1話 俺と噂と借金
みなさんこんにちは!tanitaniです。
2章スタートです!
2章もエンジン全開で生きたいと思います!
これからもよろしくお願いします!
俺は佐藤竜也。昨日まではごく普通の高校生だった。
茶色い髪は短めに切っているがボサボサ気味、身長は真ん中くらい。
容姿は普通。成績も平凡。運動神経も微妙。
特に特徴のない普通の高校生のはずだった。
しかし今、俺は異世界にいる。
詳しい説明はしないが、異世界にいる。
そして俺の職業。それは―――
「勇者だ」
「転職したとたん気持ち悪りぃぞ・・・」
俺にツッコミを入れたのは、俺の相棒的存在のヒロ。
本名は近藤弘明らしいが、別にどうでもいい。
俺と同じ、17歳の高校生だ。
ヒロの髪は黒い天然パーマ。身長は俺より少し高いくらい。
顔は・・・40代に見える老け顔だ。本人は気にしてるみたいだから
そっとしている。
職業は通常魔法使い。いろんな属性の魔法をバランスよく使える職業だ。
「だってさ、勇者だぜ。この世界での職業は才能的なものらしいから
俺は勇者の才能があることになるんだぜ」
「まったく・・・そう言えばステータスはどうなってんだ?」
「ああ。そう言えばそうだな」
この世界には、地球と異なる要素がいろいろある。
魔法や魔物といったこともその一つだが、俺たちの左手首についた銀の腕輪も地球と違うところだ。
この銀の腕輪には、ボタンが付いていてそれを押すとステータス画面が現れる。
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リューヤ LV5
職業 勇者
年齢 17歳
性別 男
種族 人間
状態 普通
覚醒スキル 逆境超覚醒
HP 63/70
MP 26/26
FAT 89%
ATK 26
DEF 26
CLV 21
LCK 21
装備品
右手 護身用ナイフ
左手
腹部 布の服 (血だらけ)
腰部 布のズボン (血だらけ)
頭部
腕部
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「やった!だいぶ能力が上がってる」
「もとが無職だったからだろ」
「うるさいなぁ」
ステータスを開いてきずいたのだが、俺はかなり疲れているようだ。
あと、もうひとつ思い出した・・・
「フロに入りたい・・・」
「賛成」
この世界に来てからまだ一度もフロに入っていない。
俺はドン・ランの返り血も浴びてるわけだし・・・
「じゃあ、タミアさんにフロのあるところでも聞くか」
俺たちは、階段を下りて中央役所の1階ロビーに行くことにした。
ゲームの中の異世界。
そこでリューヤたちは恐ろしい計画の存在を知る―――地球初期化計画。
勇者に転職したリューヤの戦いは、まだ始まったばかりだ。
「頼み・・・ですか?」
「うん。二つ頼みがあるんだ」
俺とヒロは中央役所の1階ロビーのカウンターにいる女性と話をしている。
肩くらいに切り揃えられた茶色の髪。
黄色い瞳がとても印象的だ。
身長は俺より頭一個分ほど低いが、大人びた顔立ち。
少し天然気味な18歳の女の子だ。
笑顔が眩しいタミアさんである。
中央役所の黒い制服を着ていて、そのミニスカートは結構きわどかったりする。
ひざ上10センチくらいだろうか・・・?
「一つ目は、銭湯かなんかを案内して欲しい」
「いいですよ。連れて行きますよ」
タミアさんはニッコリと微笑んで了承してくれた。
やっぱりカワイイな・・・
そして、もうひとつのお願い。それは・・・
「お金を貸してください」
「え、えっと・・・いくらですか?」
「うーん・・・1000ゴールドくらいあると助かるかな」
「え!1000もですか?なにに使うんですか?」
「いやぁ・・・旅の途中で盗賊にあっちゃて・・・これが俺たちの全財産」
俺はカウンターの上に7枚の銅貨を並べた。
全財産7ゴールド。すごくみじめな気分になる。
「え!7ゴールドですか・・・仕方ないですね・・・」
そう言ってタミアさんは自分のポケットから10枚の銀貨を取り出した。
「あれ?タミアさんの自腹?」
「そうですよ。役所のお金を貸し出すことは禁じられてますから」
そ、そうなんだ。俺はてっきり銀行的な役割もあるのかと・・・
「さあ、行きましょうか」
タミアさんがカウンターから出てきた。
「いいんですか?」
「ええ。どうせいても仕事なかったですし・・・」
ウィィーン
中央役所の自動ドアが開く。
俺たちは中央役所の外に出た。
この自動ドアはやっぱり違和感があるな・・・
騒がしい大通り。所狭しと屋台が並び、人々が行きかう。
数多くの屋台があり、そのすべてが活気に満ちている。
行きかう人も様々だ。傭兵、農民、魔法使い。
「ここはいい町だな・・・」
ヒロが呟く。
俺もそう思う。いろんな人が生き生きと暮らしている。
「そういえば、噂を聞きましたよ」
不意にタミアさんが口を開く。
「「噂?」」
「リューヤくんが勇者に転職したとか」
リューヤくんって呼ばれた!万歳・・・!
「そうなんですけど・・・なんで知ってるんですか?」
「市長が宣伝してましたから」
「「・・・」」
なんであの市長はああなのだろう・・・
どこか抜けているというか・・・
このバルバ民国メルタン市長のゴファさんは超イケメンの36歳だ。
カリスマ性を持った、優秀な人らしいのだが・・・
このとおり、どこか抜けているのだ。
俺たちは、大通りを進んでいく。
野菜、魚、肉・・・美味しそうな匂いと表情が俺を誘う。
でも、そんなことにお金を使う余裕はない。
借金をしている身なのだ。誘惑に負けるわけにはいかない。
だけど・・・
「なぁ・・・腹がすかないか?」
俺たちは朝から何も食べていない。
昨日もマックさんにもらった、おにぎりを食べただけだ。
そのうえ、この美味しそうな匂い・・・
我慢できるはずがないっ!
「ああ!俺も我慢できねぇ!」
ヒロが同調する。
「じゃあ。あの屋台で何か食べましょうか」
タミアさんが指さしながら、提案する。
俺たちはその屋台のところまで歩いていく。
どうやら、ハンバーガーの店のようだ。
近ずいただけで、焼ける肉ののいい匂いが漂ってくる。
「いらっしゃい!」
若い女の店主が声を張って接客してくれる。
「えっと・・・ハンバーガー3つでいいですか?」
タミアさんが確認してくる。
俺はうなずいたが、ヒロは違った。
「なぁ・・・あれ食べてみたいんだが」
そう言って、メニューを指さしている。
『炭酸団子』
このトリッキーな団子はなんだよっ!




