80.
悪魔「クク――私の能力はどうだ!」
勇者「やりたい放題、めちゃくちゃだよ……」
僧侶「火炎に氷結、石化から転移まで……無法です」
悪魔「この私が勇者一行を壊滅させたとあれば……」
悪魔「すぐにでも七魔皇になれるだろう!」
勇者「……いま七魔皇じゃないの?」
悪魔「……悪いか?」
勇者「いや、強いのになと思って」
悪魔「ククク……だろう⁉」
悪魔「奴らを見返すまたとないチャンスだ……」
悪魔「お前らを踏み台にさせてもらうぞ!」
僧侶「くっ、こんなところで……」
勇者「せめて魔法使いがいたら……」
僧侶「……――。」
悪魔「ちとアイツはマズいからな、これも作戦のうちよ!」
悪魔「さあ、これで終いにしてやろう!」
魔法使い「――メイルシュトローム」
悪魔「グワァアッ⁉」
勇者「……おかえり!」
魔法使い「まったく。ちょっと目を離すとこれなんだから」
悪魔「グギ――!」
僧侶「き、気を付けてください! この魔物、ただ者では――」
魔法使い「ありがと、でも心配には及ばないわ」
魔法使い「――残念ね、七魔皇になれなくて」
悪魔「ぬ、盗み聞きか……?」
魔法使い「いいえ、生き残りの老人が教えてくれたのよ」
悪魔「く、逃げ――」
魔法使い「残念。アンタは転移を使えないわよね」
魔法使い「――メイルシュトローム」
悪魔「ァァァァァ……」
勇者「――ねえ、さっきの敵ってさ」
魔法使い「ああ。アイツ、過去にアタシの故郷を襲ったのよ」
魔法使い「あまりにも強くて、当時の『賢者』が命がけで撃退したとか」
魔法使い「で、生き残りが能力を調べたら面白いことが分かって」
勇者「能力って、異常な種類の魔法を使いこなせること?」
魔法使い「そう考えられてたんだけどね――」
魔法使い「実は、自分の力だと相手に思い込ませた力を使える能力だったの」
勇者「……?」
魔法使い「えっとね。例えばアイツが転移魔法を使えると宣言するじゃない」
勇者「実際してたね。それで?」
魔法使い「その言葉を信じちゃうと、アイツは転移魔法を使えるようになるのよ」
勇者「……それ強くない?」
魔法使い「アンタ達がホイホイ信じると、めっちゃ強くなるってことね」
勇者「う……」
魔法使い「無理もない話だけどね」
勇者「じゃあどうやって倒すのさ」
魔法使い「アイツの能力には隙があった」
魔法使い「能力を知る相手には能力が発揮されないってね……」
勇者「あ、だから魔法使いを避けてたのか」
魔法使い「それすら打破できないのに、七魔皇になれるはずないのにね」
勇者「……。」
魔法使い「……。」
勇者「あのさ」
魔法使い「なに」
勇者「その話、もうちょい早くできなかった?」
魔法使い「忘れてたのよ……ごめんなさいね!」
僧侶「お待たせしました、薬草ですよ~」
魔法使い「あら、祈りは? 最近受けてないような気がするけど……」
僧侶「……諸事情で~」
魔法使い「諸事情」
死まで、あと21日




