2話 俺と魔法とフリーター
ステータスの見方大公開です!
ではどうぞっ!
「これで俺が高校生って信じたか?」
と、ヒロさんが聞いてくる。俺はそれに対してうなずいた。
信じるしかないでしょ・・・信じたくないけど。
まぁそんなことはいいとして聞きたいことがある。
「あの・・・ヒロさんはこのゲームのやめる方法を知ってますか?」
「ヒロでいいよ。同級生なんだし。
ゲームのやめ方は俺も知らない。知る必要がないけど」
「知る必要がない?」
「ああ。俺はこの世界に永住するつもりさ」
つまり地球には戻らないということだろう。
なにかいやなことでもあってこの世界に来たのだろう。
思わず会話が途切れる。
まずい・・・怒らせちゃったかな?
そう思っていると、ヒロが少し興奮気味に話し出した。
「そんなことよりこれを見てよ!」
そう言って手のひらを誰もいない方向に向ける。
ヒロの職業はノーマルマジシャン。つまり魔法使いだ。
もしかして魔法が使えるのか!
「小火球」
ヒロが唱えると、手のひらに小さな火の球ができて、飛んでいった。
「おぉ・・・実際に見るとすごいな」
俺が正直な正直な感想を述べると、ヒロは調子に乗って
「そ、そう・・・?そんなにすごい・・・?じゃあもう1つ見せてやる」
と、言い出した。
な・・・2つも魔法を習得しているのか。
フリーターの俺と扱いが違いすぎるだろっ!
さあ。次はどんな魔法を―――
ボコッ
いきなり殴られた。
「なにすんだっ!」
頬をつねっただけで1ダメージ受けるのに殴られたりしたら―――
「僅かな光」
またヒロが魔法を唱える。すると俺の体を光が包み込んだ。
今にも消えそうな弱い光だが、しっかりと殴られた痛みを取ってくれた。
なるほど回復魔法ですか。
でも、だからってわざわざ殴る必要ないだろっ!
「回復魔法って不思議だな」
さっきまで痛かったのに今は全く痛くない。
急に痛みが消えるって・・・ねぇ・・・
一応ほんとに回復したのか確認してみる。
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リューヤ LV4
職業 無職
年齢 17歳
性別 男
種族 人間
状態 普通
覚醒スキル 逆境超覚醒
HP 58/58
MP 5/5
FAT 2%
ATK 21
DEF 17
CLV 9
LCK 13
装備品
右手
左手
腹部 布の服
腰部 布のズボン
頭部
腕部
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ほんとに回復してる。
でもFATってのが2%になってる。
FATってなんなんだろ?
「ヒロはステータスの見方知ってる?」
「なんだ?説明書を見なかったのか?リュックサックに入ってただろ?」
説明書?なんだそれ?
俺は再びリュックサックを調べる。
でも説明書らしきものは入ってない。
「お前は入ってないのか?ナレーションみたいな人が支給するって言ってたけど・・・」
俺だけ支給ミスですかっ!
やっぱり俺の扱い悪すぎだろっ!
「ほれ。見てみろよ」
そう言ってヒロは自分のリュックサックから本を取り出した。
《ドラゴンバスター 説明書 ステータスについて》
としっかり印刷してある。
まぁ文句を言っても仕方がないのでお礼を言って説明書を受け取る。
そこにはステータスに関する情報が詳しく書いてあった。
○職業・・・この世界での職業の名前。
地球の職業とは少し違い、才能的なもの。
転職には多大な時間と労力を伴う。
ただしフリーターは簡単に転職をすることができる。
○種族・・・この世界での種族を表す。
人間・エルフ・ドワーフ・ゴブリン・巨人の5つの種族がある。
種族によって能力が異なる。
○状態・・・現在の状態を表す。
通常は『普通』になっている。
毒・眠り・麻痺・過労・気絶などがある。
○覚醒スキル・・・プレイヤーのみが持っている特殊スキル。
覚醒状態になればHP・FAT以外のステータスが上昇する。
超覚醒は非常に珍しく、上昇値も非常に高い。
上昇値は人によってランダム。
○HP・・・体力。0になると死ぬ。
時間とともに回復する。
○MP・・・魔力。0になると魔法が使えなくなる。
時間とともに回復する。
○FAT・・・疲労度。100%になると過労状態となり動けなくなる。
疲労度が高いほどHP・MPの回復が遅くなる。
時間とともにたまっていき、走ったり戦ったりするとたまりやすくなる。
また、技を発動すると一定量たまる。
食事・睡眠・休憩などで回復する。
○ATK・・・攻撃力。( )の中は武器による補正。
○DEF・・・防御力。( )の中は防具による補正。
○CLV・・・賢さ。魔法の性能が変化する。
学力とは違う。
○LCK・・・運の良さ。クリティカルの確率に関わる。
まだいろいろと書いてあったが、ひとまず説明書を閉じる。
ひとつ言えることは希望が出てきたということだ。
フリーターはどんな職業にも簡単に転職できる。
つまり、俺は好きな職業を選ぶことができるということだ。
フリーターって本当に大当たりなのかも・・・
それと俺の『逆境超覚醒』とかいう覚醒スキル。
非常に珍しい超覚醒じゃないですか!
「なにニヤニヤしてんだ?気持ち悪いぞ・・・」
ヒロはそう言っていたが、ニヤニヤがとまらなかった。
モルゲン・レーテってドイツ語なんですよ。
どーでもいいけど・・・
次回は戦闘するかも・・・