74.
子供「ケーキを作りたいんだ、手伝ってくれよ!」
勇者「ケーキ?」
子供「ママが誕生日だからさ、サプライズしたくて……」
魔法使い「そういうことならお安い御用よ」
子供「ありがとう! じゃ早速なんだけど――」
子供「コケッコの卵を四つ持ってきて!」
勇者「コケッコってどこにいたっけ?」
僧侶「ケルナ村の養鶏場に行ってみましょうか」
魔法使い「あそこも大変だったわよね……」
勇者「病魔のせいで家畜が全滅したんだっけ、思い出した」
魔法使い「無事に数を取り戻せたみたいで良かったわよね」
勇者「じゃそこに行こうか、よろしく魔法使い」
魔法使い「はいはい――」
勇者「ただいま、はいこれ」
子供「ありがとう!」
子供「――次は、サンサンフラワーをお願い!」
勇者「サンサンフラワー?」
魔法使い「ほら、小麦よ」
僧侶「戦士様とパンを捏ねたのが懐かしいです」
勇者「そんなこともあったね。えーと、場所は……」
魔法使い「クネヒェ平野に自生してるわよ」
僧侶「参りましょうか」
魔法使い「ほいっと――」
勇者「はいどうぞ」
子供「ありがとう!」
子供「――次は、ルビーベリーをお願い!」
勇者「……ねえみんな」
魔法使い「どうしたの?」
勇者「ちょっと疲れてきた」
僧侶「回復しますね」
勇者「いやそういうんじゃなくて……」
魔法使い「分かるわ、無駄にあちこち行かされてる気がするもの」
僧侶「ルビーベリーはムベ砂漠……確かに遠いですね」
魔法使い「アタシの転移魔法だって、ノーコストじゃないのよ」
勇者「うーん……まあとりあえず行ってあげるか」
魔法使い「お人よしね――」
勇者「はい。これで全部?」
子供「ありがとう!」
子供「――次は、おいしい牛乳がほしい!」
魔法使い「ちょっとアンタ自分で作る気あるワケ?」
僧侶「どうどう……」
勇者「牛乳ってったら、ケルナ村?」
魔法使い「二度手間じゃない!」
僧侶「いま思い出しただけかもしれませんし……」
勇者「行こっか……」
魔法使い「まったく――」
子供「次はなんかすごいバターがほしい!」
勇者「ケルナ村じゃん! まとめて言ってよ」
僧侶「勇者様、どうどう……」
魔法使い「――ファイア」
僧侶「⁉ い、いくら腹立たしいからといって、攻撃しては……」
魔法使い「バカ、あれを見なさい。本性現したみたいよ」
子供「――疲れさせた隙を狙う作戦だったが、バレちゃしょうがねぇ」
魔物「お前らを殺してやる! ジャルラ様の仇!」
勇者「マスターバスター」
魔物「ギャァアアア――」
魔法使い「……とんでもない茶番だったわね」
死まで、あと27日




