地下室依頼
二日間アクセスする時間にサーバー落ち、てか攻撃でダウンして入れなかった。
書きかけ途中で時間を開けすぎると内容がさらにズレてしまいます。
スマホアプリでマップとか見取り図とか作成出来る物ないかなー。
パソコンならあるみたいだけど……
ホームに戻ってからの一日は厩舎の建設に取り掛かった。
調薬室や仮設小屋で僕や犬たちに鳥たちは眠れるけど、馬や牛などの小屋はなかった。いつまでも野宿は可哀想なので優先的に造ってあげたかった。
頭数に比べて広い屋根や壁がある完全屋内型と壁の一部を取り払った日除けを造る予定で取り掛かり、翌日一日も使用して完成。それでも木材は残っていたので、調薬室と仮設小屋を完全に繋がるように増築。仮設小屋は簡易転移装置に隣接するように建てていたので、危険もありそうな調薬室からは少し離れていた。
元は取り壊し前提の仮設小屋だったけど、寝床としてペットたちが利用しており環境の変化を無くす為に残す事に決定した。
仔犬たちや白鴉のセッカたちも順調に成長しており、それぞれの特性が現れ始めた。
「今日は何の用だ?」
息抜き? に作った薬品の納品と売上金を受け取った後に棟梁の工房に訪ねる。
「廃材の購入と地下室の依頼に来たよ」
「地下室か。にしても、嬢ちゃんなんで小さくなってるんだ」
「うー」
好きで小さくなった訳じゃない。街にくる時はトラブル回避に人間体型で来ているが、行く先々の知り合いに驚かれたり気付かれなかったりと大変な目に合っている。
王都の薬品納品では誰からのお手伝いか聞かれたり、ゼメスにレイドボスの白蟲の鎌脚を持っていった時は溜息を吐かれた。無事に《睡牙》と《スリーピングクロー》は習得出来たけど、《仔犬化》して見せたら流石に驚かれた。妖精になってるとまでは思わなかったらしい。
当然、進化後に初めて会う棟梁には驚かれたが適当に笑って誤魔化す。だって、さらに幼女になる理由なんて思い付かないよ。いまじゃ、小人族よりも身長が低いかも知れない。運営は生産には身長が関係ないと思ってるのかな。小人族然り、《人化》然り本来の身長の変更率が適用されていないのだから。
「まあ、嬢ちゃんが言えないなら聞かないが。取り合えず廃材はいつもの場所にあるから後でな。先に中で地下室の設計をしようか」
「うん」
本来は自分一人で全ての建設をする予定だったが、建設ばかりに時間を費やす事も出来ない。出きるけど、他の事もやりたいと言うのもある。
幸いにも、薬品類の売上金がそこそこ貯まっているので面倒そうな地下室は任せようと思っている。
「それで地下室はどういう感じにするんだ?」
「えと、前に見せた見取り図あったよね。あれの調薬室とキッチン、鍛冶工房に造る予定なんだけど。まだ、調薬室くらいしか造ってないからその下に調薬室より一回り広い地下が欲しいかなって」
「三つに分けるのか?」
改めてインベントリから見取り図を取り出して見せる。
「ああ、それぞれ離れているのか。入り口は三つ必要か。いや、調薬室と台所はまだ近いな」
「近いけど、調薬室の下は毒草とかも置くし……」
「今、幾らある? 廊下で部屋を別に設けることも出来るぞ」
そっか。地下室って言うと蔵みたいに薄暗い物置ってイメージがあったけど、リアルでも電気とか付ければ普通だよね。ショッピングセンターとかホテルは地下って感じがしないもんね。
「えと、今は30万近くだけど。他の街での売上金回収したら30は超えると思うよ。超えるといいなー」
「嬢ちゃんとの仲だ。嬢ちゃんのお陰で稼がせて貰ってるし、サービスするか」
「うーん、最近は廃材しか買ってないはずなんだけどな」
