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姫パーティは楽しくも楽じゃない  作者: 犬之 茜
始めてのVRMMORPG
3/123

チュートリアル

 ゲーム開始は不具合により即落ちしてしまった。

 その不具合をメールにて運営に問い合わせたが、その日には回答は来なかった。

 意気消沈。なぜ、自分が女の子として認識されたのか。原因は脳波なのだろうと思い、ネットで検索すると同じような現象にあった人はそこそこいるらしい。

 そしてよほどの誤作動がない場合、たとえ初期化や他の機種で読み直しをしても改善されない。いや、脳波を読み取っている以上改善のしようもない。

 脳がそれを真実として刻み込んでいるのだから、スキャンする機器にはどうすることも出来ない。

 そんなことを知っても自分の心は晴れない。晴れる訳がない。

 ずっと男の子として育ってきたと今は思っている。確かに小学生中学年までは従姉妹のお下がりでワンピースやスカートを穿いたりしていたけども。中学時代は完全に男の子と思っていた。しかし、自分の脳は自身を女の子として認識していた。衝撃の事実だと、開き直って女の子として生きようとも思わない。

 心が瓦解する前に日中からふて寝して、ようやく夕方に眼を覚ました時にはなんとか落ち着いていた。

 そのまま一旦ゲームのことも脳波のことも忘れようと思い、音楽を聴いたりしてその日を終えた。

 

 翌朝、時間は九時半を過ぎたあたりに電話の着信で起こされる。朝から元気な友人、野上(のがみ)(いつき)の声で強制的に微睡みすら払われる。


『よう、起きてるか?ユーリもたしか昨日からゲームやりはじめたんだろ。どうだ?』


 どうだ、とは何がだろうか。


『まだお前のキャラのこと聞いてないしな。種族何にしたんだ?』


 回答する前に質問が変わった。渋々それに答える。あまり思い出したくない容姿を思い出しながら。


「獣人だけど」

『人間じゃないのか。しかも、獣人って……やっぱドMな』

「だから、別にそんなんじゃ」

『すぐにパーティ組めないのはあれだが、そいや名前はまたユーリか?スクショ撮ってるならメールで送ってくれ』

「え、えと……」

『あ、わり。そろそろ十時か。買い出し行かなきゃ。十一時からインする約束してっから、切るわ。分からないことあったら、聞いてくれ。じゃな』


 そう言って一方的に電話が切れ、不通音が聞こえてくる。数分の慌ただしい会話に頭も覚めてしまった。


「はあ……言えるわけないよ」


 自分が女の子のアバターなんて。

 別に女の子に興味がない訳ではない。むしろ普通位には興味がある。彼女だって欲しい。

 だが、それは他人だから興味があるのだ。自分が女の子になっても意味がない。

 そりゃ、女の子の身体にも興味はある。観察するならアバターは最適かもしれない。だけどアバターはアバターでしかない。しかもなんだかそれは虚しい。その為だけにアバターを使い続けることは無理だ。

 友達とも組めない。もとよりゲームでは組む予定もなかったし、種族が違えば難しいのだが、選択肢が狭まったのは事実だ。たとえ組めても騙すことになる。真実を言う勇気はまだ持てなかった。


「これが誤作動だったらいいのに」


 赤いカチューシャ型端末を持ってみる。新機種だとしても技術が確率されて、市場に出回ってからもう二十年の歴史はあるらしい。その間に改善は行われて、脳波の解析と読み取りの正確性も進みその点における誤作動なんてほとんどない。そのほとんどに含まれる可能性もあるかもしれないが、優理はそうは思えなかった。

 その時、スマフォがメールを受信した。


「運営からだ!」


 端末を置き、スマフォを取って差出人を見るとゲーム運営からだった。スマフォにも転送するように設定してあったので、ハード筐体にも届いているだろう。


『問い合わせありがとうございます。この度の性別の不一致については、イリューティスによる登録データの一部を利用させて頂いておりますので、当社では対応しかねます。誠に申し訳ありませんが、イリューティスの初期化または他機種からの新規作成を行って見てください。この件につきまして、お客様の報告を受け取り改めて公式サイトなどにてお知らせさせて頂きます』


