7話 俺と幼女とおかっぱヘアー
ついに、覚醒部隊のメンバーが登場します!
ユニークな人ばっかりですよ!
では、どうぞ。
長く薄暗い廊下を歩いていく。
コンクリートの空間。
天井にはいくつもガラスの球体がぶら下げられて、光を放っていた。
その光は中央役所にあった光る同像より、幾分も弱々しいものだったが
狭い廊下では十分な光源となっていた。
そして、一つのドアの前にたどりついた。
木製の四角いドア。
キノシタ隊長がドアを開ける。
お、おい。ちょっと待てよ!
まさかドアを開けたらまたあんな光景が広がっているんじゃ―――
壁、床、天井がコンクリートの部屋。
窓がドアの反対側にひとつついている。
中央にドーナツ型のテーブルが置かれており、その周りに椅子が並べられている。
ドーナツの穴には光を放つ銅像が置かれていた。
そしてその椅子には小学生くらいの小さな女の子と、
俺たちとあまり変わらないくらいの男、おそらく20代の女性、
そして・・・西洋風の甲冑が1体座っている。
えっと、最後のは見てないことに・・・できないよなぁ・・・
「この二人が昨日説明した新人だ」
キノシタ隊長が紹介してくれた。
「お、俺はリューヤです!よろしくお願いしますっ!」
「俺はヒロです!」
二人でステータスを開く。
すると、高校生くらいの男が椅子を立って、こちらに近づいてきた。
「ふーん。勇者か・・・俺はステファだ。これからよろしくりすます」
いきなりダジャレをぶち込んできやがった・・・
「あ、あれ?なんかしらけちゃったなぁ」
え・・・あれで爆笑が起きるかと思ってたの!?
小学生にも通用しないよっ!
ステファは口を開けて、びっくりしていた。
深い緑色のおかっぱヘアー。
どちらかというとイケメンの部類に入るのだろうが、そのおかっぱヘアーが邪魔しているのかもしれない。
身長は低めで、小柄な体型。顔も小さく、女の子に見えないこともない。
高い鼻と、白い肌。
格好は、ジーパンに白いTシャツ。白い籠手を装備している。
胸には純愛と漢字で書いているが、意味は分かっているのだろうか?
異世界の格好というよりは、普通の私服という感じだ。
「まぁ・・・ステータスを見てようかん」
スルーだスルー。
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ステファ LV11
職業 僧侶
年齢 16歳
性別 男
種族 人間
状態 普通
覚醒スキル 逆境覚醒
HP 74/74
MP 67/67
FAT 37%
ATK 34
DEF 34
CLV 45
LCK 34
装備品
右手 銅の杖
左手
腹部 Tシャツ
腰部 ジーパン
頭部
腕部 白色籠手
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プリーストか・・・回復専門の魔法使いだっけ?
ま、分かっていたことだが地球人だ。やはり、高校生だろうな。
それと気になったのはレベルだ。キノシタ隊長が19だからそのくらいだと思ったのだが。
「もしかして・・・だけど。アメリカ人ですか?」
ヒロが尋ねる。そうだ、鼻が高かったし、色が白いからもしかしてと思ってのだが。
「ああ。アメリカ人だぞ」
ステファが答える。
じゃあ、さっきのダジャレが噂のアメリカンジョークというやつか?
・・・違うと願いたい。
「じゅあ、なんで言葉が・・・?」
ヒロが口を開く。もっともな疑問だ。
「それは気にしない方がいいですぅ!」
それに答えたのは、小さな女の子。
椅子から立って、こちらに近ずいてきた。
ピンクの髪をツインテールにしていることが、幼さを助長している。
茶色のドングリ眼がとても印象的な女の子だ。
「大きくなったら美人になるんだろうな」と思わせる顔つきだが
こんな小さな女の子に恋心を抱く趣味は持ち合わせていない。
格好は、赤と黄色のチェック柄の短パンを吊バンドを付けてはいている。
上は黒いTシャツ。
特徴的なのは黒くごつごつした太い籠手。小さな体にとても不釣り合いに見える。
そして、もっと不釣り合いなものが背中に・・・
それは身長をはるかに超える、大きな大剣だった。
「私の名前はメグって言いますぅ。よろしくですぅ!」
なんか特徴的なしゃべりかただな・・・
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メグ LV15
職業 大剣士
年齢 9歳
性別 女
種族 人間
状態 普通
覚醒スキル 逆境覚醒
HP 102/105
MP 31/31
FAT 48%
ATK 91
DEF 31
CLV 16
LCK 31
装備品
右手 ツーハンデットソード
左手
腹部 Tシャツ
腰部 短パン
頭部
腕部 岩竜の籠手
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おお・・・すごい攻撃力だな!
武器を含めればキノシタ隊長に匹敵するほどだ。
でも、その大剣はどうにかしないか?
その小さな体で俺の身長くらいの大剣なんか振れるのだろうか?
っていうか、9歳で異世界トリップって・・・世も末だな。
「お兄ちゃん、勇者ってすごいですぅ!」
「お、お・・・お、お兄ちゃん!?」
急にお兄ちゃんなんて呼ばれてびっくりした。
俺には兄しかいないので、初めて呼ばれたかも・・・
「お兄ちゃんって呼んじゃダメですかぁ?」
メグちゃんが上目ずかいでこちらを見ている。
というか、身長差的に自然とそうなるだけだろうが・・・
「い、いいよ」
勢いに押されて、肯定してしまった。
「やーい、ロリコン!ロリコン!」
「ヒロ、黙れぇっっ!!違うわっ!」
「お兄ちゃん?ロリコンって何ですかぁ?」
「え、えっと・・・世の中には知らなくていいことがたくさんあるんだよ」
「?」
俺は、この世界に来て久振りに常識人にあった気がしていた。
変態とか、天然とか、超老け顔とか・・・
こういう常識人を見ていると、とっても落ち着くのはなぜだろう?
そんなことに少し感動していると、市長さんとメグちゃんの会話が聞こえてきた。
「ずっと思ってたんだけど、どうしてそんなに大きな大剣を使ってるの?」
「それはですね、この大きな剣で魔物を叩き潰すのが楽しいんですぅ
飛び散る肉片!噴き出す赤い血!はみ出す内臓!たまらないですぅ!」
メグちゃんが目を輝かせながら語っている。
俺の中で常識というものが音を立てて崩れ落ちていった。
4人ともこの話で紹介したかったんですが・・・
なかなか、予定通りにはいかないものです。




