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明日に向かって

第1話 神か悪魔か


 タウの調査結果が、義経の元に届いた。傍らにはテムジンが座っているが、まるで興味を示さない。義経の参謀となっている劉基とマハーヴィーラの3人が、方針を決める。

 調査報告には、このタウの指導者は5人だということ。つい最近まで、最大の価値は貨幣だと信じていたこと。現在、急激に発達した電脳によって、その価値観が混乱させられていること。タウの技術力では、SBの艦隊を傷付けられないこと。タウに特定の宗教は存在しないことなどが述べられていた。

 劉基とマハーヴィーラは、揃って「直ぐにでも、指導者と会談すべきです」といった。SB艦隊は、タウの第5惑星の上空に姿を現わし、5つの全ての惑星にメッセージを送った。

「危害を与えるつもりはない。ここの指導者達との会談を望む」

 タウでは、混乱が増した。指導者達は、方針を決めるため第1惑星に集まった。しかし、結論が出ない。このような事は、初めてなのだ。

 義経は、強硬突破を決定した。タウのマスメディア全てに発信をした。

「明日の正午、我々は官邸を訪れる。何者もそれを妨げる事は出来ない」

ケムの者7匹が、転送機によって、官邸に現れた時、官邸の内外は多数のマスメディアによって占められていた。ケムの者7匹は、突然変身をした。この様子は、マスメディアを通して否応無しに発信される。この時から、タウでは「神か悪魔か論争」が始まる。遭難したタウ人は、各惑星に散りSBの事を説明して歩く。タウに宗教が存在しないといっても、彼らが人で無い事は一目瞭然だ。義経は、いつものように「望むならSBを訪れるがよい」といい残し、この恒星系を去った。

 これもいつもの事だが、この星の未来を決めるのは、タウ人なのだ。後に、この星の電脳技術が、SBの電脳技術を急激に発達させる。

 義経は「焦り過ぎたか」と思った。劉基とマハーヴィーラは「あのくらいが、丁度いいでしょう」と思っていた。テムジンに満足感は無い。ほとんど出番が無かったからだ。


第2話 宝器とは


 Rとアインは、北アメリカ大陸にいた。アインは、この頃、宝器の持つ本来の意味を考えるようになっていた。

「宝器とは、何なのだろうか。私は、自分の世界にいた時、宝器は自分達の所有物だと思っていた。だから、それの飛散を防ぐ方法を考えたり、飛散した宝器を探したりもした。しかし、この世界に来て分かった事がある。宝器は、所有者を選ぶようだ。所有者の能力と時を考え、宝器は自ら所有者の元に集まるのではないだろうか。所有者とは、おそらく、特定の個人ではないのだろう。時代を育む者が所有者となるのではないか。そして、分かった事がもう1つある。それは、宝器がこの世界の守護者でもあるという事だ。バベルの塔の宝器とマザーがそれを証明している」

 Rと義経は、バベルの塔で遭遇した者をマザーと呼んでいる。

「しかし、宝器は、このSSに属するものなのだろうか。イプシロンにもタウにも宝器の姿が見られなかった。そうであるならば、このSBは、マザーのいう“あの方”に選ばれた星という事なのだろうか」

 あの方とは、何者なのだろうか。この宇宙の創造者なのだろうか。それとも天の川銀河の管理者なのだろうか。いずれにしても、我々には「何か偉大な存在」としかいえない。

「静が4つ目の宝器を手に入れた。あの12個の聖杯が、そうだったとは少し驚きだったが。静は、聖杯の本当の名も力も教えてくれない。その事自体に意味があるのだろうか」

 静は、5つの宝器を手にすると、音巫として完全体となるという。しかし、現段階では、5つ目の宝器の名も所在も分からない。ましてや、完全体の音巫を想像する事すら出来ない。

 メキシコにテオティワカン文明の中心となった巨大な宗教都市遺跡が存在する。この文明は、紀元前2世紀から6世紀まで存在したとされる。そして、世界遺産に登録されている。