 丁寧な回答だ。一部テンプレートなところもあるが、運営においても予想外だったのだろうか。

 さて、どうしたものだろう。


「取りあえず、何か食べよう」


 朝食兼昼食として、空腹を紛らわせる為に有り合わせの食材で炒飯を作り、朝の残りの味噌汁を温める。

 テレビの情報バラエティー番組を見ながら食事をとり、今後の事を考える。

 高いゲームを買った。すごく楽しみだったゲームが手元にある。高校入学までは時間がある。不満はキャラクターの性別。いや、低身長もだがそれは利点にもなる。

 食べ終わる頃には答えは出ていた。とっくに答えは出ていたのかもしれない。

 所詮はゲームなのだ。女の子ってだけで楽しみだったゲームを諦めることなんて出来ない。


「なら、楽しもう」


 一日無駄にしたのだ。今日は思いっきりやろう。そう思いながら食器を洗っていく。



     ***



「ゲーム起動」


 そして浮遊感の後に見る世界はあの小部屋だった。

 一人部屋としての調度品が置かれ、そこに全裸の女の子がいた。


「そっか、そのままログアウトしたから……」


 女の子の身体に興味が無いわけではないのだ。少し姿見で確認したが、ため息が出た。

 子どもの身体だ。興味も減退する。平らな胸。スベスベな股関。子どもだが、女の子の身体だ。だけど、それだけだった。


「なんか、違うんだよね」


 やはりアバターだからだろうか。それとも、()()()()だからだろうか。

 思い通りに動く身体に違和感はない。視点の低さも気にならない。


「取りあえず、楽しまなきゃ」


 ここにいてもどうしようもない。

 装備を戻して部屋を出ようとする。


『一度フィールドに出るとここには戻れません。よろしいですか』


 警告文と共にYES/NOがポップし、YESをタップする。

 扉が開き、そこには木造の平屋がチラホラ見えた。


「よし、行こう」


 もうアバターのことで悲しまない。今は楽しむんだ!

 事前に見た情報を元に、小屋の向かいにある芝生らしき草地に立っている男性に話し掛ける。


「あの、すいません」


 自分とは違う、獣が二足歩行に適合した容姿。

 ケモナーなら喜びそうな、コスプレ風じゃない立派な獣人だ。正確にはPC(プレイヤー)NPC(住民)を分かりやすくする為らしいが。

 コスプレ獣人がPCで獣の特色が強い獣人がNPCらしい。大昔には対立していた種族だが、過去の大戦で手を組み、大戦後は和解した設定らしい。

 それは他の種族にもそれぞれ存在する。


「あん? なんだ若造」

「首都に行きたいんだけど」

「ムリムリ。戦いもできない若造が一人で行くなんて出来るか。それとも俺を雇うか?」


 メッセージがポップする。獣人……ゼメスを雇う金額が表示される。値段は十万リゼ。到底雇える金銭は持ち合わせていない。所持金が合わせて表示されているが、その金額は五百リゼ。

