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お泊まり保育の二日間

「ただいまー」


 部活動として合宿した経験は中学のテニス部で経験はしていたけど、今回のことは精神的に疲れた。

 僕は部屋に荷物を置いて、そのままベッドへとダイブする。今日はプリハはお休みかな。そう思いながら、楽しくも疲れた二日間を振り返る。


 昨日の午前八時にはお手伝いする保育園に現地集合することになっていた。

 予備の着替えも数着必要との事で、そこそこの量が入ったバッグを担ぎ歩いて現地に向かう。地元なので、移動が楽な僕は余裕を持って行けるのがありがたい。

 到着後は遊戯室に通されて、他の部員を待ちながら雑談を交わし、集まれば先ずは顧問を含み部員でのミーティング。毎年行っていることでもあるし、事前に日程などの打ち合わせは行われているので、簡単な打ち合わせ。

 それが終われば、園長を初めて年長担当の保育士や栄養士さんとの挨拶をし、最終確認する。その間に園児が親と共に登園をしており、各教室に集まって来ている。

 八時半を過ぎて年長の園児が一旦離れた保育士と共に遊戯室に集まり、僕らの挨拶と園長のお話し。九時になる頃にはバスに乗り込み、いざお泊まり先の林間学校の施設へ。僕も小学生の頃に行ったことがある施設だけど、もうどんな場所だったか殆んど記憶にない。


「ユーリの担当する子はどんな感じ?」

「大人しそうな子と元気な子だよ」

「いいなー。私の担当の一人は元気すぎる男の子なんだよね」


 今回は僕らに園児の担当がある。これは泊まり先での見守り強化と園児一人一人に確り思い出なるようにとの配慮。基本は全体行動だけど、活動内容では普段以上に注意する必要があるから。

 保育士は全体を注意して、学生は個人を注意する。これでより活動の幅も広がるらしい。

 十時前には施設に到着し、本館に併設されているミニ体育館とでも言えばいい場所へと行き荷物を置く。ここは雨天時の活動や夜の集会などに使われる場所で、今回はここで皆と寝るようになっている。遊戯室よりは広いのですでにみんなはしゃいでいる。

 園児たちが保育士の話などを聞いている間に、僕らは施設職員に案内されて本来の宿泊用のベッド近くのリネン庫から全員が眠れるだけの必要な数の寝具を体育館に運んでいく。

 運んで行く間に園児たちは施設と周辺の説明や案内の為に体育館から出て行った。僕らは僕らで先ずは職員に施設説明を受けてから、皆がいるグラウンドよりは小さな広場に行き園児たちと遊びながら見守る。時間が短いので昼食までは自由に広場で遊び、昼食は各家庭にお願いしておにぎりを持参して貰っている。この時、僕らは友好を結ぶ為に担当の子と食べる。うん、やっぱり子どもは可愛い。その様子などを保育士が撮影している。ほぼリアルタイムでブログに様子を公開しているようなので、あまり下手な事は出来ないので、僕らにも気合いが入る。


「みんな、美味しかった?」

「うん!」

「美味しかったよ」


 担当が聞き分けの良い子で良かった。

 お昼過ぎは職員に習い、竹で竹トンボや箸を造る。ある程度は形があり、紙ヤスリや錐で研いたり開けたり。錐も怖いけど、年長になってから使用方法も教えて木の棒で練習もしてきたみたい。それでも危険もあり、事前に決めた担当も含めたグループになって工作を行う。

 箸は今日明日と使用して、竹トンボはこのあと使って遊んだ。怪我もなくて良かった。

 竹トンボだけでは時間が余るので、周辺の遊歩道を歩き色々な物を拾ったり、昆虫を触ったり。うん、最近はプリハで昆虫の踊り喰いもするので、前よりは多少慣れた。こうやって見ると蜘蛛も可愛いかも。だけど、カメムシは帰ってください。いや、ほんとに。


