14話 俺と援軍と超覚醒
リューヤのピンチに、あの人が駆けつけます!
あの人ですよ?あの人!
では、どうぞ。
「よ、よしっ!」
超覚醒発動!
これで俺のステータスは2倍に跳ね上がる。
これで、俺の能力はLV12と同じくらい。
なおも、ギガノフロッグの口は膨らみ続ける。
もう最初の2倍くらいの大きさにまで膨らんでいる。
でも、どうする?
「ははははっ!!おもしろい!」
その時ダークプリンスの笑い声が響いた。
「覚醒の発動は感情の高ぶりと純粋な力を求める欲求が大きく関係している!
それが、こんなときに発動するなんて!お前気に入ったぞ!」
なんかよくわからんが、興奮しているようだ。
「そんなことよりこの状況を何とかしろ!」
「フッ・・・いいだろう。守護戦士の真の力を思い知るがいい!」
そう言うと、ダークプリンスは技を唱え始める。
本当に何とかできるのか!?
「魔物の唄!!」
不思議な音色が流れる。
うっとりするような、刺激のあるような音色。
なんだ・・・これは?
「これは魔物の攻撃を自身に集中させることができる技ですぅ」
そんなことが出来るのか!
さすがパーティーを守る守護戦士!
「よしっ!俺たちは攻撃をつづけるぞ!」
「分かったですぅ!」
俺たちは地面を蹴りギガノフロッグに近づいていく。
頭上で大きな音がする。どうやら、痺れ液を吐いたようだ。
「完全防御!!」
ダークプリンスがダメージを0にする。
しかし状態異常も無効にできるわけじゃない。
痺れ状態。一定時間全ての行動ができなくなる。
「すまない・・・!」
俺は身代わりになってくれたダークプリンスに謝りながら切りつける。
その度に、体液が噴き出すものの致命傷は与えられない。
「グゴゴゴォォッッ!!」
ギガノフロッグは再び口を膨らませる。
俺はちらっと後ろを見る。
マズイ!ダークプリンスはまだ動けない。
つまりさっきの技は使えない。
早く倒さないと・・・!
そんな俺の思いとは裏腹にギガノフロッグの口は大きく膨らみ続ける。
そして、膨らむのがとまった。
俺は死を覚悟した。こんな終わり方って・・・
まだ人生、楽しみ終わってないのにな・・・
ギガノフロッグは体を大きくのけぞらせ吐こうとする。
終わったな・・・
俺は目を閉じた。
「岩石直球!」
その時、左のほうの木の陰から声が聞こえ、岩石が飛んできた。
その岩石はギガノフロッグの腹に命中し、ギガノフロッグを押し倒す。
その衝撃で俺たちとは真逆の方向に痺れ液を飛ばしてしまう。
誰もいない方向に。
助かったのか・・・?でも、誰がさっきの魔法を?
そう思って木の陰を見た。
「そこにいるのは誰だ!?」
俺は力の限り叫ぶ。
するとそこから、見覚えのある二人が出てきた。
「一閃斬!」
俺様が技を放つと、剣が光の残像を見せながらプチボアーを切り裂く。
その残像が当たったところから、白いエフェクトが出る。
クリティカルヒットだ。
顔面を真っ二つに切り裂かれたイノシシは血をまきちらしながら動かなくなった。
そして、プチボアーの消えた後には肉の塊が残った。
「プチボアーの肉がドロップしたぜ、コラ!」
「これで2つ目だな、オイ」
ドーテムのギルドマスターのブレイクとその相棒のイル。
二人は、市長に文句を言った後いつも通りクエストの為に町を出た。
俺はLV29の侍。イルはLV25の土属性魔法使い。
侍は能力こそ他の戦士系職業に比べて高くないが
クリティカルヒットの確率に大きなボーナスがある職業だ。
さっきの一閃斬って技はダメージは少ないが
クリティカルヒットの発動確率が20パーセントの技だ。
今日のクエストはトキアの森でのプチボアー討伐。
「よし。あと5体だな、コラ」
「さっさとかたずけるぞ、オイ」
二人が意気込んだそのとき・・・
「グゴゴゴォォッッ!!」
なにかの奇声が聞こえる。
「ん?なんだこの声は・・・コラ」
「近いな?エリアボスか・・・オイ」
二人は駆け出す。
エリアボス狩ってやろうじゃねぇか!
魔物を倒したゴールドはギルドに全額納金しなければならない。
だが、エリアボスは別。ボーナスとして報酬に一部が加算される。
よし、近いな・・・
30秒ほど走っていると、大きな影が見えてくる。
黄色とオレンジのまだら模様の巨大カエル。ギガノフロッグだ。
それはいいが、だれか戦ってるぞ?
誰だあれは・・・ん?もしかして!
「あ、あれ・・・朝会ったガキどもじゃないか?コラ」
「やっぱりそうか?オイ」
朝会った、なかなか気に入ったガキども。
名前は聞き忘れたが、間違いない!
よし。これはさらに好都合だ!
「「朝の借りは返させてもらおうっ!」」
イルは魔法を唱えるべく、長い木製の杖をギガノフロッグに向ける。
ギガノフロッグは大きく口を膨らませ攻撃態勢をとっている。
「今だぁ!やれ!コラ!!」
「岩石直球!」
イルの杖から、頭の2倍くらいある大きな岩石が放たれる。
それは見事に命中し、ギガノフロッグを横倒しにする。
「そこにいるのは誰だ!?」
ガキの声が聞こえる。
俺とイルは木の陰から姿を現した。
ブレイクとイルが来るってわかった人いるのかな・・・




