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6話  祭りと勇者と修羅場

祭り~リューヤ編~でございます。


でも、新学期が始まったら書く時間が少なくなっちゃいます・・・

どうしましょう・・・せめて週1で投稿できるように頑張りたいです!


ではどうぞ。

「早く・・・行こう」


「お、おぅ」


祭り当日の夕方。

クエストから帰ってきて俺が宿屋で休んでいると、本当にミーホさんがやってきた。


俺はいつも通りの鎧姿。一応剣を腰に差している。


ミーホはいつもの巫女さんの格好ではない。

ライトグリーンに白い水玉の浴衣姿だ。

こういう和服を見るの随分久しぶりに感じる。


いつもなら鼻血が出てもおかしくない格好なんだが・・・

俺の頭は別のことが駆け巡っていた。


「あの・・・ミーホさん」


「・・・なに?」


「中央役所に寄らなきゃいけないんだけど」


「なぜ?」


「タミアを迎えいかないといけないから」


「・・・どういうこと?」


「えっと・・・タミアと先に約束していたというか・・・」


「そう。なら行きましょう」


そう言うと、ミーホさんは歩き出した。

いつも温和なミーホさんが少し怒って見えた。


「ミーホさん?怒ってます?」


「別に」


いつもより口調が強い。これは怒れせちゃったんだろう。

でもどうして?何かしたかな・・・?

タミアの名前を出したとたん怒ったんだよな・・・

もしかして!タミアと仲が悪いんだろうか?


「もしかして、タミアと仲が悪いの?」


「いいえ。時々話すわよ」


あれ?予想が外れた・・・


「女心って難しいな・・・」


「ハァ・・・あなたに女心を語られたくないわ」


なんかますます怒らせちゃた。






ウイーン


俺とミーホさんは祭りで賑わう大通りを抜けて、中央役所までやってきた。

すると既に、タミアが着替えて待っていた。

白一色のワンピース。そして頭には黄色いヘアバンド。

正直言って、恐ろしいくらい似合ってる。


「リューくん!こんばんは―――ってあれ?ミーホさん。どうしたんですか?」


「これから、リューヤとデートよ」


「はっ!殺気!?」


俺はどこからか殺気を感じ取った。勇者の第六感ブレーブ・センスというやつだ。

くそっ!誰かに監視されている気がしてならない。

俺は周りを見渡したが、中央役所の職員以外みつけられない。


「あら?私がリューくんとデートする予定だけど?」


あれ?二人の雲行きが怪しいぞ・・・


「じゃあ、リューヤに決めてもらいましょう」


「わかった」


「え?どーゆーこと?」


「「どっちと一緒に祭りに行きたいかって聞いてるの!!」」


「え?そんなの決まってるじゃん」


そんなこと、聞かれるまでもない。


「「どっち?」」


「3人で行けばいいじゃん」


なんでどちらかを選ばないといけないんだ?

みんなで行ったほうが楽しいじゃん!


「リューくんにちょっとだけ期待した私がバカだった・・・」


「・・・無駄だった」


「・・・?」


なんか悪口を言われている気がするのは、気のせいだろうか?


