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「やっぱり、ブロックゲームは楽しいよ!」
無理やりに、ブロックゲームのサイトへ引っ張ることに成功した重吾である。
重吾からメールをもらって、蜜芽の怒りに気がついた健太が、蜜芽に謝るという場面はあったものの、なんとか嵐を回避することができたのだった。
「どのゲームも楽しいけど。ブロックゲームはみんなで競えるからな。今のところ、一番楽しいかな」
ブロックゲームの前が育成ゲームだった。
これは、誰が一番良い子に育てることができるかを競うということでスタートしたプチブームだった。
その前は音ゲーだったし、シューティングにもはまった。
どれもこれも、三人が一緒に遊べるものばかりなのだ。
今のゲームのほとんどが、ゲームをしながらネットの向こうの見ず知らずの人間と会話を楽しむことができるのだから、世界が狭くなったのかも知れない。
「そういえばオレ、最近変なものを見ることが多いんだよ」
落ちてくるブロックをくるくると回しながら、巧みに空間を埋めていく重吾。
「変なものって、鏡でも見たの?」
同じようにブロックを積み重ねて連鎖を繰り返す蜜芽。
「失礼だな。オレの顔を見て変なものと例える人がこの世にいると思うか?」
「あの世にはいるのかも知れないな」
蜜芽の連鎖を食らって、四苦八苦している健太が言う。
苦労してブロックを消している割には、ちゃんと話を聞いているのだがら凄い。
「オレのいう変なのって言うのは、小さいおじさんだよ」
「あぁ、それオレの家にも出てくるよ」
「私の家にもいるわよ。今もテレビの上から私を見てるし」
どうやら、小さいおじさんはどこにでも出没するらしい。
「子供の頃って、結構いろんなものが見える人が多いよね」
健太がブロックで埋め尽くされた画面に、ため息をついて言った。
「健太の負けだね。子供の頃って言うけど、今でも見るけどなぁ」
「蜜芽はどんなの見てる?」
連鎖を繰り返して蜜芽にブロックを叩き落としながら重吾が言う。
「ちょっ! そんなに落とさないでよ! あー、だめだぁ! ……どんなって、小さいおじさんとか、小さい馬とか」
「小さいシリーズじゃなくて、他にだよ」
重吾が悔しそうな蜜芽に言葉を投げると、蜜芽が眉を寄せた。
「そうだなぁ。最近は、霊というよりは生霊を見ることもあるよ」
「あ! オレも見たことある。別に怖くもなんともなかったな」
「健太も見てるのか。オレは、生霊は見たことがないな。オーラは良く見るけど」
「オーラか。オーラって努力すれば見れるようになるらしいね」
「蜜芽は見えるのか?」
「私はオーラに興味はないから。健太は?」
「オレもオーラに興味はないな」
「残念な奴らだな」
「なにがだよ!」
思わず健太と蜜芽が同時に叫ぶ。
「オーラが見えるようになれば、生霊のオーラや霊のオーラも見えるということだ
ろう?」
「生霊や霊にオーラがあるのか?」
誰もが知りたいところだ。かなり興味深い。




