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14話 俺と黒幕とついに転職

ドン・ランに勝利したリューヤたち。

ついに転職です!転職する職業はもちろん―――


黒幕も登場で、ついにクライマックス!!

「こいつが通り魔事件の犯人だったのか」


兵士が呟いている。


俺たちは、逆境を跳ね返しみごとドン・ランに勝利した。


奇跡的にクリティカルヒットが発動しドン・ランは腹を深々と刺され戦える状態ではなくなった。

そこにたまたま通りかかった、商人の女の人が助けを呼んでくれたのだ。

そして今、この倉庫が立ち並ぶ小さな路地は10人くらいの兵士と野次馬でごった返している。


血だらけだったキノシタ隊長と市長さんはすでに応急処置を受けて運ばれていった。

ドン・ランは手錠を付けられ、多くの兵士に囲まれて連行されていった。


「ああ。風呂に入りたい・・・」


戦いに勝った主人公のセリフじゃないけど、風呂に入りたい・・・


俺はドン・ランの返り血を全身に浴びて気色悪かった。

服は赤く染まって、もとの色がわからないくらいだった。


「やったな」


ヒロが話しかけてきた。

俺は「ああ」と小さくうなずくと、ドン・ランの言葉について考えた。


『地球の初期化』それがどのくらい進んでいるのか分からない。

あとどれくらいで初期化は完了するのか?どうやったらとめることができるのか?

分からないことだらけだ・・・


原理は分からない。だけど俺たちが異世界にいるのは事実だ。

剣と魔法の異世界。魔物が生息していて倒すとお金に変わる。

まるでゲームのようなこの世界。だけど俺たちはここで生きている。


「あの・・・すみません。リューヤさんですね。市長さんからの伝言です。

 『ヴァルハラに行くのは明日に延期するから、今日は転職して休みなさい』だそうです」


考え事をしていた俺に中央役所の職員と思われる女の人が話しかけてきた。

俺は「わかりました」と返事をすると、ヒロと一緒に中央役所に戻り始めた。












「嫌な感じの街だな・・・」


俺は夜明けごろ、何とか小さな町に到着した。

俺ことコンドーは魔物が出るくらい森をやっとの思いで抜けたところだ。

ここは、メリカ軍国という国のトゥールタウンという町らしい。


寂れたような街並み。ぼろい家と小さな屋台が立ち並ぶ大通り。

屋台にはいろいろな商品が並びんでいる肉、野菜、魚、衣類。

周りからは屋台の店主たちの威勢のいい声が聞こえてくる。

だが、その声には見向きもしないで歩き続ける人々。

人通りも結構多く、一見普通の町に見える。


しかし、猛烈な違和感が俺を包んでいた。

雰囲気がおかしい。この街の雰囲気を色で表わすなら灰色という感じだ。

希望を失った色。そんな雰囲気の風がこの街を吹きぬけていた。


「だ・・・だ、だれか・・・たすけて」


その時、俺の前を歩いていた女性がゲホゲホと咳をして倒れ込んだ。


俺は自分の目を疑った。


町を通り過ぎる人々は助けを求める女性を無視して歩き続けていた。

女性に目もくれず。ただただ、歩き続けていた。


「なんだ・・・これは」


苦しむ人がいるのに、一人として声をかけない。

こんなのおかしい。


「だ、大丈夫ですか?」


俺はたまらず声をかけた。

女性はまだ苦しそうな顔をして、咳をしている。


俺はその場に座って、その女性に何度も「大丈夫ですか」と声をかける。

そのたびに、女性は首を縦に振る。


「ちょっとどいて下さい」


そのとき、誰かに声をかけられた。


振り返って見上げると、立派な鎧に身を包んだ兵士がいた。

白いの鎧に身を包み、腰には立派な剣を2本。

顔まですっぽり覆い隠す、かたい兜。

きっと助けに来てくれたに違いない。兵士に任せれば安心だな。


俺は立ち上がり、数歩さがった。


その兵士は、立ったまま手のひらを女性に向けて


点火イグナイテッド


は?攻撃魔法?

魔法を唱えられた女性の体は燃えだした。


女性の悲鳴が聞こえる。


「お前!何してんだ!助けてくれるんじゃないのかっ!」


俺は必死に叫び兵士の胸ぐらをつかんだ。

しかし、兵士は当たり前のような声でこう言った。


「なんで、俺が助けてやらなきゃならない?」




この世界は腐ってる。














「では、転職を開始します」


紫のカーペットが敷かれた暗い部屋。

光はたいまつの炎のみ。

占い部屋のような陰気くさい部屋が転職の間らしい。


ここで転職の儀式をおこなうことで転職が完了するらしい。

普通の人は儀式の前にいろいろな適性試験のような物を受けないといけないらしい。


だが、俺は違う。フリーターの唯一の長所『好きな職業に転職できる』


俺が転職する職業。それはすべての職業でもっとも転職が難しい職業。

巧みな剣術と多彩な魔法を使う事が出来る職業。

剣、槍、弓・・・どんな武器も装備することが出来る職業。

回復、攻撃、補助・・・さまざまな種類の魔法を使う事が出来る職業。


そう―――――勇者ブレーブ




俺はこの世界を、地球を救う勇者になる。












「帝王様。ご報告があります」


暗い部屋。日の光は差し込んでいるもののどことなく薄暗い部屋。

ソーレン帝国の城の一室。帝王と呼ばれる男がいた。

肌に密着する漆黒の鎧。黒いマントは風に揺れ。

黒い籠手に黒い手袋。黒一色の格好に白銀の長髪が良く目立つ。

帝王は重い声で尋ねた。


「ブタよ。どうした?」


帝王に報告に来たブタと呼ばれた男は口を開いた。


「バルバ民国のメルタン市の制圧を任せていたドン・ランが捕まったそうです」


丸々と太った体。耳は細長く横に伸び、短い赤毛の男。

俗に言うエルフという種族である。

きている赤い革のベストは今にもはちきれそうである。


「そうか」


ブタと呼ばれた男の報告に帝王は表情を変えもしない。




この世界最大の軍事力を誇るソーレン帝国。

計画はすでに始まっている。


地球の初期化という計画が―――






こんにちは!tanitaniです!


『異世界プレイ日記 ~どうやら勇者に転職できるようです~』の

1章は完結です。


今までありがとうございました!


2章もがんばって書いていくので、これからもよろしくお願いします。



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