 Rは、南北アメリカ大陸がブランチ・ワールドの欠片ではないかと考えている。インドは、その欠片だった。Rとは異なる未来の世界から訪問し、ブランチ・ストーンを傷付けたらしい。その結果、ブランチ・ワールドは構築されず、インドという欠片を残した。これは、宝器もエネルギーの1種で、道具によって損傷または破壊出来るという事を物語ってはいないだろうか。おそらく、宝器も万能ではないのだ。



第3話 ダイバリオン


 素粒子学のアダムスキー・エネルギー学の柳・数学のアハマド・波動学の陳は、技術界の四天王と呼ばれていた。第3世代技術は、彼らが作りあげたと言っても過言ではないだろう。その中でもアダムスキーの成果が際立っていた。

 第4世代技術に向けた開発は、アダムスキーが頭1つも、2つも抜き出ていた。今回もアダムスキーの開発成果が最初に出た。それは、ダイバリオンの生成の成功だった。

 地球上の陽子や中性子は、3個のクォークから構成される。ダイバリオンは、6個のクォークから構成される複合粒子である。しかし、これは、実用化されなかった。何故ならば、単位質量が、オリハルコンの1/13しかないためだった。アダムスキーも開発前から、その事を知っていた。しかし、この複合技術が次へのステップになると信じていた。

 アダムスキーは、寄り道をして「弱い力」の研究に入った(もっとも、本人は寄り道だと思っていないが)。彼は、メカの故障の原因の何割かがこれだと思っていた。また、素粒子の生成の時にこの力が作用すると複雑さが増す。

 「弱い力」(弱い相互作用)の代表例は、ベータ崩壊である。現在、5種類のベータ崩壊が知られている。

・β−崩壊(陰電子崩壊):電子と反電子ニュートリノを放出する。

・β+崩壊(陽電子崩壊):陽電子と電子ニュートリノを放出する。

・電子捕獲:電子を原子核に取り込み、電子ニュートリノを放出する。

・二重ベータ崩壊:陽電子2個を放出する。

・二重電子捕獲:2個の電子を原子核に取り込み、2個の電子ニュートリノを放出する。

 陽電子の放出と電子捕獲は、同じ現象のように見える。これは、陽子が中性子となり、1個の電子(陽電子)につき元素番号が1つ減る現象である。

 ここで、筆者の頭の中が混乱する。陽子⇒中性子の変換とクォークの電荷と質量の関係の辻褄が合わないような気がする。電子は、それほど重いのであろうか。

ニュートリノの存在は、確認されているが、その実体は諸説ある。また、実験・観測報告も異なるものが複数あり、実体は未だ不明である。

 ところで、世界で1番最初にニュートリノの存在を確認したのは、日本である。この功績により、2002年小柴昌俊東大特別栄誉教授は、ノーベル物理学賞を受賞した。観測施設は、カミオカンデと呼ばれ、岐阜県 神岡鉱山跡地の地下1,000mに存在した。


第4話 放射能


 放射能とは、放射性元素が崩壊する時に放射線を放出する能力の事である。よって、実害を与える可能性を持つのは、放射能ではなく、放射線である。放射線は、何種類か存在する。大別すると2種類とされているが、ここでは3種類に分類したい。