 どう考えてもチュートリアルに不必要な要素だが、何か裏技があるのだろうか。

 そんな事を考えるよりも、いまは先に進もう。


「戦い方を教えて」

「はっ、いきなりだな。だが、その心意気は気に入った。あくまで一人でいく気か。いいぜ、ここじゃなんだ、着いてきな」


 なんと軽い男なんだろうと思いながらゼメスに着いていく。

 町ではなく、村外れの丘にやって来る。少し先に村がある近さだ。


「さて、まずは装備の確認だ」


 メニューリストの立ち上げ方などを男ゼメスが口にするが、すでに知っているので装備画面まで手際よく開く。その間に邪魔な画面も消して視界をクリアにしておく。


「武器は獣人なら自慢のクローがあるが、別に武器を持ってもいい。魔術なんてもんもあるが、俺は門外漢なんでな」


 ゼメスが爪を伸ばす。どうやるのだろうかと思い、同じように指を少し曲げると猫のようにニュッと爪が飛び出た。


「使い込めば強くなる。(わざ)もその内思い付くだろう。ただ自前の爪の強化は特殊だがな」


 ゼメスが目の前で十字にクローを描く。今のがクロー用の業なのだろう。


「修得した業は装備の横で確認できる」


 曖昧な説明だが、始めてのログインで確認してある。装備メニューの横にスキルメニューがあるので、それを呼び出す。


 【武器技能】

 クローLv1:《スラッシュ1》


 現在修得しているスキルはこの一つだけだ。武器以外にもスキルはあるだろう。確実なのは生産スキル。

 その内様々なスキルや装備を手に入れるが、見やすいようにカスタマイズしていく必要が出てくるだろう。


「ゆっくり覚えればいいさ。俺は口で教えるより実践のほうが性にあってるからな。戦いながら覚えろ」


 なんというスパルタ。確かにVRにおいて実践のほうが覚えやすいだろう。それだけシステムが複雑なのだ。しかし、スキルの使い方すら習わずに戦闘とはどれだけのスパルタなのだろうか。


