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お買い物デート(保護者同伴)

「おまたせ」

「パットはちゃんと替えれた?」

「LiLiのこと聞いていたから大丈夫」


 アリスンに抱きつき、匂いを嗅いだらあまりの多好感で嬉ションをしてしまった。

 幸い、従姉妹の助言もあり事前にパットを当てていたので垂れることはなかった。

 従姉妹もアリスンも僕の嬉ション癖には慣れてるから、反応もプリハ内と変わらない。


「ちゃんと交換したよ。で、僕の話って」

「ユーちゃんが常に首輪や尻尾着けてたり、ゲーム中はオムツ履いてることとか、四つ足で公園歩いてる事とかかな」

「あと、今もお風呂一緒に入ってるとかの話も」


 ある程度アリスンに話していたことを詳しく聞いていたみたいだね。


「それより、何処から行く?」


 アリスンは夕方前にはホテルに帰らないと行けない。

 遊ぶ時間は五時間程度。この中で買い物とかしようと話していた。


「まずはペットショップ!!」


 その中でも一番は、僕の首輪を選んでくれることが楽しみだった。皆から貰った首輪も好きだけど、アリスンが選んでくれるのは特別だと思う。

 考えただけで鼓動が早くなり、下腹部がキュッと熱くなる。尻尾もすごい振るえている。


「やっぱりLiLiはペットなんだね」

「お店行くまでは私と手を繋いで行こうね」


 そうと決まれば即行動。駅近のデパートだから然程歩かないけどね。

 僕がパットを替えている間に話していたのか、ペットショップまでは従姉妹が手を引いて、そのあとはアリスンが交代するみたい。

 細かい個人情報を話さないようにしながら、お互いの事を話ながらペットショップに入店する。


「えっと、あ、向こうの棚みたいだね」

「ユーちゃん、嬉しそうだね」


 天井からぶら下がる案内板を見ながら三人で首輪コーナーへ向かう。

 春休みだからか、子ども連れの家族は展示エリアに集まっているが、その他にもお客さんは多い。

 犬猫以外にも鳥類や熱帯魚などの水性生物、蛇や蜥蜴などの爬虫類とかなり広場が大きいので、見に来るだけの人も多いみたい。


「LiLiはどんな色がいい?」

「赤!!」


 次点で茶色かピンクかな。

 つい大きな声で答えたので、他のお客さんに見られたけど、すぐに視線を戻された。


「しゃがんで。これと、これ。合皮系が良いんだっけ?」


 赤系の首輪を次々に首に当てて選んでくれる。

 田舎はそんなに種類を置いていないけど、ここは同色だけでもデザインや素材が多種類あり、つい目があちこちに移ってしまう。

 従姉妹も別に選んでいるけど、先程のお客さんが僕に首輪を当てて選んでいるのを驚いて見ている。


「これはどう? 骨型に彫り込みのデザインもあって、可愛いし」

「アリスンが選んでくれたのなら、なんでも嬉しいよ」

「日本じゃ、ショックカラーみたいな躾用の電流流れるのないみたいだから、LiLiは残念でしょ」

「虐待に繋がるとかだったよね。僕もできたら着けて見たいんだけどねー」


 そんなことを言いながら同デザインのリードと迷子札もカゴに入れる。お金を出すのは自分だけど、選んでくれた事実が大事。


「はい、LiLiお座り」

「わんっ」


 店先でアリスンの命令でお座りし、今まで着けていた首輪を外され、買ったばかりの首輪を着けられる。幸せ。


「ユーちゃん、LiLiって書いたよ」


 首輪に名前を記入した迷子札とリードを装置して、アリスンが手に持つ。夢にも見た幸せがとうとうやって来た。リアルでアリスンに引かれての散歩は僕の夢の一つだったのだから。

 周囲の人たちが見てても気にならない。撮影も、僕の幸せを見せつけてあげる。


「それじゃあ、少しぶらついてご飯に行く?」

「とうとうユーちゃんの手が離れたね。幸せそうだからいいか。いっぱい撮影しなきゃね」


 ペットショップで動物を見たりして微妙な時間だったので、適当に歩いて食事に行くことになった。

 子どもが子どもにリードで引かれて、首輪を繋がれた子どもがスカートから尻尾を振ってるのは目立つようで皆から見られたり、カメラを向けられるけど、僕ら三人は慣れてしまっているので気にならない。

 そのままおしゃれなカフェを見つけて入店。


「ペットいます」


 入り口にペット入店可のステッカーが貼ってあり、口コミも良かったので入店したけど、入るなり店員にアリスンが言った一言。

 店員は戸惑ったけど、僕たちの状態を見て納得したのか何も言わずに案内をしてくれた。教育が行き届いている。冗談とは思わなかったのか、ペットメニューまで準備してくれた。