1 主要放射線

2 粒子線

3 電磁波

 それぞれについて主なものを述べたい。

1 主要放射線

1-1 α線:ヘリウム元素(陽子2個と中性子2個)そのもの。

1-2 β線:電子または陽電子。第3話のβ崩壊の電子(陽電子)は、これの事である。

1-3 γ線:電磁波の1種(実は、筆者は中性子の事だと思っていたので驚いている)。

2 粒子線

2-1 陽子線:陽子そのもの。

2-2 中性子線:中性子そのもの。

3 電磁波

3-1 X線:レントゲンなどに利用される。

γ線は、DNAを傷つけることによる発がん作用などがあるとされる。

次に、放射線量の単位について述べたい。

・ベクレル:1秒間に放射線を出す回数。

・グレイ:吸収した放射線のエネルギーの総量。1グレイ=1J/kgのエネルギー吸収と定義される。

・シーベルト:人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位である。しかし、実体は不明。

・レントゲン:古い形式の単位。

・ラド:古い形式の単位。1グレイ = 100ラドに相当する。

・レム:古い形式の単位。0.01シーベルト = 1レムに相当する。

 筆者個人としては、グレイが最も、信頼出来そうである。γ線の被爆致死量は6グレイとされている。

いずれにしても、放射線が人体に与える影響は明確になっていないようである。


第5話 アイン


 Rとアインは、南アメリカ大陸にいた。Rは、この地で宝器探しの旅を終えようと思っていた。理由は2つある。

 1つは、宝器は、探し当てたとしても所有者のものとしかならないと考えているためである。

 1つは、アインの能力を引き出す事に全力を挙げたい事である。

しかし、この旅は楽しくもあり、勉強にもなった。多くの人達とも出会えた。

 南北アメリカの文明は、大きく2つの系統に分けられるようである。

1つは、中米地域のメソアメリカ文明、1つは、南米地域のアンデス文明である。数々の文明が興り、滅んで行ったようである。文明が興り、滅んで行くのは必然の事なのだろうか。

 何時の事だったか覚えていないが、アインが1つの仮説を話した事を思い出した。

「遺伝子(DNA)は、学んでいるのではないでしょうか。と、いうより記憶装置かもしれません。突然変異について、以前、師匠は話された事がありました。それは、DNAの学びが、そう見えるのではないでしょうか。免疫系の話から少し考えて見ました。きっと、DNAは学びを自分に刻んでいるのだと思います」

 Rは、突然の事で何と返答したのか覚えていない。そもそも、Rの専門分野は「時」と「細胞」だと自分勝手に思い込んでいる。もちろん、他の分野の知識もこの世界の者達から抜きんでている(今のところは)。しかし、遺伝子は嫌いなのだ。自分の世界を滅亡へと追い込んだのは、遺伝子操作の結果が、多くの比重を占めていると考えている。しかし、この子の頭脳は、どのように構成されているのだ(アインの見掛けは、童子だが、彼は200歳になろうとしている)。教えた事は全てを吸収する。小学校で、大学の講義をした時、理解出来る子がいるようなものだ。そして、独創性もある。偏った分野のみならず、全ての分野に適応出来ている。彼がこのSBの技術リーダーとなる事は、間違いないだろう。

 その時が、私の引退の時かもしれない。そうなったら、大学院の教師を務めて見ようか。未だ、私の事を必要とする人達がいるかもしれない。未だ、先の事だと思うが、自分の夢と希望だけを乗せた船を見送る事になるだろう。嬉しくもあり、寂しくもある。しかし、このSBが、滅亡の灯を点さないように私の全てをアインに注ぎ込もう。



 


第6話 追尾


 3つ目の知的地球外生命体は、巨大だった。ここで、また簡便の為に、知的地球外生命体=KLとしたい。その集団は、21の恒星系を支配していた。もっとも近い恒星系は、4.36psだった。その星の1万年前に向かったノアは、追尾をされた。ノアはその恒星系の警戒領域に入ってしまったのだろう。ノアは、警告を受けた。ノアは、現在へと逃走したのだが、3千年くらい追尾をされたそうだ。この事から、この集団(政体形は不明だが、名をグリーゼという)の技術力の高さが分かる。遭難したグリーゼの人達は、1万5千年前の住人だったため、的確な情報は得られない。尚、4門艦の艦長リーガルは、Rの補助をしている。残りの2人は、他の恒星系の調査のために、偵察機と共に任務を実行している。