「戸惑っているのか?だが、首都に行くなら戦闘もあるだろう。なら、敵は待ってくれないぞ」


 ゼメスが爪を向けてくる。

 僕も慌てて爪を出して、不格好に構える。


「いくぞ」


 唐突に始まる戦闘。大振りに右上段から袈裟に振り下ろされた爪は空を切る。尻餅をつく形で避けられたが、これはただの偶然だ。

 今度は(すく)うように振り上げてくるのに合わせて、右に転がる。大振りな攻撃の隙になんとか立ち上がる。

 そこに爪の刺突が襲いかかり、咄嗟に腕をクロスしようとするが、相手が速い。しかし、また好運にも爪が重なった所に刺突がそこにぶつかる。


「はっ」


 自分の呼気が短く漏れる。

 そこにガードに成功した旨のメッセージがポップした。たまたまだったが、クローによる防御が成功したようだ。なんとも心臓に悪い。爪の短さもガードを困難にしている。

 飛び退いたゼメスを見やりながら、構え直す。


「キツすぎでしょ、これ」


 汗は流石に掻かないが、冷や汗ものだ。もし、防御が失敗していたらどうなっていただろう。


「ガードは出来るようだな。なら俺に一撃入れてみろ」


 ゼメスが身を沈める。先程より重い攻撃がくる予感がする。しかも、この距離なら先程の刺突か。

 ガードをしながらどう反撃に出ようかと考えていると赤い三本線が見えた。

 横から見ていたならそれはゼメスの振り上げた爪から発生し、その進行上に向かって行くのが見えたはずだ。衝撃波による攻撃だった。


「っっ、うあっ」


 慌てて身体を捻り、足が(もつ)れて無様に顔から地面に転がる。


「いって、……ぺっ」


 ヒリヒリと感じるが気のせいだろう。反射で唾を吐き捨てるが口からは何も出なかった。

 視界にゼメスが見えた。刺突だ。

 ガードする余裕もなく攻撃を喰らった。


「……あれ?」


 そう思ったが、掠りもしなかった。

 まだ立ち上がっていなかったこと、そして何より小柄な身体だったことが幸いした。もし、身長があれば顔面に受けていただろう。

 一瞬の隙が生まれた。


「あたっれ!」


 体勢は不安定だったが、スキルをイメージしながら腕を振り抜く。

 ブォォンと鈍く空を切った。無意識だったが、延びた爪が白く発光しているのを見るとどうやらスキルが発動したようだ。

 頭でイメージすればそのスキルが発動するようだ。これは確かに実践のほうが修得しやすい。

 しかし、渾身の《スラッシュ》は外した。

 原因は小柄な身体。つまりリーチが足りなかったことだった。

 それを姿勢が崩れ再び地面に向かいながら、スキル発動成功のメッセージを見る。

 直後、小さな身体に幾線の爪の雨が降り注いだ。


「あー、負けたんだ」


 目を閉じて攻撃を受けた。だけど、チュートリアルにより死なないようになっていたのか、左上に浮かぶLF(生命力)が減り黄色になっていた。


「ガードも業も扱えるなら問題ない。俺も少しは本気になってしまった。若造、見所があるな」


 不敵に笑いながら見下ろしてくる。

 なんとか起き上がると、小瓶を差し出してきた。


「取りあえず回復しておけ」


 ポーション的な回復アイテムらしい。使い方が分からないが、蓋を開けて一気に飲んでみる。

 無味無臭であったが、使い方があってたのか急速にLFは回復して、疲れも軽減していく。そして攻撃痕の出血のように溢れる傷口の赤いエフェクト光も消えていった。


「アイテムは身に付けていないと使えないが、今はバッグを持っていないのか」


 インベントリに入れて置くだけではすぐには使えないらしい。まあ、武器とかと同じか。


「まだ、時間は大丈夫か?」


 自動的にメニューが呼び出された。

 右上に現在時間。つまり、リアルの時間とその下にカウントダウンが表示されている。残り二時間を切っていた。


「あ、そうだっけ」


 これは接続時間の設定の確認か。

 今までのVR下において、接続しっぱなしによるネトゲ廃人の死亡が起きていた。

 また、長時間のログインによる病気の発症率も上がる。例えばトイレに行かずに膀胱炎になるとか、例えばリアルと区別が付かずに犯罪なり精神に影響が残るとか。

 その対策は長いこと自己責任だったが、ハード及びソフトに置いても対策が取られた。

 それが接続時間を越えたら強制的にログアウトするように。直前のデータを残し、脳に影響がないように事前に三十分と十分前に警告が流れるシステムで。

 初期設定では三時間。あとは六時間と九時間で設定出来る。そう、どんなに長くインしても一日最大九時間が限界になるように。

 もちろん日にちを跨げば最長十八時間はログインできるが。

 そして、これには年齢制限が絡んでくる。

 十二才まで最長三時間。十八才まで最長六時間までの設定しかできない。


「まだ、大丈夫」


 この世界はハードに基づき、そこからさらに三時間短い限界制限が設定されているので、僕も六時間しかいられない。つまり、ハード自体の最大接続時間は九時間。

 慌てて設定を三時間から六時間に変更する。残り五時間ほどしかいられないので、少しでも進めたい。高校生になれば、六時間も入っていられないだろうし。


「そうか。戦闘は大丈夫だから、路銀の稼ぎかただな。困っている奴が居れば助けろ。見返りに何かは貰えるだろう。試しに俺から依頼を出してやる。必要な素材が集まったら先程の場所に持ってこい」


 クエスト画面が現れる。

 特定のアイテムを集めて渡すクエストのようだ。取りあえずYESを押して受諾する。


「それじゃあ、待ってるからな」


 ゼメスが去っていく。


「さて、と。えーと、フィールラットの毛三つと滋養の葉を六つか」


 クエストの詳細を読んでから辺りを見渡す。遠目にモンスターがポップしていく。あれがフィールラットなのだろう。

 そして、所々に淡く発光している場所がある。その色は白が多く、緑が等間隔に少し。どちらも絶対数は少ないが。


「取りあえずモンスターより近いとこから」


 すぐ横に白く発光している草に手を(かざ)すとメッセージがポップ。


『未鑑定の薬草を入手しました』


 恐らく目的の物が一つ手に入った。

 つまり、発光しているところが採集が出来る場所らしい。どうやら採集スキルとかはいらないみたいだ。ただし、手に入る物は全て未鑑定なので、対応したNPCか生産スキルが必要だと後で知ることになる。

 次に村から離れて緑に発光する場所にやってくる。

 もう一つも採集なのかと思ったが、どうやら違うようだ。


『セーフエリアです』


 それだけが表示されたが、これも知っているものだった。

 セーフエリアとは、地形により変動はあるが約五百メートルから一キロ置きにある文字通りのセーフティーエリア。フィールドのどこからでもログアウト出来ないようにするものだ。特にPK対策だろうエリアだが、相手の殺り逃げ防止と非常避難用の意味があるらしい。


「取りあえず、ここ以外でログアウトしたら次のログインはここからかな」


 街以外のログインは最後に寄ったセーフエリアから始まるので、なるべく通過したほうがいいと攻略に載っていた。


「じゃあ、やっぱりもう一つはあのモンスターか」


 セーフエリアに近づく過程でモンスターも近くなった。最初なのでエリア近くにモンスターもいるのだろう。

 試しに近づくが襲ってこない。アクティブモンスターじゃないのも最初だからか。


「よしっ、がんばろっ」


 握り拳を作り気合いをいれる。

 これから実践。これから世界が始まる。

 気合い十分にフィールラットに攻撃を仕掛け、相手も攻撃シークエンスに入る。

 しかし、なんて弱いのだろう。いや、ゼメスが鬼畜なのだろうか。

 『LiLi』の身体よりも小さいラットは突進と噛み付きの攻撃のみ、一度攻撃を喰らったが一割程しかダメージはない。

 ただ、小さいだけあってこちらの攻撃も空振る。攻撃力より素早さよりなので一撃も軽いが四回も攻撃が当たれば倒せた。また、スキルを使えば追撃に一回の攻撃で倒せる。流石にクリティカル判定のない(つたな)い攻撃ではあるが。


