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3話  俺とデートと動き出す帝国

少し風邪気味でだるいです・・・

関係ないですね。はい。


では、どうぞ。

「すごく・・・カッコいいです・・・」


タミアさんが何度もつぶやいている。


「そうだよね!この赤い籠手、カッコいいよね」


「・・・え?こ、籠手ですか・・・」


「違うの?」


「え、え・・・い、いや・・・そうです」


やっぱりタミアさんなら分かってくれるか。

でも、タミアさんがガッカリした様子でため息ついているのはなぜだろう?


「はぁ・・・そうじゃないのに」


「え?何か言った?」


「もういいです!」


今度は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。

どうしたんだろう?


「あーあ。鈍いって罪だよな」


入口の方からヒロが訳の分からんことを言いながらやってきた。

ヒロは布の服の上から、白いローブを羽織っていた。

真っ白で、ボタンだけ黒いローブ。


「魔法使いっぽく見えるじゃん」


俺は正直な感想を述べた。


「だろ?しかも回復魔法の効果1.2倍の特殊効果付きらしいぜ」


この世界の防具には特殊効果が付いているものがある。

最初はゲームなんだから当たり前と思っていた。

だが、ここはゲームの世界じゃないらしい。

新しく作られた世界だとドン・ランは言っていた。


では、なぜ魔物が存在し魔法があり。

魔物は倒されると消えて、お金やアイテムになる。


明らかにゲームの世界のような現象だ。

だが、ここはゲームの世界じゃない。となるといくつも矛盾点がでてくる。


どういう事なんだ?

考えると頭が痛くなるような内容だ。


「お・・・なかなか様になってるじゃないか」


俺はボストンさんの言葉で思考を中断した。


「これ買います!」

「俺も!」


「はい。毎度あり。合計500ゴールドだよ」


俺は、ポケットからタミアさんに貸してもらっている銀貨5枚を差し出した。


「はい。確かに。・・・じゃあこれをプレゼントしようかね」


そう言ってこげ茶のベルトをふたつ取り出した。

そして、それを俺とヒロに手渡してくれた。


「え?いいんですか?」


「ああ。もらっておくれ」


「「ありがとうございます!」」


俺はそのベルトを腰に巻き、そこに護身用ナイフを差した。

・・・このナイフ後で返さなきゃいけないな。


じゃあそろそろ、銭湯に行こうかな。


「タミアさん行こう?」


「はい。行きましょう」


良かった・・・機嫌が戻ったみたいで。








「着きましたよ」


さらに細い道を進んでいき、銭湯に到着した。


「タミアさんはどうするんですか?」


俺が尋ねると


「私も入りますよ」


「混浴ですか!?」


「べ、別浴ですよ」


「ちっ!なんだ」


ヒロ・・・タミアさんがどん引きだぞ・・・

それと、王道ファンタジーを自称する小説でそれはないだろう・・・








脱衣所で鎧を外して、風呂場に入った。

石のタイルが敷き詰められた床。

木製の壁で天井は筒抜け。青空が見える。

露天風呂に近いだろうか?


俺はとりあえず体と髪を洗い、湯船につかった。

人気のある銭湯のようで、結構混雑していた。

というかひとつの疑問にぶち当たる。

井戸水しかない世界で銭湯って大変じゃないのか?


まぁいいか。もともと適当な世界なんだし・・・


「ふー」


少し熱いくらいで、気持ちよかった。

体中の疲れが抜けていくように感じた。


「どっこらせっと」


浴槽の壁にもたれかかってまどろんでいると、ヒロが隣に来た。


「地球の初期化・・・どう思う?」


俺は聞いてみた。


「うーん・・・難しい話はあんまり好きじゃないんだが・・・

 ひとつ思うのは、ほかの目的もある気がするんだよなぁ」


「ほかの目的?」


「ああ。地球を初期化するだけなら、わざわざゲームっぽい設定とかつくる必要ないだろ?」


言われればそうだな・・・

ほかの目的・・・?

考えるほどに疑問が浮かび上がってくる。


「おーい。のぼせるぞ」


考え込んでいた俺に、すでに浴槽からでたヒロが呼びかけた。


俺は脱衣所でタオル(さっき買った)で体を拭いた。

そして再び鎧と籠手を装備していく。


あぁ・・・めんどくさいな・・・

普通に服を着るのとは違って、ヒモを結んだりしなくちゃならないからだ。


そんなことを思いながら、籠手を付けているとヒロが話しかけてきた。


「地球を救う事とかを考えるのも大事だと思うけど―――

 ―――今は異世界プレイを楽しもうぜっ!」


異世界プレイを楽しむか・・・

そうだよな。今ある意味デート中なんだし。(余計な奴いるけど)

思う存分楽しもうじゃないか!


「ああ。そうだな!異世界プレイを楽しむかっ!!」













「ブター!ブタはどこだ?」


ソーレン帝国の城の1室。

ソーレン帝国を収める国王である『帝王』と呼ばれる男は従者の『ブタ』を捜していた。



肌に密着する漆黒の鎧に身を包んだ、白銀の長髪の男。

黒いマント、黒い籠手に黒い手袋。

黒一色の格好に鋭い目つき、不気味さが漂っている。


ソーレン帝国は大陸の西部を領土としている大陸最大の国家だ。

軍事力・経済力ともにほかの国とは比べ物にならない。

その軍事力を武器にほかの国の領土を占領していった。

今では大陸の3分の1ほどを占めていると言われている。


その帝国の軍事力の最初の餌食となったのが現在の『旧ゴブリン帝国』である。

帝国の名を欲しいままにしていたゴブリン一族はわずか1年で壊滅した。

領土は占領され、今はソーレン帝国の奴隷と化している。


「お呼びでしょうか?帝王様」


ブタと呼ばれる従者が帝王の部屋に駆けつけた。


丸々と太った体。耳は細長く横に伸び、短い赤毛の男。

俗に言うエルフという種族である。

きている赤い革のベストは今にもはちきれそうにパンパンになっている。


エルフは魔法が得意な種族だ。

このブタも例外ではない。

優秀な魔法使いのはずなのだが、今は帝王のパシリになってしまっている。


ブタは膝を折り、頭を下げて帝王の言葉を待った。


そのブタに帝王は重たい声で告げた。




「メルタン市に騎士団を送れ。今度こそ壊滅させろ」

1章の誤字修正を行いました。

改めて思ったこと・・・

「俺って、どんだけ間違えてんだろ・・・」


誤字ありすぎです・・・

申し訳ありません。

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