35.
僧侶「彫像の作り方を教えてください」
職人「なんだ急に」
僧侶「不躾なお願いであることは承知の上です……」
職人「いきなり過ぎてびびったわ」
僧侶「町一番の彫刻師様の力をお借りしたいのです!」
職人「お嬢ちゃん、見たところ僧侶だろ? どうして」
僧侶「聞いてくださいますか⁉」
職人「近い近い」
僧侶「――冒険の途中、数多くの放棄された女神像を見てきました」
職人「ほう」
僧侶「翼はもげ、顔が抉れてしまっている物もありました」
職人「ふむ」
僧侶「ですから、私の力でそれらを直して差し上げたいのです!」
職人「立派な心掛けじゃないか」
僧侶「そして、もっと数を増やします」
職人「……ん?」
僧侶「女神様の像を、この手で製造するのです」
職人「待て、お嬢ちゃんが勝手に作るってことか?」
僧侶「そうですが」
職人「それ、何らかの倫理に違反してないか?」
僧侶「私は聖職者ですよ。神に仕える者が神の像を作って何が悪いんですか」
職人「『勝手に』ってのが問題なんだよ」
僧侶「失礼ですね、これは信仰の自由の範囲内です!」
職人「自由は振りかざすものじゃないぞ」
僧侶「とにかく、教えてください!」
職人「何か危険な香りがするんだよなぁ……」
僧侶「教えてくださるまでここを動きませんからね!」
職人「そういうところがあるから教えたくないんだよなあ……」
僧侶「お願いします! 職人様の家の前にも作りますから!」
職人「いらん! 俺は女神信仰じゃないからな」
僧侶「では改宗もセットで!」
職人「余計なお世話に余計なお世話を付け足すな。服屋かお前は」
僧侶「私は僧侶ですよ?」
職人「お前と話すと疲れる。帰れ」
僧侶「そんなあ⁉」
死まで、あと66日