「もう少し狩るかな」


 毛は必要数集まった。採集ポイントを移動しながら次々に倒していく。

 どちらも必要な数以上に揃ったと思う頃には村から離れていた。レベルは1から3に上がって、もう少しで4になりそうだったが、LFが五割になりそうだ。

 レベルアップで回復はしない様子で、回復アイテムもない。

 これ以上の深追いは流石に危険だ。始めた日に死んでデスペナルティーも嫌だ。できれば一回も死にたくはない。

 (きびす)を返すとその先に一回り大きな黒いラットがいた。

 ゾクッとする。きっとレアモブなのだろう。他のラットよりも威圧感があった。今のままじゃ確実に負ける。

 相手はまだ気付いていない。レアモブだけあってアクティブかもしれないので、迂回しながら慎重に村に戻る。

 途中、村近くにもラットが湧いて一度戦闘をしたが無事にゼメスの元にまで辿り着く。


「なんだか疲れているな。で、集まったのか?」


 クエスト報告のメッセージが現れYESを押す。すると、アイテムが必要数だけ実体化する。


「これ」

「どうやら鑑定を終えていないのか」


 ゼメスの説明で未鑑定品は受け取れないと言われ、雑貨屋に行って鑑定をしてもらうことになった。初回なので鑑定料金は掛からなかった。次回からは必要だと説明された。

 鑑定を終えてゼメスの元まで戻る。


「無事に鑑定が終わったか。確かに指定の素材だ。心配する程でもなかったか」


 ゼメスがアイテムを受け取るとクエスト完了のメッセージが流れる。


「これが報酬だ」


 小袋を受けとる。


『クエスト報酬50リゼを受け取りました』


 …………安っ。いや、始めだからこのくらいか?


「これで一人でも首都まで行けるだろ」

「えっと……」

「ほら、餞別だ。アイテムを入れるバッグだ」


『使い古しのバッグを入手しました』


「ありがとう」


 出来れば綺麗な物が欲しかったが。

 アイテムが消えたので装備を見ても見当たらない。小首を傾げながらアイテム画面を見ていくと貴重品に入っていた。

 タップして説明を読むと、5個のアイテムを入れておけるみたいだ。『使用する』を選択するとたすき掛けに変色した毛皮のポーチが現れる。中は空っぽだった。


 ゼメスと別れる際に近くの井戸水を飲むと体力回復効果があると聞き、LFを全快するまで汲んで飲んでを繰り返す。


「うー、苦しい。これ、効率悪いよ」


 無料回復はお腹が一杯になった。


『LiLi』


レベル3

成長87

種族:獣人

階位:なし

生命力120(+20)

精神力60(+10)

攻撃力12(+2)

防御力12(+2)

 智力7(+2)

命中力12(+5)

素早さ12(+5)

器用さ7(+2)

  運6(+1)


※基礎ステータス各pt1/1Lv、種族補正・得意分野各1pt/1Lv、種族ボーナス・得意分野各2pt/5Lv、フリー1pt/1Lv

※生命力1ptで10up、精神力1ptで5up、運のみ基礎ptは偶数でのみup、その他1ptで1up。以上20Lvまで適用。


【武器技能】

《クローLv1》


~以下戦闘装備~


武器:クロー

武器:クロー

 頭:なし

胴体:なし

 腕:なし

下肢:なし

 脚:なし

装飾:なし

装飾:なし

装飾:なし


~ファッション装備~


 頭:なし

胴体:獣人のシャツ

上着:なし

 腕:なし

下肢:獣人のハーフパンツ

 脚:草編みブーツ

装飾:なし(戦闘装備に反映)

装飾:なし(戦闘装備に反映)

収納:使い古しのバッグ(戦闘装備に反映)

下着:幼獣の秘布

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