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純白の繭

もう、白く輝く必要なんてない。

わたしは、、、夜霧ミイラだ。

____________


「う、嘘……。本当に、私の願いを叶えてくれるの……?」

中学生になったばかりの冬の日。学校の帰り道、薄暗い裏路地で怪人に襲われ、絶体絶命だった私の前に『それ』は現れた。

白くて、ふわふわしていて、まるで絵本から飛び出してきたかのような可愛い生き物。大きな耳をパタパタと羽ばたかせ、宙に浮く姿は神聖な妖精そのものだった。

『そうだよ、まゆちゃん。君にはね、世界を救う特別な才能があるんだ。ボクと『契約』して魔法少女になってくれれば、今ここで君を襲っている悪い怪人をやっつける力をあげる。ついでに、君のどんな願い事だって一つだけ叶えてあげるよ』

ウーパと名乗ったその妖精は、一点の曇りもない愛くるしい笑顔で、信じられない言葉を囁いた。怪人の恐怖に震えながらも、私の胸はドクドクと高鳴っていた。世界を救う、特別な存在。

テレビの向こう側で憧れていた、みんなを守る正義の味方に、私がなれる。

「私の、願い事……」

その時、私の頭に浮かんだのは、病気がちでずっと入院している大好きなお母さんの顔だった。

「お母さんの病気を、治してほしい……! お母さんがまた、お家で一緒に笑えるようにして!」

『お安い御用さ! さあ、ボクの手をとって。君のその『純粋な願い』が、最高の魔力になるんだ!』

ウーパの小さな、温かい肉球のような手が、私の指先に触れる。その瞬間、私の体から眩いばかりの純白の光が溢れ出した。光は一本の美しいステッキ――マジカル・シルクの武器へと姿を変え、私の体を汚れなき純白のドレスが包み込んでいく。

「すごい……! 力が、湧いてくる……!」

『あはは、素晴らしい輝きだ! 最高の『商品(魔法少女)』だよ、繭ちゃん!』その時の私は、ウーパが言った『商品』という不穏な言葉の意味に、これっぽっちも気づかなかった。ただ、手に入れた圧倒的な光の力で怪人を一瞬にして消し去り、自分の力でお母さんの病気が完治したという奇跡に、涙を流して喜んでいたのだ。

「ありがとう、ウーパ……! 私、がんばるね。世界中の人を守るために、この力を大切に使うから!」

『うんうん、期待しているよ、シルク。世界の愛と平和のために、君のその命(魔力)が尽きるまで、ボクのためにたっぷり働いておくれよ?』

ウーパは、三日月のような目で可愛らしく微笑んだ。

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