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5話  俺と雨漏りと謎のヤクザ

ちょっとストーリーが動き出すかな・・・?

コメディーは少なめかもです。


では、どうぞ。

ピチャン


俺の額に水滴が落ちてくる。


ピチャン


再び水滴が落ちてきて、次は頬に当たる。


「雨漏りかよっ!」


俺は目が覚めた。

目を見開き、体を起す。

窓から外を見るとパラパラとだが降っていた。

いつもは屋台の準備をする人とかで賑やかなのだが、今日はほとんど見当たらなかった。

がらんとした大通りが見える。


この廃墟同然な宿屋は雨漏りのせいもあって、すごくジメジメしている。

真夏の雨。これほど蒸し暑くなることはないというような組み合わせだ。


「雨漏りかよっ!」


ヒロ起床。俺と同じようにいきなり起き上がった。

雨漏りする宿屋ってどうよ・・・

っていうか首が痛い。なぜかというと、リュックサックを枕にしていたからだ。

狭すぎて、そうでもしないと寝られないのだ。


「朝ごはん食べに行こうぜ」


「あ、ああ」


ヒロが首をさすりながら提案してくる。


俺は外していた鎧と籠手を装備しなおす。

ヒロもローブを装備しなおしていた。


最後に腰にベルトを巻いて、そこに剣を差す。

銅の剣。昨日武器屋で買ったものだ。

大量生産されている安価なもので、切れ味が悪くリーチが短い。

決していい武器ではないし、勇者が装備するものではない。

しかし、仕方ないのだ。何といっても借金の身なのだから。

黒い鞘も大量生産されている超安価なものである。


「よし。行くか」


俺たちは荷物をまとめて部屋を出た。

鍵をしっかりと閉めてミシミシと音を立てる廊下を進み、ロビーに向かう。


現在時刻午前8時。丁度いいくらいかな?


「お!おはよう!元気か!」


今日も元気な宿屋が威勢のいい挨拶をする。

見て分からないのか?

雨漏りののせいで元気がそぎ落とされたわっ!


無駄に元気な宿主に鍵を返して、宿屋を出た。








ウィィィン


朝ごはんという名のおにぎりを食べた俺たちは、中央役所についた。

屋台の数は少なかったが、おにぎりの屋台は出ていた。

いつもの自動ドアを通り、俺たちは中央役所の中に入る。

鎧についた水滴を払う。ローブは・・・かわいそうだな。

買った次の日に、ビチョビチョじゃん。


ロビーの中を見まわす。

窓から光が差し込んでいるものの、雨が降っているので薄暗い部屋。

傭兵や職員の人が働くロビー。

雨が降っていることもあるのか、いつもより人が多かった。

そんな中、俺はカウンターで傭兵の相手をしている女性を見つけた。

茶色い髪の黄色い瞳のおっとりとした目もとの女性。

すこし垂れ眼気味で小さな口元。


「・・・あ」


その女性の頭には黄色いヘアバンドが付けられていた。

よかった・・・


「お、早いじゃないか」


その声に振りかえった。

そこには筋肉ムキムキの偉丈夫。

背中には手斧、頭は五厘刈り。

そして、赤いドレス・・・


「「はぁ・・・」」


「人の顔見て、いきなりため息はヒドくないかっ!?」


ため息だけで済ませることが出来るのをほめてほしい。

常人なら倒れてもおかしくないだろう。


このハゲドレスが昨日と違うところは腕や腹のいたるところに包帯がまいてあることだ。

きっと昨日のドン・ランとの戦いの傷跡だろう。


ハゲドレスことキノシタ隊長は、俺たちが所属する予定の部隊の隊長を勤めている。

戦闘能力も高く頼れる隊長ではあるのだが、その女装趣味だけはどうにかしてもらいたい。

今日、俺たちは部隊所属の日だ。今から市営ギルド『ヴァルハラ』に行って

部隊登録と挨拶をしなくてはならない。


「さぁ市長のところにいこうか?」


キノシタ隊長が提案してくる。

本当はタミアさんと話がしたいけど・・・まぁいいか。

忙しいみたいだし。









コンコン


「入っていいぞ」


キノシタ隊長がドアノブを回して市長室のドアを開ける。

今日はちゃんと市長は立派な机に座っており、その机の前には男と女が立っていた。


その男と女はこちらを振り返り、睨んできた。

なんというか・・・ヤンキー漫画に出てきそうな感じだ。


「ああ?何見てんだよ、コラ」


おお、怖い怖い。

そう言ってきたのは左側に立っている男で、青毛のモヒカン頭だ。

ツンツンのモヒカンは、ワックスを使わないとできなさそうだ。

やせ型の高身長だが、筋肉はしっかりついている。

太い眉の眉間に大きなしわを寄せてこちらを睨んでいる。


格好は日本式の青灰色の甲冑だ。そして腰には日本刀。

兜は装備しておらず、籠手も装備していないため力強い腕が見えている。


「なめてんじゃねえぞ、オイ」


いや・・・なめてないんですけど。

次に口を開いたのは右に立っている黒い長髪の女だ。

長い髪は腰のあたりまである。

せっかくの美人顔をゆがめてこちらを睨んでいる。


格好は赤いビキニに上から鉄の胸当てをしている。

籠手などは装備しておらず、長い木製の杖を肩に担いでいることから魔法使いであると思われる。


「いえ、別にあなたたちに用は・・・」


キノシタ隊長が大人の対応をする。

がんばれ!36歳のオヤジ!


「なんだよハゲ野郎、コラ!」


「なんでドレス着てんだ、オイ!」


一斉に罵声を浴びせられ、小さくなる隊長。

そこで俺とヒロが口をはさむ。


「さっきから何なんですか?」


「言いがかりもいいとこですよ」


俺たちからの正論を聞いて、いよいよ不機嫌そうな顔になって男と女は怒鳴った。

男は剣の柄を握り、女は杖を構える。


「ああ?ケンカ売ってんのか、コラ」


「アタシらとやろうってのか、オイ」


「まぁまぁ落ち着いて」


そこで市長が仲裁に入る。


「仕方ねぇな、コラ」


「止めてやろうじゃねえか、オイ」


男は剣の柄から手を離して市長に向き直る。


「という事で、俺らのギルドに報酬の良いクエストを回せよ、コラ」


「さもないと分かってんだろうな、オイ」


「はいはい。検討しておきますよ」


その言葉を聞くと、男と女はこちらを向いて歩いてくる。

俺たちは無言で扉の道を開ける為、少し横に避ける。

その俺たちの間を男と女は通り過ぎていこうとする。

そして、部屋から1歩出て立ち止まり、こちらを振り返る。


「お前たちなかなか肝が据わってんじゃねえか、コラ」


男が俺を見ながら言い放つ。


「お前たち気に入ったぜ、オイ」


女がヒロを見ながら言い放つ。

そして、2人はお決まりの悪役ゼリフを吐いた。


「「次会った時は決着を付けてやるよっ!!」」




初!レビューを書いていただきました!

この場を借りて、御礼申し上げます。


本当にありがとうございましたっ!


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