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衆人環視での政務

 僕は今、『ましゅまろ村』の広場にてプレイヤー・住民を問わず見られている。

 そして広場の真ん中には特設の害獣用の檻を改良した政務室が設けられ、この中でお仕事をしている。


「お、おわんない」


 立って背伸びをしたいけども、それは叶わない。

 現在の僕は首輪から伸びるリードがいつものから鎖に変更され、それが天井へと繋がっている。机に突っ伏して寝ると首が吊られる絶妙な長さ。

 首輪もアリスンの協力のもと、普段身に付けている弱い電流が流れる躾用のショックカラーではなく、クリスマスのプレゼントされた強力な電流が流れる懲罰用のショックカラー。

 逃げられないように、椅子には腰と肩からの二点ベルトが僕の身体を離さない。

 足にも床から伸びる鎖が足輪に繋がっている。

 マイクロビキニな幼女にあんまりな拘束具。椅子は便器になっており、トイレと言い訳して脱走することも出来ない。

 普段のプレイヤーは尿意なんてないけど、僕が所持する技能や階位によって住民のように尿意があるからね。


「みんなに見られながらのトイレは気持ちいいけどさ」


 書類仕事が終わらない。今日で二日目なのに半分もなくならない。


 なぜこんなことになったかと言うと、アリスンとクリスマス・正月イベントで遊ぶために、キンリーたちに無断で里から離れたから。

 イベントの約二週間。プリハ内の時間にして1ヶ月。

 里どころか獣人領にも寄らず、行くなら人間領で遊んでいた。

 プレイヤーを通してキンリーたちに人間領などで遊び倒していることが発覚しているとも思わず、楽しく息抜きが出来た。

 そして、冬休みも終わり久しぶりに里に行ったらキンリーたち里の重鎮達が待ち構えていた。

 一時間の正座による説教と重鎮一人百回に及ぶお尻叩き。

 流石に気持ちいいだけのお尻叩きから、久しぶりにヒリヒリする痛みに悶えてしまった。

 そして、時間があり改良に改良を重ねた特製執務室に収監され、現在に至る。

 昨日の段階で僕の身長を越す量の書類の塔が建っていた。これを消化するまでは出られない。

 囚人用の食事なのか、ドレッシングもかかっていないただの野草に生の茸、何かの肉片が入ったサラダが一日二回。そこに、追加の書類。

 処理速度が落ちるといつまでもここから出られない状態。


「縛られるのも、視られるのも好きだけど。この書類がキツいよ。腱鞘炎になりそう」


 書類を読んで可否を決め署名。企画書や嘆願書、改善案や取り決め依頼など。以前よりも書類の種類が多い。

 それもそのはずなのか、いつの間にか『ましゅまろの里』から『ましゅまろ村』に変わっていた。

 住民増加で、村の拡張用の土地も購入可能になっていた。


「プレイヤーのおかげだけど、予想外すぎるよ」


 もとは僕の敷地内で孤児院を中心に少数の住民で慎ましく生活する予定が、リンゴやオリヒメなどのギルドが集まり、さらに難民・移民が集まり、マイノリティなプレイヤーや住民が増え、今では街作りが好きな職人や研修として送り出された弟子たち。新たな職を求める求職者や農地を得ようとする農家などなど。

 プレイヤーを含まずに住民五百人で村に認定されたようだけど、すでに二千人はいるんじゃないだろうか。

 それと言うのも開発・開拓速度が早いせい。

 プレイヤーの生産職の半数以上は微課金から重課金をしているらしい。

 課金要素は強さに反映しないように武器や技能などの販売はされていない。

 だけど、生産系でみれば素材ガチャや作業速度短縮などの便利アイテムが存在する。

 数々の素材と時間短縮アイテムに住民を含めた数が合わさり、かなりの速度で開発が進んでいる。

 村になった時に中洲周辺にいた周回型レアモブは移動したみたい。人の気配が増えて嫌になったのか、近場に経験値がいるからとプレイヤーに狩られまくったからか、下流にて今は生息している。そこには中洲もなく、攻撃が難しくなったようでレアモブとしては良い環境なんだと思う。


「それに、企業が融資・提供の打診とか」


 人間領側の遊園地に動物園、水族館を企画はしていた。

 現在は大きな児童公園に人力メリーゴーランドなどが作られている。そのとなりにふれあい動物園のように、各領にいる家畜系が集まっている状態。水族館はまだ全然で、水槽に釣ってきた川魚に海の生物がそれぞれ分けられて幾つかあるだけ。

 今後は人力を自動にするところで止まっている。大型も制作が難しく、昔にあったミラーハウスや脱出型迷路、お化け屋敷など箱ものが制作中。

 これに、関西の有名レジャーランドが目を着けた。世界に展開している有名な所で、ゲームやアニメなどともコラボしている企業。

 プリハとのリアル側も含めたコラボを企画中だったようで、プリハ内では下地になる場所探しをしていた所に、プレイヤーが自由に開発できる里として誤った情報と共に企画者の目に留まった。

 僕にとっては悩みの種。もとは孤児の子の心を癒し、楽しめる遊具が裏庭の公園の始まり。

 それがプレイヤーが魔改造して、ついには土地を購入して権利を僕に渡してまで遊具作りに精をだしている。確かに専門知識や技術・資格なく好きに遊園地など作れるのは楽しいけどさ。

 企業側も世界観をなるべく壊さないようにすると言っているけど、プレイヤー側は遊園地に併設してカジノまで作る構想もあると書類で確認した。

 企業が入れば利益とか管理とか大変そう。でも、プリハで遊園地で遊べるのは僕も魅力的に映るんだよね。

 企業アイテムは普通には作成出来ない。購入はゲーム内通貨か課金のみ。つまり、動力問題や大型化などが解消する。

 それを作りたいプレイヤーもいるが、プレイヤーなら他にも出来ることが山ほどあるしね。自力で作りたい人は自力で作って家庭用などに反映してくれたら助かる。


「日時指定したら話し合い出来るみたいだけど」


 まずは書類仕事を終わらせるまでは保留かな。

 檻から出ないと話し合いにも行けないのだし。

 でも、見せ物になるのも悪くないように感じてきて、早く終わらせるか悩み所。

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