「LiLi、どれが良い?」


 見せられたのはペットメニュー。まあ、ドッグフードを始めペットメニューはプリハで食べ慣れてるしね。スポンサーによってリアルと同じ味付けだから、味や食感にも慣れている。リアルでもドッグフードやジャーキーは何度か食べたことあるし。


「春野菜のパスタかな」


 ペット用に味付けされたパスタ。美味しいけど、いつも思うけどなんで人間用よりも値段が高いんだろ。

 さすがに床で食べるような事はしなかったけど、フォークもなかったのでアリスンに食べさせて貰った。

 従姉妹はちょくちょく撮影して微笑んでいる。


「ごちそうさま」


 アリスンに口まで拭いてもらい、食事を終える。アリスンは僕よりしっかりしてるよね、小学生に思えない。


「このお店はアタリだね」


 ペット用でもしっかりと味や食感が感じられた。

 酷いものだと茹ですぎや、下味もしていないようなもの、萎れている野菜とかもあるからね。プリハ内もリアルでもペットメニューを食べた僕の意見。

 その後、ウィンドウショッピングをして従姉妹のインスピレーションを掻き立て、いずれアリスンとの双子コーデなども約束した。


「ドッグラン併設だって」

「LiLiは遊んできたいの?」

「すこし、だけ」


 軽食が出来るドッグランで休憩。都内にドッグランは少ないのか、たくさんの飼い主と犬がそれぞれ交流している。

 アリスンにリードを外されてドッグランを駆けてみる。うん、四つ足歩行にもすっかり慣れて意識しないでも出来るようになった。駆足も問題ない。

 動物同士でお尻の匂いを嗅ぎ合うのも日常になったし、こうして動物に囲まれて四つ足で移動すると、本当に犬になれた感じがして楽しい。

 知らない飼い主さんが投げたボールを数匹で追いかける。毎回負けるけど、気を利かせて僕の近くにボールを投げてくれる優しい飼い主さん。ボールを咥えて行くと頭を撫でてご褒美の餌も一つくれる。

 アリスンには負けるけど、良い飼い主さんだねジョベルバール。ショコラやサクラの飼い主さんも優しい。


「すっかり犬だね」


 アリスンがカフェスペースから迎えに来てくれるとすぐに迎い、猫みたいに足にまとわりついて臭い付けしてしまう。やっぱりアリスンの横が一番安心。


「こっちでケーキ食べよ」


 先に注文してくれたのか、水とペット用のショートケーキが床に置かれた。

 慣れたもので口を上手に使い食べていく。食べさせられるのも好きだけど、犬のように食べるのも得意なのだ。プリハだと、基本この体勢で食べるしね。

 僕が遊んでいる間に二人はペットが好きな遊びや食べ物などの話をして盛り上がっていたらしい。

 周りはどうか知らないけど、ペットとして見られるのもやっぱり悪くない。

 人間態よりも甘えやすいしね。


「改めて、私の飼い犬のLiLi」


 そうやって紹介されるのも幸せ。人間扱いも好きだけどね。アリスンになら、どんな扱いも幸せでしかない。

 何組からは、ペットと遊んでいた様子をネットに上げて良いか聞かれたけどもちろんOK。

 いや、地元でも僕のことは有名らしく、一番の原因であるハロウィンイベントや学園祭でメディアに出たり大勢の前に出たりしたのが発端。

 ネットでも取り上げられてるのは知っている。

 四つ足歩行でインタビューを受けて新聞に載ったことも実はある。

 こうやって掲載許可取ってくれる人なら、なるべく許可を出している。

 首輪と尻尾を生やした女の子として一部から人気だと、部員やクラスメイトから聞いたことがある。

 さすがにファンクラブに入っているとクラスの男子に会員証見せられたのは引いたけど、二年に上がる前に女子として受け入れられたのは嬉しい。恋愛対象は女性だから、男子には悪いかもだけど。


「あ、そろそろホテル向かわないと」


 何だかんだで夕方になっていた。

 アリスンは母親が予約したホテルに戻らないと行けない。さすがに同じホテルになる事はなかった。

 僕らのホテルは安いビジネスホテル、アリスンは高級な海外セレブも宿泊したホテル。

 本当は母親の実家がある所に行く予定だったらしいけど、僕らが遊ぶことを考えてホテルにしてくれたらしい。ありがたいことです。


「タクシー呼んだよ」


 従姉妹が先に気を利かせてタクシーを手配してくれたみたい?

 タクシーが来たら、アリスンのホテル経由で僕らもビジネスホテルに帰る。


「じゃ、明日」

「うんっ、またねっ」

「明日もよろしくね」


 アリスンと別れホテルで少し休んでから従姉妹と近場に食事に行き、一緒にシャワーを浴びてから早めに休む。疲れてたのかすぐに眠れそう。

 明日はいよいよ記念パーティーだ。


 ネット上にはあちこちで僕らの目撃情報や画像・動画が出回り、ファンが増えたとか増えなかったとか。

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