「暗くなる前に戻ってご飯の準備するよー」


 男性保育士さんの一言で探検も終了し、再度広場へと戻る。

 時刻は夕方四時。まだまだ明るいけど、子どもは早く寝ないといけないしね。

 こういう時の定番、カレー。と思いきや、巨大な鉄板としゃもじが既に用意されていた。メニューは焼きそばだった。

 園児が野菜を洗ったり、ピーラーで皮を剥いたりして、僕らが野菜を小さくカット。子どもの口に入るサイズね。

 大量の焼きそばを鉄板にぶちまけ、男性保育士が豪快にかき混ぜながら調味料や野菜を入れていく。

 傍らで栄養士さんがコンソメスープを作り、僕らと園児でポテトサラダ作り。そして、美味しくご馳走さまでした。


「お風呂の見守りとか手伝ってあげて」


 そう言われて一、二年の部員は実習服から体育服である半袖とハーフパンツに着替えて、園児や保育士たちと移動する。人数が多いので、部員からは五人だけだけど。

 園児が服を脱いで浴室に向かう。この年代だからか、男女共に入るみたい。銭湯と同等か、やや広い浴槽なので子どもたち全員でも余裕がある。


「しっかり洗って、しっかり入りましょうね」


 皆でお風呂なんてそう入らないので、みんなはしゃぎすぎてすぐに僕らは水浸し。まあ、温かいから風邪は引かないかな。

 一人で洗う子もいれば、きちんと洗えない子もいる。解るよ、頭を洗うとき目は瞑ってしまうよね。僕も未だに目を開けて洗えない。

 なるべくは一人で洗うように促すけど、少しは手伝うことも許されている。頭や手の届かない背中など。

 そしてきちんと数を数えてから、身体を拭いてあげる。皆碌に拭かないので、僕らがきちんと最終的に拭いてあげる。パジャマへの着替えは年長だから出来ている様子。

 最後に体育館で保育士の話を聞いてから、自分達の布団を自分で敷いてから就寝。寝るまでは僕らも担当の子の横で一緒に横になり見守る。夜は僕らもこの位置で寝るけど、流石に眠くはない。保育士と部長は体育館のステージ側で打ち合わせ。

 夜中も真っ暗には出来ないので、ステージの間接照明は点けっぱなし。夜中にトイレに行きたくなったら担当の僕らが連れていくようになっている。体育館から少し離れているし、初めての場所で怖いからね。勿論、廊下も所々電気は点いている。だから、幽霊なんてでない。絶体でない。出ないでください、お願いします。

 寝静まった園児を見てから、部長が部員を集めて翌日の工程等の確認をして、少し雑談を小声でしてから早めの就寝。

 夜中に一回だけ起こされてトイレに連れて行った。ああ、保育園のトイレは見守れるように個室の扉もないんだっけ?開けっ放しでしても恥じらいはないみたい。まあ、怖いからも理由かな。


「ユーリ……」


 いや、そんな顔で先生見ないでください。

 顧問の困った顔にどう反応したらいいのか。

 朝起きたら下半身が濡れていた。いや、オネショしてないよ。いくらプリハ内でオネショ癖があってもリアルじゃさすがにね。本当だよ?

 しちゃったのは大人しそうな子の方。朝起きたら、いつの間にか僕にしがみついて寝ていた。夜中にトイレに起きなかったけど、トイレに行くのが怖かったのかな。だからって……。

 その大人しそうな子、女の子は落ち込んでいたけど、尊厳を守る為に僕がオネショしたことになった。僕の尊厳は? 部員のみんな絶体に面白がっているよね。悲しいことに、オネショすることに慣れている僕も簡単に受け入れるんだけどね。悲しそうにする女の子を責められないし。それが切っ掛けで一日「オネショのお姉ちゃん」と呼ばれる事になった。哀しくないもん。