 義経は、現在のグリーゼ1に潜入を試みようとした。しかし、転送機がうまく機能しない。何か壁に跳ね返される感じがする。これで、はっきりと分かった。ここの文明は、SSとはレベルが違い過ぎるのだ。一度、SBに戻り対策を練る事にした。

R:「技術開発のスピードアップが必要です。アインを技術リーダーとし、技術開発を促進しなければなりません」

パーヤ:「造艦のための資源が足りません。補充が必要です」

 劉基とマハーヴィーラには、打つ手がない。手駒が足りなさ過ぎるのだ。テムジンでさえもグリーゼへの突入は無謀だと思っている。

 義経は、皆の意見を聞きながら、別の事を考えていた。

「何が足りないのか分からない。一度マザーの元へ赴いてみるか」

 グリーゼから攻撃を受けているわけではない。グリーゼに向かう事を急ぐ理由は、何も無かった。

今、出来る事は、アインをリーダーとした技術開発チームの再編だ。Rは、顧問となった。これで、第四世代の技術開発の土台が出来上がった。更に、テムジンと4門艦に半径20光年以内の恒星系の調査とマップ作りを頼んだ。これで、資源の調達が可能になるかもしれない。全ての準備が整いグリーゼへと向かうのは、100年以上後の事になる。


第7話 メッセージ


 マザーの元に向かった義経に、1つのメッセージがあった。それは「あの方」からのものらしい。

「お前達は、速過ぎたのだ。そして、早かったのだ。お前達に1つの門を開こう。他の門の事はアインに訊ねるがよい。宝器は、そのもののレベルと使い手のレベルにより威力が増す」

 あの方は、多くを語らないようだ。いくつか解釈しなければならない事がある。「速過ぎた」とは、グリーゼまでの過程の事だろうか。「早かった」とは、グリーゼを訪れるのが能力的に早かったという事だろうか。1つの門とは何の事だろう。他の門とアインの関係は何を意味するのだろう。宝器の特性の事は、未だ私達が宝器の能力を出し切るだけのレベルに達していないという事だろうか。

 義経が自分の考えに浸っている時、マザーが言った。

「あの方の用意された門は、ここにあります。7匹のケムの者全てと音巫は、この門を叩かなければなりません。その前に音巫に崑崙山に向かうように伝えてください」

 静は崑崙山に向かった。もう、何度も訪れている山になる。仙道は言った。

「今日は、特別な日になる。静の儀式を執り行う。静に5つ目の宝器を授けよう」

 静は、5つ目の宝器を仙道から受け取った。これから静が完全体となる儀式が行われる。それは、簡単なものだった。10文字の呪文を唱えるだけだった。「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前・降」と、唱えた静は、音巫として完全体となった。しかし、静自身は、自分の変化が分からない。その時、静の目の前に1匹の妖魔が現れた。驚いた静に向かって仙道は、言った。

「この妖魔は、僕の下僕の1匹だよ。レベルEというところかな。この妖魔を折伏させてご覧。でも僕の下僕だから、もうレベルCくらいはあるかな」

 折伏と言われても、静には方法が分からない。

「さっきの呪文を唱えながら、気を闘わせて見て」

 静は、妖魔の眼を見据え、呪文を唱えた。重い気が自分に圧し掛かってくる。しかし、闘いは一瞬で終った。折伏された妖魔は、静の下僕となった。下僕となった妖魔は、いかなる命令であっても、主人に従う。この手順をレベルCの妖魔まで行った。レベルが上がる度に圧し掛かってくる気が重くなる。レベルB(実質的にはレベルS)の折伏に、1日半必要とした。

