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愚痴

「はぁー」

「またため息吐いて」


 樹に僕がLiLiだとバレて言い訳をしようとパニクる頭で考えていると、「ユーリだと守備範囲に入らないんだよな。あー、俺のリリちゃんが」なんて言って悲しそうにしていた。

 それはそれで傷つくんだけど。貞操の危機は脱したかな。

 そのあとは、今まで深く話せなかった事を話してから別れた。


「リア友に隠してたのがバレて落ち込むのは解るけど、嫌われた訳じゃないんでしょ。んー、どうなの」


 現在は夕食を食べて、元から約束していたアリスンと会って愚痴に付き合って貰っている。

 いつものようにアリスンが足で踏んで全身マッサージをして貰っているけど、次第に強くなってきている。怒ってる?


「嫌われてはないよ」

「じゃ、いいじゃん。それより、久しぶりに時間合ったのに!」


 そう言って、いつもより強く顔面マッサージに移行していく。変顔になっちゃう。


「ぎょ、ごみぇん」


 リアルで小学生のアリスンは接続時間が三時間しかなく、毎日そんなにログインも出来ない。レベル上げはダンジョンで僕以外の従魔としており、僕がいる時はフィールドで散策や遊んだり、簡単なクエストをして過ごしている。

 多少はお互いのリアルバレしない範囲で会話をしたりはするけど、ゲームの暗黙の了解で然程話さない。

 それがグダグダと愚痴ばかり言ってたら怒るに決っている。久しぶりに遊ぶはずが愚痴で少ない時間を費やすんだから。


「ん、もう、言わないからー」


 マッサージのお礼にマッサージをしてくれた足を舐める。犬の姿だから絵面に問題はない。次いでに言えば、僕や従魔が舐めるせいか、アリスンも階位【蜜体】を晴れて獲得したので美味しい。

 それに、アリスンは小学生と思えないくらいに大人な思考をしていて、つい甘えてしまう。アリスンも犬形態でも人形態でも子供の見た目な僕を幼い子供として、ペットとして見てくれるからアリスンの前だと精神年齢が下がるのは仕方がない。元から精神年齢が低いわけでは断じてない。


「それで、領越えができたら……えと『ましゅまろの里』だっけ? 遊びに行っていいの?」

「もちろん!!」


 近々プレイヤーのレベルが50以上が増えた為に領越えに挑む事になっている。勇士を各領で募って両端から攻略に乗り出す。四領同時に一領二部隊での両面攻略。

 それで攻略出来たらどうなるかは不明。全プレイヤーに対して通行が楽になるのか、攻略したプレイヤーだけ楽になるのかはわからない。

 僕の渡河はイレギュラーだと思うので参考にはならない。ただ、首都どうしで転移は可能になるだろうとは思う。犬の姿で転移してきているのは、素早く現場を離れても目撃はされるから噂にはなる。オリヒメを通して、匿名で情報は掲示板に上げているからか、プレイヤーに捕まって問い詰められはしていない。


「私は後方部隊で獣人領にいくから……」


 アリスンは日曜のお昼からと言う事で参加するらしい。

 レベルに不安があるので後方での支援。寄生も出るだろうが、雑魚は出るので一番始めの接敵間隔が長くレベルも低いモブの露払いをして主力の消耗を減らし、その後は前後入れ替わりで主力に前線を任せて後方を守る役割をするらしい。

 主力は50台、低くても40後半。

 アリスンはダンジョンでレベル上げしているけど、ログイン時間で主力になれるほどレベルは高くないし、テイマースタイルだと戦闘技能も育ちにくいのでどうしても同レベル帯からしても個人の技能レベルやプレイヤースキルが低くなる。

 後方部隊はレベルは低いけど寄生も嫌だというプレイヤーの集まり。そこでの話し合いでアリスンは撹乱遊撃。露払いでも突破力には期待されていない。

 陸と空による撹乱と付与が主になる。ただ、序盤はモブも少なく弱いから、撹乱もほぼ必要ないって自嘲気味に話してくれた。


「僕の所にきたら、家に住んでいいからね!」


 獣人領に来たら、色々案内してあげよう。そして、一緒に暮らせたらいいな。


「よろしくね」


 ソロを好むアリスンだけど、誰かと一緒にもいたいって気持ちが伝わる。

 それなのに、いざと言う時に力になれない歯痒さ。寄生に近い役割に思う所があるみたい。落ち込んでいるのを励ますのは難しい。

 逆に僕の頭を撫でてくれるアリスンに少しでも笑って欲しくて、あれこれ話すして笑ってくれるけど、これで元気になってくれるかな。

 樹に攻略を手伝って貰いたいけど、お昼に話した内容では小人領の攻略をギルドでするらしい。見た目ロリな小人は楽園だよね。

 リアル小学生のアリスンに会わせるのも危険だから回避出来て良かったとしよう。

 この日、僕は用事で攻略に参加出来ないから見守り隊に声を掛けよう。高レベルな彼らなら主力でも参加するらしい。布教の為と言っていたけど深くは聞かないことにしている。

 獣人領側からの攻略なので合流するのは難しいし、中心のボスを倒したらお互いの首都に向かうはず。だけど、見掛けたら声を掛けて貰うように頼んでみよう。リンゴたちならアリスンにも優しくしてくれるはず。

 リンゴたちにも恩返ししたいな。なにか考えよう。

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