 大人しそうな女の子共々着替えてから、職員に布団を濡らしたことをごめんなさいして皆の元に戻る。

 既に朝食は出来ていた。和食だね。ご飯と味噌汁に卵焼きと浅漬け。シンプルだけど美味しい。卵焼きはもっと甘くてもいいと思うけどね。


「それでは、川に行きましょう」


 広場で体操をしてから、園児は体育館に戻り水着に着替えて少し離れた川に向かって二列で歩いていく。

 この林間学校の敷地にある其ほど深くない、──そうは言っても水深三十センチはあるので子どもには危険な──そんな川が流れている。

 僕らはお風呂の時同様に半袖ハーフパンツの体育服姿で一緒に移動する。勿論、お風呂時の服は濡れているので入学時に二着かってある内のもう一着。

 川に辿り着いたら施設職員とは違う人が二人。皆で仲良く挨拶をして、話を聞くと地元の人らしく、これからの催しに協力してくれた人らしい。

 まあ、まずは水遊び。川幅も狭く、水深も大したことがなく、なにより流れが穏やか。水遊びにはもってこいの場所。うん、裸で水遊びしたいね。リアルで【ヌーディスト】はまだ持ってないけど、服を着ていると勿体なく思う。

 保育士が持ってきた水鉄砲が僕ら一年生三人に集中する。なんで!

 数分でずぶ濡れ。こうなればこちらも水飛沫をあげて掛けて、さらにヒートアップ。結果、叱られました。当たり前か。

 時間を忘れて遊んでいたら集合がかかり、すこし下流に移動する。

 するとそこには、石で囲われたエリアが。

 これが地元の人も協力してくれた催し物。岩魚掴み!!

 園児限定なので怪我や喧嘩がないように見守る。ウズウズするけど我慢。

 ここで捕まえた岩魚がお昼に食べられるらしい。鮎なら頭からたべるけど、岩魚も食べられたかな?


「いいなー。楽しそう」


 隣でウサミミも参加したそうにしている。見ているだけだもんね。犬と兎の血が騒ぐよね。兎は草食だけど。

 それぞれ一匹以上捕まえて満足そうな笑顔が咲き乱れている。可愛いね。

 捕まえた岩魚は川原に設置された子ども用プールに放たれている。後で地元の人が血抜きをしてから持ってきてくれるらしい。僕らや保育士たちの分の岩魚も持ってきてくれるとのこと。感謝。


「いただきまーす」


 昼食は岩魚の塩焼きと流し素麺だった。僕ら一年三人が流す担当で食べる暇がない。最終的に皆が掬えなかった桶に貯まった素麺を食べた。だけど美味しかった。こんな大掛かりなこと普段じゃ出来ないから良い思い出だね。

 食べたら片付け。園児たちは体育館の掃除。一年生三人は流し素麺の竹を地元の人たちと解体して、施設横の薪等を置いている場所に運ぶ。キャンプファイアとかにも使う木材もあり、やってみたかった。

 片付けが終われば施設職員や地元の人に挨拶をしてバスへ乗車。無事に帰り着いたら解散かと思えば、そのまま僕らは四時まで園児と遊ぶ。まだ親御さんが迎えに来るには早いので遊んで時間を潰すらしい。三時位に帰って来たからだいたい迎えにくる五時まで時間はあるもんね。

 子どもたちは元気いっぱい。バナナ鬼で追われまくった。

 時間になり挨拶をして、僕らも現地解散。明日の午前に部室で活動記録を付けたり反省会したり。

 明日はプリハをしよう! 今日はゆっくりと休むことにしよう。

セクシャルマイノリティーの方たちが住み良い世界になればいいですね。ユーリが心の奥底で閉じ込めていたものが、プリハを通して一度開いてしまい、その後は今までの反動のように「自分らしく」を表に出しています。やはり、小さい頃は周りと違う事を感じて押し込めますよね。とくに集団行動が増える小学生からは。


ハラスメントコードは確かに甘く書いてしまっています。VR ならば、いままで以上に確りとしたシステムじゃないといけないんですけど、私の力不足です。

ちなみにLiLiはずっとハラスメントコードを切っています。初めてのオリヒメの際は人助けとして助けて貰った立場と思ってますし、軟膏の特性上は塗擦が普通でしたしと、ぐだぐだ言い訳をば

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