プレイヤーで初めにホーム持ちにはなったかもしれないけど、完済を考えると他のプレイヤーの方が正式に入手した形になると思うんだけど。
「まずは地下室から台所の予定地を測ってから、予定地にも入り口用の小屋を建てて……」
どうやら棟梁は既に仕事を請け負った予定らしい。
たまに意見を聞かれて、調薬室からキッチンまでを廊下で繋げて左右に三部屋。四畳、六畳、八畳の部屋を対面で造る。それ以外にキッチンからダイニングに向けて二十畳の地下室も造ってくれるようになった。これだけで予算オーバーだが、サービスと棟梁の趣味を取り入れることで十万ちょいはマケてくれた。たぶんもっと値段上だと思う。
「やっぱ隠し部屋は欲しいよな!」
棟梁の趣味。男のロマンらしい。
「それでこっちにも部屋でいいの?」
「おう! 出来上がりは楽しみにしてな!」
調薬室から地下の廊下を降りてすぐの四畳部屋から隠し通路が伸びるらしい。詳しくは秘密だとか。なんだか怖いんだけど。
「で、たまにそこの改造もいいんだろ?」
改築じゃなく改造って所に棟梁の狂気……意気込みが見えるね。
ちなみに調薬室側から四畳部屋があり段々広い部屋になる。薬草とか分けるにも広すぎても良いことなさそうだしね。で、片側の部屋には光が入る細工をしてくれて普通に明るい環境で、もう片側は暗室。食材も冷暗所保存とかあると思うしね。
二十畳は明るい室内になる予定で、遊び部屋にしようかな。キッチンの予定地は補強用の材木も置くらしいから結構広い設計で行くらしい。地下室が出来たら潰しても良いらしいけど、仮設小屋がペットの寝室になったからどうなるかな。
「それじゃ、近い日でいいんだな。今週なら俺一人が抜けても大丈夫だから、準備出来たら言ってくれ」
「うん。忙しくない時にゆっくりでもいいよ」
「いや! ロマンが待ってるんだ。今すぐにでもやりたいが、嬢ちゃんも予定あるんだろ」
「うん。でも簡易転移装置の設定とかもあるしね」
ホームの各エリアでの入室制限が設定出来るように、簡易転移装置にも細かい設定が出来るようになっている。買った当所はホーム所有者や所有ギルドメンバーだけだったけど、設置イベントとしてNPCである棟梁たちが利用するのに、後に入れないで増築も出来ないでは不便であり異常だと言うことで、ホームと同等の設定が出来るようになったらしい。問い合わせた人の要望が通ったことが掲示板で判明している。
「今週中ならここに来たら良いかな?」
「ああ。暇な奴がいたらそいつらも連れていく」
今週中ってことはプレイヤーのログインに対応出来るような処置かな。でも、他の仕事いいのかな。棟梁って現場責任者みたいなものだよね。抜けても良いものなの?
「最近は土地購入や建設依頼も落ち着いてきたからな。この間までは休みがなかったから、順番に休ませてる程には余裕がある」
それって職人として仕事がないんだよね。確かにギルド開放で一気にホームの需要が高まって棟梁たちは忙しそうだったけど。一度買えばそうお世話にならないにしても、棟梁たちの収入が減って困ってるんじゃ。僕も常に金欠だから収入が減るのは困るし。これは地下室建設中くらいは料理でも差し入れした方がいいかな。でも、階位で料理が絶望的なんだよね。見守り隊には協力して貰ってるけど……うーん。仕事が終われば露天風呂でも提供して汗を流して貰えばいっか。プレイヤーも今じゃ皆が公共浴場に行ってるくらいだし、棟梁たち住民も汗とか体臭とか実装されているよね。
「設計はこのくらいか。それじゃ、廃材だったな」
「うん、お願い」
建築素材はまだまだ必要だし、抑えられる出費は抑えるべきだよね。
定期的に購入しているので一度の金額は大して高くもなく、慣れたやり取りで滞りなく買い物も終了。
棟梁とも別れて、次の目的地に向かう。