5話 俺と犯人と男の覚悟
本格的な戦闘です。
シリアス一直線だけど大丈夫かな・・・
戦闘シーンはあまり自信がありません。
けど、頑張って書きました。
ではどうぞ。
俺たちは、テレビでは絶対放送できないような死体を見ている。
もう吐きそうです・・・
書いてる作者も吐きそうでございます。
想像するって怖いね!
ん?俺は背後に何かの気配を感じて振り返った。
・・・誰もいない。
気のせいだろう。
「すっかり暗くなってしまったな。
君たちは急いで中央役所に向かいなさい」
小便のことを言い出した方の兵士がそんなことは言い出した。
君たちというのは、俺とヒロ、もうひとりの兵士のことを言ってるようだ。
「え、でも・・・クライム先輩は?」
「俺のことはいいから。処理するものがあるからな」
処理するもの?死体のことだろうか?
それとも俺のゲロとか・・・?
い、いえっ!冗談です。まだ吐いておりません。まだね・・・
食事中の方いませんよね?大丈夫ですよね・・・
まぁ食事中の方いたら「書いてる作者も~」のくだりでアウトなんですけどね・・・
「食事中だったんですけど、どうしてくれるんですか」みたいなコメントは勘弁でございます。
「いいからマック。早く行け。走れよ」
先輩兵士―――クライムさんが急かしてくる。
「分かりました・・・行こう」
後輩兵士―――マックさんが走り出したので、俺たちも慌てて走り出す。
振り返ってみると、クライムさんが覚悟をきめたような表情をしていたのが印象的だった。
「そろそろ出てきたらどうだ?」
3人の背中が見えなくなったころ、残ったクライムは口を開いた。
「気づいていたんだな」
曲がり角から、男が出てくる。
忍者のマスクのようなもので顔を隠しているので、表情が読めない。
「お前が通り魔事件の犯人か?」
「何を証拠にそんなことを?」
「ベテランの勘という奴だ」
「鋭い勘だな」
男が懐からナイフを2本取り出し、両手に構える。
クライムも腰に下げていた剣を引き抜く。
クライムの武器は一般的なロングソード。
対して男の武器はプギオと呼ばれる広刃のナイフだ。
男とクレイムの距離は約10メートル。
クライムは1歩男に近ず―――
タンッ
男は地面をけり、一瞬でクライムとの距離を殺してくる。
クレイムは慌てて身構える。
そこに、男のナイフによる斬撃がクライムを襲う。
カンッ キンッ カンッ
クライムは2本のナイフによる攻撃を剣で防ぐ。
それでも、男は攻撃をやめない。
次々と斬撃を繰り出し、クライムの体を切り裂こうとする。
まずいな・・・クライムは自分が押されていることに驚いていた。
正直、剣術には自信があった。
兵士になって40年。一日も訓練を欠かしたことはなかった。
最近は体力の衰えを感じることも多くなったが、まだまだ現役を続けるつもりだ。
LV32の戦士。
このことは自分の誇りだった。
なのに・・・なのに・・・なのに・・・!
ナイフを防ぎきれずに、クライムの体に傷が入る。
「くっそぉぉっ!!稲妻切り」
攻撃技。FATを増加させる代わりに放つ技。
クライムの剣には雷が宿り、男を切りつける。が・・・
「紙一重」
しかし、あっけなく回避技でかわされてしまう。
「風の刃」
次は、男が攻撃技を放つ。
風でできた無数の刃が男がナイフを振るうたびにクライムを襲う。
風の刃がクライムの鎧を砕き、服を切り裂き、体の傷を増やしていく。
クライムの体のいたるところから、血が流れ出す。
「音速の刃」
目にもとまらない斬撃がクライムの腹を切り裂く。
クライムの腹から血が噴き出し、意識が一瞬なくなる。
その一瞬を男は見逃さず、クライムの右肩にナイフを突き刺した。
悲鳴を上げる暇もなく、顔をけられて地面に倒れる。
右手に力が入らない。剣が握れない。
グソッ
変な音がして太ももに痛みが走る。
俺は死ぬのか・・・?右肩からは絶え間なく血が吹き出ている。
だんだん意識が薄れていく。
「とどめを刺してもいいが・・・そのままでも死ぬだろ?」
男は俺の銀の腕輪のボタンを押す。
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クライム LV32
職業 戦士
年齢 55歳
性別 男
種族 人間
状態 出血 (大量)
覚醒スキル ―――――
HP 14/286
MP 0/0
FAT 64%
ATK 161
DEF 128
CLV 64
LCK 96
装備品
右手 ロングソード
左手
腹部 ブレスト
腰部 レザーローイン
頭部
腕部
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出血状態。時間とともにHPが減っていく。
その上、行動不能になるという最悪の状態異常。
あと、長くて5分。
男が離れていく気配が伝わってくる。
俺は最後の力を振り絞り、声を出す。
「お、お前・・・な・・・名前・・・は?」
静寂が訪れる。
答えてくれないのか?
「ドン・ランだ。職業は暗殺者」
暗殺者か・・・お似合いだな。
妻よ・・・息子よ・・・すまなかった。
今、ひとりの兵士の人生が幕を閉じた。
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