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雨
放課後、帰ろうとすると雨が降っていた。
このくらいの雨、傘無くても平気だ。
常識が異世界のアスカは気にせず歩きだす。
あれ、冷たくない。
上を見ると傘がある。
「濡れちゃうよ、コレ使って」
誰かが傘を差し出してくれている。
「ありがとうございます。でも大丈夫!それに…傘持てないので」
アスカの両手は貢物で埋まっている。
「すごい荷物だね。じゃあ傘一緒に入る?」
「そんな、悪いし」
見上げると傘の持ち主と目が合った。
アスカより背の高い、眼鏡の男子生徒だった。
「岸アスカさんだよね?有名人だ」
誰か分かってなくて、傘を貸そうとしていたようだ。
「僕は1組の石見スグル」
でも見る限り…
「傘一本しか無いのに?」
アスカが疑問を口にする。
「だって、女の子が濡れちゃうのは可哀想かなって、僕は走ればすぐだし」
歩き出す2人。スグルはアスカが濡れないよう傘を持ってくれている。
「家、近い?」
「まぁね。アスカさん家はどの辺?」
「十二町の辺りの…」
「あぁ、それなら僕の家の近所だね。よかった」
「よかったって?」
アスカが訊ねる。
「同じ方向だから傘持っててあげられるし、辺に気を使わせないですむかなって」
スグルが微笑む。
「気遣いがすごい」
アスカは驚いた。