「あ!お兄ちゃんを見つけたですぅ」


俺が困惑していたところに、メグちゃんが走ってきた。

そしてそのままの勢いで俺に抱きつく。


「おーよしよし」


俺はメグちゃんの頭を撫でてやる。

するとメグちゃんは気持ちよさそうに声を漏らした。


俺は殺気を感じてふと目線を上にやった。


するとなにかどす黒い雰囲気を放っているタミアとミーホさんがいた。


「「早く行くわよ!!!」」


「え、え?ちょ!?」


俺は2人に両手をひかれて、引きずられるように中央役所を後にした。






「なんか・・・疲れたなぁ」


俺は賑やかな大通りから一歩外れた広場のベンチに腰をおろしていた。

1時間ほど3人にひっぱりまわされながら、祭りを見て回った。

しかし、さすがに疲れた俺は逃げてきたところだ。


「あーいたいた」


俺が休んでいると、タミアがやってきた。

小走りで俺に近ずくと、俺の横に座った。

少し手を伸ばせば触れてしまう距離だった。


「食べますか?」


そう言ってタミアは『ミニハニーのハチミツ団子』を差し出した。

ミニハニーのハチミツは下級モンスターのドロップアイテムなので

魔物素材の割には安価なものである。

さっき買ってたの見てたから知っているというわけである。


「うん。ありがとう」


そう言いながら取ろうとすると、タミアは手を引っ込めた。


「ん?どうしたの?」


すると、タミアは少しためらうように首を振ると、勇気を出して口を開いた。


「あ、あーん」


「およよ!?」


俺は理解不能な言葉を発しながら口に近づいてくる団子を、口を開いて待った。

団子が口に入ると、すっきりとした甘味が口いっぱいに広がった。

すごく美味しいが、そんなことはどうでもよかった。

戸惑いながらも俺はひたすら、幸せを感じていた。


俺はタミアを見た。すると澄んだ黄色い瞳に写る俺がいた。

見つめ合って、二人で赤くなる。

何も話さなくても、何もしなくても、ただ見つめ合うだけで幸せだった。


「あ!タミアお姉ちゃんだけずるいですぅ」


「・・・抜けがけ厳禁」


俺が幸せの味を噛み締めていると、メグちゃんが走ってきた。


あれ?ちょ、ちょっと!?


「はい!お兄ちゃん!あーんですぅ」


「リューヤ・・・あーん」


「二人とも何してるんですかー!リューくん!あーん」


ちょっと待ってー!

俺の口に団子とレモンと骨付き肉をもった手が伸びてくる。


「みんな!どうしたの!?少し落ち着こうよっ!?」


俺が一番取り乱して説得する。


「お兄ちゃん!」


「・・・リューヤ」


「リューくん!」


「ちょー!!」


三つが同時に口に押し込まれる。

団子の甘さとレモンの酸味と肉の香辛料の辛さ口中に広がった。


やばい・・・これは死ねる・・・


俺はその時すべてを理解した。

そうか。これはハーレムなどではなく罰ゲームなのだと。

なるほど。これですべて合点がいく。

タミアやミーホさんが俺を誘った時点から計画が始まっていたのだろう。


俺はなんとかそれを飲み込んだ。誰か・・・俺を助けて。


「「「「「もう我慢ならねえ!!!」」」」」


その時公園中に声が響く。神の救いじゃないよな・・・悪魔の大合唱だ。

知り合いが公園の至るところから姿を現す。


「A班は公園中に散らばれ!B班は出入りの封鎖!C・D班で包囲しろ!」


「「「「「了解!」」」」」


ヴァルハラのギルドマスターのアーローさんの指示が飛ぶ。

ヴァルハラのメンバーめ!こんな時だけ無駄な連携をしやがって・・・


「死ねや勇者!!」

「朽ち果てやがれ!!」

「タミアちゃーん!結婚しましょーーー!!」

「爆発しろ!!」

「生ゴミ野郎が!!」

「ミーホちゃんは俺の嫁!!」


俺は束になって襲いかかってくるヴァルハラメンバーを交わしていく。


高速舞踊ハイスピード・ダンス!」


俺は何度も高速移動をして、間をすり抜けていく。

包囲を突破したのだが、つぎは散開していたA班に囲まれる。


ってこいつら、剣やら槍やら使ってくるんですけどっっっ!!!


俺はなんども高速舞踊ハイスピード・ダンスを繰り返し逃げ回る。


「シンデクレナイカナー」


「よう相棒!って魔法打つなバカーーー!!!」


火の玉やら氷の粒やらが飛んでくる。

俺がヒロの魔法にひるんでいるうちに何かが懐に飛び込んでくる。


それがアーローさんだと気づくのと、俺の鳩尾に拳がめり込むのが同時だった。




次回  祭り~ヒロ編~

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