3話 俺と名刀と英雄伝説
久しぶりの投稿だぜ!イェイ!
では、どうぞ。
「お、おい!大丈夫か!?」
「こっち変わってくれ!」
「だれか!助けてくれ!」
悲鳴と絶叫。
ここはメルタン市南門の最前線。
均衡が崩れてからというものの、衛兵団は次々に離脱していった。
そんな前線を支え続けたのは、俺たちギルド連合軍だ。
俺ことブレイクはギルド連合軍の一角を担う市営ギルド『ドーテム』のギルマスだ。
実は、俺はギルド連合軍の南門部隊の指揮官をヒロとかいうガキから任された。
まぁ俺たちは今、危機的状況である。
早い話、退路を断たれた揚句、包囲され、孤立無援状態に陥っていた。
おっと!先に言っておくが、俺は悪くねぇぞ。
俺に指揮官を任せたヒロが悪いんだ。
というか、どうしてこんなことになった?
前衛の衛兵隊も優秀なやつが揃っていたはずだ。
あんなに急に突破口を開かれるはずはないし。
とは言え、だいたい想像はついている。
報告に挙がったひとりの男の名前。大陸最狂の殺人鬼ガノンボ。
「おそらくアイツだな、コラ!」
「殺るか?オイ!」
「行くか相棒?コラ!」
「一旗挙げてやろうじゃん、オイ!」
隣に立っている、相棒の美女イルと会話を交わす。
正直、ガノンボという存在にビビっていた俺にいつもと同じノリで
話しかけて来てくれるのはありがたい。
おかげで緊張も少しほぐれてきたし。
なによりこの女にイイトコを見せてやろうと、思えてくる。
俺たちは高台からガノンボの姿を見つけると、駆け下りた。
「ひぃぃぃぃ!鬼だ!」
「勝てるはずがねぇ!」
「助けてくれ!」
「どうか!どうか命だけは!!」
「ケケケ・・・いやぁ醜いねぇ」
ガノンボは4人の戦士職の男と対峙していた。
装備を見る限り、4人ともそんなにレベルが低くないのだろうが・・・
一方ガノンボは肩に大鎌を担ぎ、余裕そうに笑っていた。
というか、よく見ると4人とも俺のギルドのメンバーじゃねぇか?
「ケケケ・・・少しは楽しませてくれよ?」
ガノンボがそう言いながら、大鎌を振り上げたとき
俺とイルがガノンボと4人の間に滑り込んだ。
「弱いものイジメはあまり好きじゃねぇぜ!コラ!」
俺は最大限にカッコつけて言ってやった。
こんな恥ずかしいセリフが言えるのも、戦い中の高揚感からだろう。
こういうイイトコ見せておけば、ギルマスの俺への信頼も厚く―――
「「「「ありがとうございます!姐さんっ!!」」」」
「ちょっと待てやぁー!!コラァァァ!!!」
バカどもを一喝し、俺はガノンボに向き直った。
「お前が相手になるのか?モヒカン君?ケケケ」
俺は無視して、静かに刀を鞘から滑らせるように抜いた。
その瞬間、ガノンボの目が少し動揺したように動いた。
「その刀・・・まさか『名刀ヤマト』じゃ・・・?」
「ああ。そうだぜ!コラ!
いやぁビックリだな・・・!刀身を見ただけでわかったのか?」
「そんな業物この世に二つとないからな」
「そりゃどうも」
素直に褒められて、少し嬉しいのは内緒だ。
「だが、どうしてその刀をお前が?」
「俺の名はブレイク・ボア=エイクスワール。これでいいか?コラ?」
「なに!!ボア=エイクスワール家の末裔だというのか?」
「そういうことになるな。コラ」
ガノンボは明らかに取り乱した様子だった。
そりゃそうだろうな。ボア=エイクスワールというのは初代勇者の名前だ。
数百年前、悪魔神があらわれこの世界を支配しようとした。
そんな時、悪魔神を討伐するべく立ち上がったひとりの青年。
それがミクシアン・ボア=エイクスワース。職業は勇者。
ミクシアンは聖剣と呼ばれる正義の光輝く剣を手にし、悪魔神を封印した。
ミクシアンは大陸を救った英雄として崇められた。
その後、ミクシアンは強大すぎる聖剣の力が悪用されることを恐れて
聖剣を溶かし、それを材料にいくつかの刀を錬成した。
そのどの刀も「聖剣の息子」と呼ばれ、凄まじい力を持っていた。
その内の一つがこの『名刀ヤマト』である。
「ケケケ・・・久しぶりに面白い相手がきたじゃねぇか」
「イル」
「・・・?」
「お前は手を出すな。俺がやるぜコラ!」
「は?なんでだよオイ!」
「そんなもん決まってるだろうが」
「・・・ぇ?」
「今度こそ、守って見せる」




