第10話「対決ユキコVSユキコ」
今回は本当に肩の力を抜いてお読みください。まさに閑話エピソードです。
とは言え手を抜いているわけでは有りません。古典戯曲で言うところのFarceを狙って書いていますw
自分としては意外にお気に入りなので、本来の意味でご笑覧頂ければ幸いです。
仙台時計拝
「対決ユキコVSユキコ」
Y星人 偽ユキコ?
#プロローグ お知らせ
早朝の防衛隊。無人ハンガーに係留中であるF01の機内に鳴り響くベル音。
「もしも~し先輩ですか?誰れ〜だ?」
「あのなあ411号だろ?お前って奴は本当に、毎度、毎度」
「やだなあ気分ですよ、き、ぶ、ん」
「ところで今日は何の用件だ」
「う~ん、実はですねえ、星ノ河原収監所から、先輩が昔捕縛した
不良星人が脱走いたしまして」
「おいおい、あそこって管理官はファイブがやってたはずだろう、
何やってるんだあいつ」
「ファイブというか、338号先輩は、プッチちゃん絡みで集中出来てないんじゃ無いですかね?」
「プッチぃ?あの猫又と30ヨルク以上まだ揉めてるのか、あいつ?
しかし、お前本当に耳敏いな。で、肝腎の脱走したやつって。おいおい
まさか、だよな」
「はい、そのまさかです。捕まえた先輩に逆にホの字になっちゃった、あの」
「「Y星人!?」」
「お~い、ファイブしっかりしてくれよ~苦手なんだよ、あいつぅ」
#神家の食卓
家事アンドロイドタエの入れた食後の煎り番茶を飲む2人
「どうしたの?マン今朝は随分落ち着きが無いんじゃない?」
「ぎく、な、な、何でもないよ、金輪際なんでもない」
「おいおい、声に出とるぞ」
新聞を読みながらさりげなく突っ込みを入れる神
「あやしいい」
銀の小箱をつんつんする黒髪の少女
「えーい、この際だ。実はこの2~3日の間に皆さんに大変ご迷惑をおかけする事態が起きる可能性があるので、記憶の片隅にでも
置いておいて頂ければ」
「なあに、ねえねえ、また大冒険?」
両の拳を握りしめ、期待感に満ちた表情をする少女
「ユキコ、本当に変わったねえ」
「あら、そうかしら?」
はい、いつも通常運転の一家でした。
#2人のユキ子
そしてS市内にて、神博士の一人娘がふらついていると言う噂が
幾カ所から聞こえる様になったのは、それから2日後の事である。
その日の夕刻、街を探索中の一人と一箱。
「あれがそうか?」
確かに着ている服までユキ子そっくりな少女が、あっちにふらふらこっちにふらふら歩いてくる。
「見れば見るほどユキコそっくりだな」
「そうなの?可愛い?」
「うう〜そう言う事ではなく、アイツは宇宙一変装が上手いんだ、
自己暗示で性格まで似せてくる」
見るや、鼻翼をヒクヒクさせ、獲物を見つけたと言わんばかりに
こちらに向かってぐるっと視線を向かてくるY星人。怖い。
「ダ~リ~ン」!獣もかくやの勢いで突進してくる、ユキコそっくりの少女
「ユキコ避けろ」と言うUマンの叫びもむなしく、ユキ子に突っ込んでくる
ユキ子。実にややこしい。
ユキ子が、ぶつかった拍子に、ユキ子の胸ポケットから、銀の小箱が転がり落ちる
転がった一瞬、カメラの画角が二人の少女から外れ、Uマンの視界が回復した時には
二人のユキ子が対称に並ぶように立っていたのだ。
「「分かるわよね、マン。私がユキ子よ!」」
「う~ん、全く同じタイミング、見事」
「「感心してる場合じゃないでしょ」」
見事なコーラスであった。
上空から微かに、サイレンの音が響く
「あのサイレンは銀河パトロール。ファイブのやつ汚名挽回に必死だな
こんな銀河の端まで逃亡犯の逮捕に人員を割くとは」
「「マン分かって!私よ、私が!」」
#決着?
「ふふふ、Y星人。僕たちの絆をなめて貰っては困るな。出会ってから
0.8ヨルクの長き、もとい以外と短き出会いの期間!」
「「もう、マンったら」」
最早曲芸とでもいうべきダブルユキ子のハーモニーであった。
「そして、お前が偽物だ!!!」
「「あの、スピーカー越しでは指してるの見えないんですが」」
「え~と、右側の方だ!!」
「「こっちから見て?それともそっちから見てぇ?」」
「あのお、ユキコさん」
「「はい!」」
100分の1秒も反応に差のない、ハーモニー
「絶対、分かってからかってるよね、ユキコ」
「え~と、え~と、ナックルが右で、こっちが左だから」
「ほら、やっぱり右の方だ!」
「お前が偽物だ!Y星人」
「な、なぜ、ばれた~~!」
少し西よりのお里である事がうかがわれるY星人。ポーズも決まっている
ここで、初めて、シンクロしていたダブルユキ子の連携が乱れ、
Y星人だった方のユキ子の顔から、宇宙ドーンキで買ったと思しき物まねマスクが剥がれ落ちる
「Y星人、御用だ、おとなしく縄につけえい」
「あの、君たち今までどこにいたっけ?」
「ああん!あんた達何見てんのよ、こちとら見世物じゃないわよ!」
いつの間にか周囲に集まってきていた野次馬に凄むY星人。
電子手錠を後ろ手にかけられ、先ほどまでの声とは似ても似つかぬ
お姉声を張り上げながら去っていく
そして銀河パトロールパトのサイレンが、夜明けの空に遠ざかっていった
「覚えてなさいよ、ダーリンー!」
最後の最後までしつこいY星人であった。
FIN ではないよ
#エピローグ 神家の食卓
いつもの団らん
「でもマン、結局彼女と私の違いって何だったの?」
「君、怒らないかい?怒るだろ?」
「どうして怒るのよ?さあ言って」
「うん、じゃあ。⋯君の方が500gちょい重かった⋯あ」
見る間に耳まで紅く染まるユキ子
「んもう、バカバカ馬鹿!許さない」
銀の小箱を両の手で器用にポコポコ叩く黒髪の少女
「これ、ユキコ、ユキコさん」
「もおおお!」
怒りが収まる気配が無い娘の様子を見ないように
見ないようにタエが入れてくれたお茶を啜る神であった
「ふう、茶がうまい」
FIN
どうでしたか?一応看板に偽りは無かったのではと思っています。
次話は打って変わって、熱い(若干暑苦しいw)作品になっています。
第11話 「不敵、M3の男」
お読み頂ければ幸いです。読み損はさせません多分w。