「これ以上は、未だ無理だね。でも、これで、静は僕と同格になったよ。妖魔は、2S、3S、もっと上もいるけど、僕の下僕もレベルSまでだからさ」

 暫く前から、この仙道の弟子となっていた役小角は、驚きを隠せなかった。「わしが、このレベルになるためには、後何千年、何万年必要なのだろうか」


第8話 門


 バベルの塔に向かったメンバーは、義経・テムジン・弁慶・継信・忠信・義盛・吉次のケムの者7匹と静であった。静は、崑崙山で折伏させた5匹の妖魔を連れていた。とはいえ、妖魔は気配も姿も隠している。レベルEの「白猿」の戦闘能力は、モンゴル騎兵10騎に及ばないだろう。敏捷さを活かした偵察任務が妥当かもしれない。レベルDの「犀犬」も、それほど戦闘能力は高くない。犀犬はつがいであり、本来は家を繁栄させる妖怪とされているが、この物語では、治癒能力を持つ妖魔としたい。レベルCの「水虎」は、河童の類かもしれない。この物語では、攻撃能力はほとんど持たないが、防御能力には極めて優れているとしたい。レベルBの「牛頭」は、地獄の鬼のリーダーの1人とされている。静の使役する妖魔の中では、最も高い戦闘能力を持つ。

 しかし、門を開けた中には、何があるというのだろう。義経は、この門の意味に薄々気が付いている。おそらく、これは試練なのだ。グリーゼのみならず、これから我々が歩む路を妨げるイバラを切り裂く力を得るための試練だと思っている。分からない事が1つだけある。それは、門とアインの関係だ。それも、やがて分かる日が来るのであろう。

 門が唐突に開かれた。その門の中に1歩足を踏み入れた瞬間異様な気配がした。

「この世ではない」誰かが言った。


第9話 第四世代


 SSでは、アインをリーダーとした技術開発チームが組まれた。顧問は、Rである。というより教師といった方がいいのかもしれない。それも、おそろしくハイレベルな教師だ。Rは、詰め込みの教育をしない。基本的には「質問されたら答える」という形をとっている。

 アインの元に直属の4人が配された。それは、素粒子学のアダムスキー・エネルギー学の柳・数学のアハマド・波動学の陳である。アインを含めて他の4人も部下を数人しか持たない。数人とは、助手や身の回りの世話をしてくれる者達の事だ。

 技術開発本部は、彼らとは独立した形で存在する。アインのチームは、本部からは「ファイブ・ブルー」(FB)と呼ばれた特別な存在だった。

 アインは、当面アダムスキーとコンビを組み、ダイバリオンの開発に着手した。オリハルコンを超える物質を生成したい。

 柳は、Rの助言でレイラインの観察と調査に向かった。エネルギー回路の新しい発見があるかもしれない。

 アハマドは、数10年後、タウの電脳を学ぶために、留学する事になる。それまでは、基礎理論を積み上げるのみだ。

 陳は、Rから多くのヒントを与えられた。しかし、成果が上がらない。Rは、思っていた。

「アインとは、本質的な何かが違う。波の式を彼に与える事は簡単だが、彼はその式の意味を理解出来ないだろう」

 チームが組まれて暫くした頃、Rに来訪者があると告げられた。Rは、誰の紹介だろうと思った。この研究施設への来訪は、よほど信頼出来る者の紹介が無ければ無理だ。彼女は「この紙を渡してください」と言って、Rを待っているそうだ。紙には「私の作った転送機を見てください」とだけ書いてあった。Rは、何が起きているのか理解出来なかったが、彼女に会う事にした。彼女の名前は「マヤ」といった。本名かどうかは分からない。南米からここに来たようである。彼女の来訪は、誰の紹介でも無かった。彼女は、自作の転送機を利用して無理やり来訪したのだった。

 驚いたのは、Rである。「何処で手に入れた」

「私が自分で作ったのです。この本をみながら」

 その文書はかなり古いものだった。Rにもところどころしか読めない。彼女の説明によると「空間」「もの」「波」について書かれているようである。彼女の自作した転送機の構造は、Rのものとまるで異なった。「この子の能力は、アインに匹敵するかもしれない」

 マヤは、この研究所に1室を与えられた。FBが「ヘックス・ブルー」(HB)となった。




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