膏と水薬のレシピは水分量と煮詰める時間の違いくらいしかなかった。それと同じだとしたら、軟膏と湿布は同じだと予想。そして、ちょい実験。


「生葉だと湿布、乾燥だと水分量少なくて煮詰めたら軟膏かー」


 どちらも持続回復するが、時間辺りの回復量が高くて効果時間が短い軟膏と、時間辺りの回復量が低くて効果時間が長い湿布と性能に差が分かれた。どちらも水薬との併用は可能だけど、湿布と軟膏の併用は不可。まあ、持続回復と乾燥機瞬間回復で違うもんね。

 ちなみに【ローション】は乾燥した薬草から派生するみたい。ややこしい! 覚えるのが大変だよ!

 結局二日丸々、珍しくフルタイムを利用して基本レシピが完成した。


「疲れた……」


 いや、二日で完成したから短い方だと考えよう。

 完成した薬品を眺めながら机に顎を乗せてボーとしていると、リズム良いトンカチの音で眠くなってくる。未だに棟梁が一階部分の建設を行っている。地下建設は一段落して、あとは本来の依頼の合間に一階の建設に来てくれている。基本は棟梁一人でやっているので、少しずつ、でもそこは本職だけあって確実に丁寧に出来上がっている。そんな建設時の音を聞きながら改めて薬品を眺める。


「基本は乾燥、千切って沸騰後に投下。五分強煮詰めて濾過して自然冷却」


 濾過後に容器を冷たい川の水で急冷した物と、技能《急冷》した物、自然に冷めたもので《急冷》が失敗して川の水で急冷した物は効能が下がった。水薬は常温保存が良いのも解った。賞味期限はたぶん実装されていない。時間もかかるから実験もやりづらい。

 そしてここから、改良していく。


「果実と一緒に煮詰める物。ドライフルーツにして一緒に煮詰める物。果汁だけ煮詰める物、水薬に漬け込む物と」


 またまた実験に実験を重ねて、組み合わせや黄金比を探っていく。これも前回の組み合わせを参考にしていく。そして、翌日には完成。これはそこまで時間が掛からなかった。


「ドライフルーツが一に対して薬草三が一番かなー」


 果汁を入れるだけよりも甘さが際立っているのに、そこまで回復量は下がらなかった。まあ、5から10は下がったけどね。だけど、甘さ優先で!

 ちなみに、生の果実と一緒だと不純物扱いなのか失敗してしまった。


「これでだいたい完成かなー。軟膏とか湿布はまた保留しよ」


 やはり薬品作りばかりは出来ないしね。軟膏の再販を求める声はあるみたいだけど。あれは%回復だから重宝するみたいなんだけど、オークション詐欺とかもあったみたいだしちょい考え中。

 状態解除薬も実験途中で疲れて放置中。水薬だけで疲れた。

 それでもお盆前に一通りの目処がたったので、満足してリアルへと還ることにする。


 【LiLiのvery強心水】:薬師LiLiが作ったベリー味の水薬(全四種)。使用にてLF223回復。veryは誤字ではない。

 【LiLiのMixvery強心水】:薬師LiLiが作ったベリー系を混ぜた水薬。甘々。使用にてLF235回復。veryは誤字ではない。

 【LiLiのvery強精水】:薬師LiLiが作ったベリー味の水薬(全四種)。使用にてMS110回復。veryは誤字ではない。

 【LiLiのMixvery強精水】:薬師LiLiが作ったベリー系を混ぜた水薬。甘々。使用にてMS125回復。veryは誤字ではない。

水薬の効能変更あるかもです。

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