64.
スライム「ぼく、わるいスライムだっピよー!」
勇者「珍しいタイプだ」
戦士「俺たちに殺されたいのか?」
魔法使い「その意気込みだけは買ってあげるわ」
スライム「お前らが勇者一行だっピね、仇討ちのチャンスっピ!」
勇者「仇?」
スライム「忘れたとは言わせないっピ!」
勇者「見覚えある?」
魔法使い「ないわね」
戦士「荷物盗もうとした奴か?」
僧侶「でも全員滅しましたし……」
勇者「生き残った子孫かも」
戦士「殺さないと食べ物の場所を記憶しちゃうからな」
魔法使い「スライムってそういうモンだっけ……?」
スライム「ピキーっ! 全然的外れだっピ‼」
戦士「じゃあ何なんだよ」
スライム「ぼくは、ぼくは――」
スライム「ムライス様の、一番子分だっピよー!!」
戦士「……ムライスぅ?」
僧侶「その名前、どこかで聞いたような……」
勇者「あ、あれじゃない? でっかいの」
魔法使い「しっかりしてよ。七魔皇の一体よ」
戦士「ああ! でっかかっただけのスライムか」
僧侶「大きかっただけのスライムでしたか!」
スライム「何でそんなバカにしたような言い方するっピ!」
勇者「だって……実際大きいだけのスライムだったし……」
魔法使い「特に言うことはなかったわよ」
スライム「ば、バカにするのも大概にするっピ!」
スライム「ぼくは一番子分にして、一人息子……」
スライム「一日千秋の思いで、この瞬間を待っていたっピ!」
スライム「ムライス様から教わった魔法で、お前たちを殺す!」
スライム「そして、無念を晴らすっピ!」
スライム「いざ、尋常に覚悟ォーー!!」
魔法使い「――サンダー」
スライム「ピッキィイイイイ!!??」
戦士「おお、一瞬で灰に」
勇者「すごい!」
僧侶「やりましたね……」
魔法使い「うーん……」
勇者「どうかしたの?」
魔法使い「やっぱ威力が落ちてる。なんか複雑ね……」
勇者「やっぱり、あの日から……?」
魔法使い「分かってたことよ。こうするしかなかったの」
魔法使い「……それに」
勇者「――」
魔法使い「アタシが弱くなっても、勇者が守ってくれるんでしょ?」
勇者「――! うん‼」
魔法使い「期待してるわよ……ふふっ」
僧侶「……。」
死まで、あと37日




